第4話 錬金術師には秘密がある様だ
王都に着来ます。
走り出して2日が経った。
今私は王都の巨大な壁が見えてきた。門の所には門番が立って居て、通る者になんか聞いている様だ。
私が門に近づくと門番に止められる。
「そこの怪しいやつ、王都に入るには身分証明が必要だ」
「すいません、私。旅をしているので身分を証明できないんです」
門番は私の全身を睨み付ける様に見て、言った。
「なら入れる事は出来ない、立ち去れ」
ーーしっかりしているのは良いが、人を見た目で判断したな、この門番。
私はしょうが無いので門の外壁を沿って移動した。
そして周りに人の気配が、全くしない所に着くと壁に手を当てた。
「ここが良いだろ。分解式:壁・再構築:門」
私がスキルを発動させると、壁があった筈の場所には立派な門が出来た。
私は門から辺りを観察する。
「良し、計算通りだな。というか此処はあの時から変わらず裏通りな訳か」
街の中に入り、またスキルを発動して門を壁に戻すと大通りに向かった。
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王都の大通りは活気に溢れていて、そこら中が大量の人で溢れていた。
私は取り敢えず高くそびえ立つ、王城に向かおうと脚を進めようとした時、道に人で壁が出来ており語り部の話しを聞いていた。
どの様な話か気になった、私はその話に耳を傾ける。
「今日話すのは、みんなが知ってる。悲しき話、石の聖女様だ。さあゆっくり聞いて行っておくれ」
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ある平和な村に綺麗な娘がおりました。娘には高い僧侶の力があり、その力を村の民の為や動物の為に日々使っておりました。
娘はある日風の噂を聞きました。世界を喰らう者は15の勇士によって、封印されたが世界は未だに傷ついた者達が多いいと、娘は村を出て世界中を周り人々を癒す事にしました。
色々な場所に赴き人々を癒して来た娘は、ある時大きな国の王に呼ばれました。
娘は王の元に行き挨拶をすると、その国の王子が娘に惚れて告白をしました。
娘が返事をしようとした時、虚空から一人の男が現れて、娘に時が止まる呪いをかけました。
王は直ぐにその男を捕らえようとしましたが、その男は虚空に消えその場から居なくなりました。
その時からその娘は石の様に動かなくなり、石の聖女様と呼ばれる様になりました。
彼女は未だ自分を戻してくれる、勇者を待っているのです。
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「これで話は終わりだ、お代は此処に入れておくれ」
話しを聞き終わり、額を右手で抑えて、私は考える。
あの時の私の選択はあっていたのかと、この話を聞くと嫌がおうでも思い出す、自分の罪を。
「……おっとこんな所で止まっていたら、アイツ(・・・)に笑われるな。今は自分に出来る事をするか」
私は自分の罪を考えながらも、王城へと足を進めるのだった。
主人公の罪とは一体、多分その内に出ます。