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相談

「というような話になったんだ。どうしょうか?」


公爵との話のあと俺とミリアはあてがわれた部屋で今後のことを話していた。

説明しているときミリアの顔が何度も訝しげに歪んだのは気のせいではないだろう。

それほどに大きな話だ。

無理はない。


それに、自分が俺に対して夢?希望?を語った時からそんなに日がたっていないというのも不安に拍車をかけているかもしれない。

まだ少し早かったかな?

そんなことを考えながら俺はミリアの返答を待った。


「お兄様はどのようにお考えでしょうか?」


不安を削ぐようにミリアは俺に対して意見を求めてきた。

ミリアの要求に答えたいとは思いつつも、俺は公爵との話の最後にかけられた言葉のせいで励ますこともできなかった。


『この件に関してミリア様にアドバイスや意見をすることは儂が許さん。ミリア様自身で出した答えしか認めん』


まぁ用心深いと言うか何と言うか……

この交渉がミリアが結論を出す前に決裂してしまうとここに来た意味が完全に無くなってしまうので、


「それはミリアが決めることだよ」


こんな感じの当たり障りの無い返事しかできなかった。


一人の付き人としては薄情なのかもしれない。

嫌われるかもな……

そんなことを考えつつもミリアのことを信用している自分がいることに気づいた。

あの日、夢を語った日、あの時のミリアの目はそんなことを考えさせられるほどの力があった。


「少し…時間をください」


そんな言葉を返したミリアの真意は計りかねるが、

きっと悪いことにはならない。

ゆっくりと待つことにしよう。


その後一人にしてほしいとミリアが言ってきたので、

俺は屋敷を探索することにした。

ミリアの考えがまとまるまで余り時間がかかりそうもないので、少しフラフラして戻るくらいがちょうど良いだろう。

あいも変わらず広い廊下に出て、俺はイスラの部屋とは逆の方向に行くことにした。

少し歩いていると、いくつもの部屋と、高そうな調度品とはすれ違ったが、人と全くすれ違わない。

確かに広い家なのだがそれを考慮してもすれ違わなすぎる。


(人足りてんのか?)


この家の状況にいささかの不安を覚えながらも、

俺の知ったこっちゃねぇやと気にしないことにした。


暫く歩いていると、開けた場所に出た。

どうやら中庭のようだ。

中央にある巨大な噴水や、回りに植えられた色とりどりの花がとても美しい。

芝生もしっかりと同じ長さに切り揃えられている。

専門の庭師でも雇っているのだろう。

芝刈機のあった故郷とは違い、こちらは、鎌ひとつだ。

普通の人がおいそれとできるものではない。

美しい光景に導かれるように入っていった。

中庭の噴水を覗きこんだとき、

後ろから声をかけられた。


「何をしとるんだい?」


後ろを振り返ると、メイド服を着たババアが立っていた。

悪いもんを見た……

回れ右して逃げ出そうとすると、またシワれた声で、


「何をしていると聞いとるんだね?」


面倒くさい人だー。

嫌々ながら振り返った時、俺の首筋にはナイフが押し当てられていた。

ヒィィババアのヤンデレはいらないですことよ!


ババアの突発的な行動に驚いた後俺は1つの事実に気づいた。


俺が後ろからの接近に気づかなかった!?


情報屋としても、ミリアの側近としても数えきれないほどの修羅場をくぐってはきたが、こんなことは初めてだ。

しかもゼロ距離まで接近されるという大失態。


このババア何もんだ?


明らかに普通の老いぼれメイドではない。

歴戦の猛者のような雰囲気だ。

まぁジジイの隠し玉といったところか。

あのジジイならこんな化け物を隠していても不思議ではない。

まぁ、このまま放置しておくと命に関わるので、自己紹介をしておく。


「ミリア様の側近をしていますジンと申します。今は警備のために屋敷を少々探索しておりました。」


後が怖いので、真実を告げておく。

すると、ババアは急に残念そうな顔をして、


「なんじゃ、斬れんのか……」


ガックリ肩を落として去っていった。

と、とんでもねえバトルジャンキーだ。

関わらないほうがいいな。


あんなやつと関わったせいで余計な時間を食ってしまった。

そろそろミリアの所に戻らなければ、


「何も調べられんかったぁ……」


ポツリと呟きながら俺は来た道を引き返していった。




8話目


お金がなくてひもじくて死にそうなので寝ます。

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