パーティーの悪魔(4)
洸祈は支配人に事前に訊いていた放送室に向かった。その途中預かり所に寄り、預けていた武器を掴む。
かちゃり
放送室のドアを微かに開けた。
「連絡来ないな。ホール手こずってんのか?」
「金持ちのぼんぼんだぜ」
「いやー、ボディーガードとかいるだろ」
「俺雇ってくんねーかな」
「あ、いいなそれ。ただ黙ってくっついているだけで、数週間は遊びを制限すれば普通に暮らしていけるぜ」
「第一、親の金じゃなくて自分で稼いだ金でやれって話だよな」
「まるで自分の金って感じで使ってるよな」
「これだから世の中腐ってくんだ」
あまりに有意義な会話だったので洸祈はついつい口出しをしてしまった。
「…全くそのとおりだよな」
「っ!!誰だ!」
「凄腕ボディーガード参上。ってね」
4、3、2、1。
洸祈は仲間の下でもがいている最後の一人を見下ろした。そして、腰に挿した刀を抜くと、もがくそいつの喉元に突き付けた。
「こんばんは。何処のどいつがあなた達のボスですか?」
お仕事用の笑顔で洸祈は言った。
サングラスをしているが今の洸祈に恐怖を抱いているのは確かだ。動きは止まり、ヒューヒューと漏れ出ている息遣いが聞こえる。
「俺の刀、血に飢えているんですよ。どうですかあなたが犠牲になります?」
かちゃ
刀身の向きが変わり、蛍光灯の光を反射する。
「ひっ」
侵入者は刃先を見て必死で後ずさる。だが、仲間の下敷きになっているため動けない。
「教えてください」
「お…俺は知らない。知らないんだ。本当だ。姿すら見たことないんだ。ただ、神様って呼ばれていることしか」
洸祈が語調を強くして顔を近づけと、汗を額に浮かべて答えた。
助けてくれと、恐怖で声の出ない口をぱくぱくと動かす。
ゴンッ
「そうですか。ありがとうございました」
相手の命乞いに耳を貸すことなく、もう片手でもった鞘を侵入者の頭上に振りかざした。
「憐れな奴ら。神様なんているかよ」
侵入者から頂いたナイフて通信機を破壊し、外へ出ると扉に陣紙を貼った。
青白く光り、放送室と外との空間が切り離される。次はホールに戻って招待客の避難だ。
「神様がいるなら…」
洸祈は抑えきれない衝動を拳にのせて力任せに壁にぶつけた。