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啼く鳥の謳う物語  作者: フタトキ
パーティーの悪魔
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思い(5)

一か八かだ!

千里(せんり)には何か策があるのだろう。だが、その策も一か八かだろう。もしかしたら何の策もないのかもしれない。

「千里!暴れるなよ」

下を行く千里に(あおい)は怒鳴ると目を瞑った。

焦る気持ちを落ち着かせ、風の流れを読む。微かに感じる風。

「風が弱いな」

自身の魔力を全開にして大気に流れ込ませる。

「吹け!!!!!」

風に干渉し流れを作り、流れを変える。

千里がアスファルトの地面から5メートル程に差し掛かったとき、強い上昇気流が生じた。

それによって落下速度は遅くなり、千里はふわりと地面に足をつけた。

「あお」

千里がロボット犬を地面に置いて、右手を差し出す。

気に食わないが千里の右腕を掴み、葵も地に足をつく。魔力の膨大な消費に足から力が抜け、バランスが崩れかけるがそれを千里がもう片手で支えた。

「細いな」

「変態」

どんなときでも千里の性格は変わらない。

「魔法使うんじゃなかった」

「ありがとー」

ワン

千里が首を傾け美少年さながらの笑顔を振り撒くが、大元の原因であるリアルなロボット犬の吠えでその笑顔は悪魔のものとなった。


「ここはどこだ?」

「日本だよ」

「なんっ…………止めた。千里の性格だからしょうがないな」

あっさりと退いた葵に千里は不満の色を表す。

「え~。それじゃまるで僕がバカみたいじゃん」

「事実だろ?」

千里がいつもとは違う立場に狼狽えた。

そして口ごもる。

「……………………………限界だ。アハハハッ、ハハハ」

葵がこれでもかと笑ってやる。

「…………」

「千里のその顔、新鮮でつい。お前が狼狽える姿なんて国宝級で」

膨れっ面の千里に涙目の葵が腹を押さえて言う。

「行くよ、あお。ここはまだ日本軍軍治制御都市圏内だよ。北に向かって後2キロ程行けば抜けるよ」

「十分すぎるぐらい知ってんじゃん!」

千里は何の反応もしない。

機嫌が悪いらしい。一人でロボット犬を抱えて、すたすたと歩いていく。

ワンッ。

葵は犬の鳴き声に何だかムカつくのであった。

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