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02 いつの間にやら脱がされた。

「僕らの国は、アークポリスという名前なんだ。ある国は厳重な核シェルターに、ある国は海を旅する人工島に、またある国は月面にあるんだ」


 旧人類さまが空を飛びながら言った。

 私はそのすぐそばを飛んでいた。

 いや、私の意思で飛んでいるわけではないから、正確には「飛ばされていた」。


 眼下には大海原が広がり、青空には積雲が点在していた。


「大昔に戦争があってね。たまたまそのとき難を逃れた人々の中で、先進国に住んでいて、かつ特別裕福で、かつ2次元に興味のあったごく一握りの人が、僕らの祖先とされている」


 少し怖いが、気になることは聞くことにした。


「……その他の人々は?」

「なに、きみが思ってるほどひどい話じゃない。最終戦争はその時の人類を滅ぼすにはいたらなかった。存外にしぶといんだ、人類って。でも、氷河期のときに絶滅してしまった。染色体の衰退で、繁殖能力が低下していたというのもある」

「……ちょっと哀しいです」

「なに、人類はよく生きたさ。それに人類の最後は美しい百合の楽園だった」

「ゆり……?」

「昔そんな花があったんだよ」

「お花畑ってことでしょうか? 氷河期なのに?」

「まあ、ある意味そうかな。愛は氷河でも凍らせることはできなかったのだね」


 微妙に噛み合っていない気がした。


 ところで、先ほどから私の前を飛ぶ幼女のパンツが丸見えだった。

 「恥ずかしくないのかなー」と思っていたが、よく考えれば私だって後ろから見たらパンツ丸見えなのだろう。


「さて、見えてきた。僕らのアークポリス『ニューアテネ』だ」


 水平線に島の姿が現れた。

 円錐形の島だった。


 近づいて行くと、島がとても綺麗なブルーであることがわかり、さらに近づくと全面がブルーのガラスで覆われた完璧な円錐であることが判明した。


 巨大であった。


「なかなか立派だろう。高さは高いところで66メートル、広さは6東京ドームほどもあるんだ」

「東京ドームというのは」

「広さの単位だよ。1東京ドームが46755平方メートルに相当する」


 半端だ……。


「なんか半端な単位ですね……」

「単位なんてそんなものさ。別の基準で測れば半端になってしまうものだよ」


 島はもう目と鼻の先だった。

 しかし、島はのっぺりとしており、どこにも建造物がなかった。

 遠近感が狂うが、非常に巨大な物であるということは体感で分かった。


「建物がないですね?」

「当然さ。僕らは実体としての身体を持たないからね。外に出向くときだけ、用途に応じた外付け端末をレンタルするわけだよ」


 島の外縁につくと、私たちの近くのガラスが窓のように開いた。


「さあ、とりあえず入ろうか」


 そう言うと旧人類さまは円錐の中に飛んで行った。

 彼女の後を追って、私も中に入った。


 円錐の中に入ったと思っていたら、いつの間にか大都会の喧騒の中にいた。


「ここがニューアテネのウェルカムシティさ。みたまえ、この摩天楼を。行き交う人々の多さを」


 旧人類さまが両手を広げアピールした。

 「すごいだろう」と体に書いてあった。


 彼女の服は変化していた。

 博士のような白衣になっていた。


 私も変わっているんだろうか?

 今の自分の姿が気になり下を見てみた。


 まっぱだった。


 3頭身から元の姿に戻っていたが、しかしまっぱだった。


「ッッッ!」


 しゃがみこんでウィークポイントを隠す。

 今なら顔で地熱発電ができるかもしれなかった。


「入るときに自分の服をイメージしなかったんだな。ドンマイ」

「こっ、こんな大勢の前でぇぇ! お嫁にいけないよぉ!」

「何、あまり気にするな。そもそも、この人混みはただのNPCなのだ。都会を演出するオブジェクトというわけさ」


 おぶ……?


「そこらへんにある石ころと一緒だということだよ。石ころ相手に恥ずかしがる必要も無いだろ?」

「そ……そう、なの……?」

「うん。すごく精巧な人工知能で動いているから実際はほとんど人間なんだけど、人間ではない」

「それ、だめじゃないですか?!」

「仕方ない、人混みは避けようか」


 旧人類さまが空中に印を切ると、大袈裟な光とともにピンクの扉が出現した。

 まるで魔法のようだ。


 彼女が扉を押し開くと、扉の向こうは白い奇妙な空間だった。

 彼女がすぐに入って行ったため、私もすぐにその後を追った。


 真白い空間だった。

 見渡す限り壁がなく、下も真っ白で、床の上に立っているのかどうかが判然としなかった。

 後ろを振り返って見ると、すでに扉はそこになかった。


 周りに人がいないということで、少しだけ安心したが、とりあえずウィークポイントは両手で隠した。


「ここはね、服屋なのだ。フラットなデザインだから多少分かりづらいけれども」


 多少どころではないが……。


「最近は1周回ってスキュアモーフィックデザインが人気なのだが、まあひとけがないほうが君はいいのだろ。さあ、検索をはじめようか。キーワードは、『割烹着』『女の子』『健全なエローー」

「あの、最後のはちょっと」

「そうだね。君は今のままでも十分エロいよ」

「そういうのもちょっと」


 改めて旧人類さまがキーワードを入力し直すと、目の前に割烹着と下着類が現れた。


 これでは下着割烹着になってしまうが、よく考えたら本物の身体は自宅で眠っているわけで、まあいいかと思い気にしないことにした。

 割烹着には3-Bというよくわからない数値が記されていた。

 これにはどんな超科学的意味があるのだろうか?

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