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残暑(2.5)

ピンポーン

「……」

ピンポーン

「……ん……」

ピンポーン

「………っ………」

ピン、ピンポーン

「…………何や?………」

ピピピピピピピンポーン

…ぶち

「……………………………近所迷惑で訴えるでー!!!!!!!!!!」

由宇麻(ゆうま)はすっかり覚めた目で足場を確認しながら玄関につくと覗き穴を覗いた。

知らん奴なら無視や。

「開けろ、司野」

この声!

崇弥(たかや)やないか!」

にしても開けろ?それが開けて欲しい奴の言い方なん!?でも、

何処か必死に聞こえた気がして由宇麻はドアの鍵を外した。

「こんな早くにどないしたん…」

開けかけたドアは洸祈(こうき)の体の重みで押し開けられた。由宇麻の前で洸祈は前のめりに倒れかける。

「崇弥!!」

ドサッ

洸祈は由宇麻の伸ばした腕で支えられた。

「どないしたん?崇弥、どないしたん?」

自分より重く長い洸祈を必死に支えて閉じられた瞼に問いかける。

頬はほんのり紅く、呼吸は荒い。吐息は熱く、額には大粒の汗。

「熱あるんやないか!」

由宇麻は息を切らしながらソファーにたどり着くと洸祈を手荒に下ろした。

「何で俺んとこ来るんや」

よく分からない行動力に溜め息をつく。毎度のことで怒る気にもなれない。


「…司野、わりぃ」

「崇弥、起きたんか。何で俺んとこ来たのか説明せいや」

要約するとこうだ。

昨日、千里が風邪をひき、一日中看病していたら自分も風邪をひいたようで、他の皆に移してはいけないと言うことで由宇麻の家にやってきた。

「説明なってないで!!そこで何で俺んとこなんや。俺なら移してもええってことか!?」

「………………意地だよ……」

「意地?」

「いいだろ!!こんな姿あいつらに見せたくないんだよ!」

あぁ、意地やな。

洸祈は腕を顔に乗せて目を隠した。

「ほ~、崇弥は皆の前ではお父さんなんやな」

「お父さん?」

「皆を気にして自分は後回し。どんなときでも弱味を見せない。ほら、お茶。あと、熱冷ましや」

「ありがと」

「そうすると俺は崇弥のお父さんやな」

「司野が?」

わざとらしく語尾を上げる。

「俺かていつか運命の人に出会って崇弥も羨む素晴らしい家庭を築くんや」

璃央(りおう)が先かもな。それにもう30だろ?無理じゃないか」

「この野郎!殴っても俺の怒りは収まらんで!!!!!」

分かってんや。30なのは!

「近所迷惑だ」

洸祈はお茶を飲み干すと冷たく一言放って寝返る。

「くれぐれも言うなよ。あ、ソファー借りるな」

「自分勝手やなぁ」

病人を殴る気はない。ここは病人の戯言だと思ってほっとく。

「一回だけなら依頼安くしてやるよ」

「要らんわ」

由宇麻は二度寝をしに寝室のある二階に上がった。

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