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啼く鳥の謳う物語  作者: フタトキ
思い出に… (序章)
72/139

護命鳥(1.5)

用心屋、応接室。

洸祈(こうき)愛用の揺り椅子に双蘭(そうらん)。客用のソファーに葵達4人が座った。

「痛い」

千里(せんり)は頭頂部を押さえて唸った。

「千兄ちゃん、大丈夫ですか?」

「自業自得だからほっときなよ。久し振りに洸祈に会いに来た月華鈴の団長に向かって不倫?なんて訊いたんだから」

「でもさ、洸が月華鈴のお手伝いをしていたことがあったとはね」

「俺も初耳。家出はしてたらしいけど…よく分からない」

雑誌から(くれ)琉雨(るう)が顔を上げた。

「旦那様、家出したことあるんですか?」

「あるよ。突然いなくなって突然帰ってきた…らしいよ」

(あおい)が溜め息を吐く。

琉雨が契約主のことといって目を輝かせる。秘密の多い洸祈なのだから気になるのだろう。

「だけど記憶が曖昧で…だけど…璃央(りおう)が知ってるようだったな…」

「璃央センセがね…」

千里が唇の両端を吊り上げた。


バンッ


「ひゃう、何ですか!?」

琉雨がびくりと体を震わせて葵にしがみついた。


『そうやって逃げようとするってことは…。洸祈、聞け。……………お前は幸せか?』


「誰の声?」

陽季(はるき)よ」

千里が首を傾げたので双蘭がコーヒーを飲む手を止めて答えた。


『…陽季、俺より背が高くなってる』

『おい!洸祈!!答えないなら俺はお前は幸せだと見なす』


「旦那様大丈夫でしょうか?」

5人の目がドアに釘付けになる。


『…陽季』

『洸祈!お前は幸せなのか?』


沈黙。時間が経つほど空気が重くなっていく。

幸せではないのか?と…

応接室の全員が口を閉じた。


『………………幸せ……だ』

『洸祈!?』

陽季の驚いた声。

『洸祈、おい、洸祈!洸祈!!』


「あおっ」

千里が目を見開く。

「!!!!おい、どうした!?」

葵は立ち上がるとドアを勢いよく開け放つ。

陽季がぐったりした洸祈を支えていた。

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