表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
啼く鳥の謳う物語  作者: フタトキ
はじまり
7/139

はじまり

ヒトはその一生が短いから自らの存在理由を欲する。

なぜって?

生きる理由。生きている理由。

存在理由があれば日々を生きることが有意義に感じられるだろう?

だけどぼくらカミサマは存在理由を欲しない。

なぜって?

ぼくらは長生きだから。

長生きというよりぼくらは不老不死。

老いず死なず。

死なないは死ねないってこと。

ねぇ、そんなぼくらに存在理由なんて必要?


ぼくは気まぐれに一人の少年に近づいたんだ。


本当に気まぐれだったんだ。

ヒトは直ぐに死ぬ。だからぼくはヒトに近づかない。

感情があるぼくらは近づけば見送ることをしなければならない。

あぁ、死んでしまった。とぼくは亡骸を土には埋められない。

涙は絶えず頬を流れ、胸に抱いたそれが腐っても手放すことはできなくなる。

だからぼくは遠くからただただヒトの世界の発展を眺めてきた。


少年が泣いていた。

そいつは裏路地でしゃがみ込んで、上から見ているぼくが恥ずかしいくらいにぼろぼろと涙を流していた。

“ごめんなさい”と“ありがとう”の繰り返し。不思議だろう?

普通はどっちかだ。

謝罪か感謝か。

だからぼくは声をかけたんだ。


「こんにちは」

ぼくは先ず挨拶をしてみた。

そいつは真っ赤な瞳でぼくをじっと見つめるとふいっと背を向けた。

聞こえなかった?それとも…

「………………………………何?」

あっ無視してなかった。

「ぼくと友達になろうよ」

「友達?」

「そ、お友達」

お友達になろう?

なーんて言ってみたり。

そしたら少年は、

「………………いいけど?」

あらまぁ。

なんて軽いんだろう。

「ぼくは――って言うの」

ねぇ、キミの名前は?

「………………………………………………氷羽(ひわ)

それが全ての始まり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ