開幕
ミリアのまとう雰囲気が変わり、部屋の中が殺伐としていた頃。
「そろそろ始めるか」
「明日本当にやるのか?」
「そうだ。その為にここまで準備してきたんだ」
「ヒッヒッわたしゃ別に構わないけどね」
「なら明日手筈通りに頼むぞ」
「「了解」」
一方、そんなことは露知らず、一転して殺伐な部屋。
「私は、戦争を避け、争いもなしに解決できる方法があるのをしっています。一部の大国同士の思惑もあって今は消え去ってしまっていますが、方法はあったはずです」
ミリアが毅然とした態度でイスラに迫る。
本来の立場はイスラの方が圧倒的に上なのだが、今に限ってみれば、どちらが上なのか分からない状況だった。
イスラをよく観察してみると(したいわけではない)
額から汗がダラダラでている。
俺も手汗でひどいことになっている。
(まさかミリアに気圧される日が来るとは)
日に日に増していくミリアの持つ意思の力はもう常人が対抗できる域を越えていた。
「し、しかし、あれは今競技的な扱いでほとんど効力は……」
「あれば問題ねえんだよ」
口を出すならここかな?と思いながら、口を出しておく。
ミリアじゃこんな口は聞けないからな。
「だ、だが、」
「だがじゃねえ。あるもんは使われたって文句は言えねえんだよ。」
「……」
これは流石のイスラも厳しいらしい。
まぁ俺とミリアが国を建てるにはこれしかないからな。
我慢してもらうしかない。
イスラはフーッと長く息を吐くと、
ゆっくりと座り直すと、
「仕方ない。わかった。ゲームの準備をしよう」
この瞬間俺は心の中でこう呟いた。
『計画通り』
いや別に黒いノートを持っているわけではないのだが、
ゲームとはこの世界での問題解決の伝統的な手段である。
まぁゲームといってもスライムを狩りに行く訳でもなければ、女の子を口説く訳ではない。
細かいルール説明は省くが、要はトランプ的なやつだ。
今は大国の運命がカードで決まるってどうなの?
という意見で、国同士の争いで用いられることはほとんど無い。
ていうか周辺諸国の目が痛すぎるので無い。
俺たちも国を相手するなら使えないように思えるのだが、これは国とミリアという個人の戦いである。
ギリギリのグレーゾーンであるが、通用するのである。
これで必要な手順は整った。
さぁここからは俺の仕事ですかね。
今回は少し早かった気がする。
ということで、11話です。
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次はもっと早くできるように頑張ります。