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 何か新しいゲームはないかな?


 とある土曜日の朝、俺は、スマートフォンでゲームを検索する。

 ちょっとした待ち時間なんかに片手間にコツコツやれるものがいい。

 そして、出来れば無料。

 色んなフリーゲームの紹介文を流し読みする。



 『位置情報でリアルマップと連動!

  リアルRPG

  今日から君も勇者になろう!』


 そんなアオリ文句に目をとめる。


 位置情報を使って特定の位置にある宝箱を回収したり、モンスターを倒したりして経験を積んで魔王を倒すゲームらしい。

 日本全国移動しなくても、いつでも魔王の間へは移動可能で、いつどのレベルでも魔王への挑戦は出来る。ひたすらレベルを上げても良し、可能な限り低レベルでの魔王討伐に挑戦しても良し。

 特別なイベントを定期的に開催するわけでもない落とし切り、位置情報以外にはネット接続不要のお気軽ゲームのようだ。


 これ、やってみるか。


 俺は、早速ダウンロードして起動ボタンを押す。

 位置情報使用許可のYES/NOが表示される。


 YES、っと。


 一瞬、眩暈がした。


 なんだ?

 本当に一瞬の違和感だったので気にするのをやめてスマートフォンの画面を見る。


 『ようこそ!

  伝説の勇者よ

  名前を教えてください』


 俺は、自分のいつものプレイヤーネームを打ち込む。


 『タナカ』


 『おお!タナカよ!

  この世界は今、静かに滅びようとしている

  伝説の秘宝を見つけ出し魔王を討伐して欲しい!

  貴方の住む世界の平和を守るためにも』


 ・・・・・・言い回しが少し変だな?

 まあ、個人が作ったアプリでは誤字脱字は間々あることなので気にしないことにしよう。


 画面を見ると、マップが表示されている。

 町内マップだ。今、俺がいる自宅に自分のアイコンが表示されている。

 拡大縮小も可能なようだ。

 拡大すると自室の間取りが出た。


 へー、よくできて・・・

 おかしくないか?

 何でゲームで俺の部屋の間取りが詳細に表示されちゃってるわけ?


 よく見ると、洋服箪笥の場所に光エフェクトが表示されている。

 現実の洋服箪笥をそっと開けてみた。


 『鉄の短剣を発見した』


 画面にアイテム発見が表示されている。

 そして、俺の洋服の上に鉄の短剣が載っている。


 なんだ、コレ


 俺は、思い切って短剣を取り出す。


 チャチャーン!

 軽快な音と共に『鉄の短剣を手に入れた』の文字が表示される。


 「うそ、だろ」


 短剣は、ずっしりとした重さがあった。軽く素振りをすると、


 チャチャーン!

 『片手剣熟練度1獲得』


 夢を見ているのだろうか?

 よくありがちな異世界転移モノにしては目の前の風景が自室のままだ。

 もうひとつの可能性を思いつく。

 

 ゲームの世界に閉じ込められた?


 俺は、スマートフォンで起動したゲームアプリの終了を試みる。

 出来ない。

 スマートフォン本体の電源のOFFを試みる。

 出来ない。


 なってこった。

 本当にゲーム世界に閉じ込められてしまったようだ。


 どうすれば、このゲームを終わらせられるんだ?


 俺は、ゲーム画面を確かめてみる。

 ほどなくしてエンディングリストなるものを発見する。


 『ノーマルエンド:主人公が平穏な日常を取り返す

  ハッピーエンド:世界は救われ、主人公は幸福な日常へ戻る

  バッドエンド :主人公は孤独に永遠を彷徨う』


 うん、決めた。

 世界はどうでもいいから、日常を取り返そう。

 目指せ、最短ノーマルエンドだ!

 




 

 

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