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啼く鳥の謳う物語  作者: フタトキ
短編2
104/139

デート(2.5)

「甘ったるい」

(あおい)は一口サイズのシュークリームを口に放り込むと眉をしかめた。

「え~。甘くて美味しいんだよ」

そんな葵の傍らで千里(せんり)は満足そうな顔でショートケーキを口に運ぶ。

はや4個目。

「太るぞ」

ぴたり

千里の動きが止まった。

フォークがカシャンと皿に置かれる。

「千里?」

「あおの馬鹿!」

と、葵のシュークリームの入った硝子の皿を奪い、中身を全て頬張った。

「あ!!なに人の食ってるんだよ!」

「いーじゃん、甘ったるいんでしょ」

ふんと鼻を鳴らしてショートケーキの残りを掻き込んだ。と、止まることはなく…モンブランケーキに手を伸ばす。

「さっきのは冗談だったんだ。千里は普通どころか痩せすぎだって」

ぎろりと千里は葵を睨んだ。

やがて「ほんひょに?」と口を動かしながら訊ねる。

「本当だって」

「………………」

食べるペースが遅くなった千里に葵は呆れるしかない。

シミ一つない白い肌。袖から覗く細い腕。サラサラと頬を撫でる眩い金髪。長い睫毛に宝石のような翡翠の瞳。整った容姿。澄みきった声。

女性が願って止まない理想の姿を千里は持っている。

現に、店に入った時から客達はちらちらと千里を見ていた。驚き、羨み、嘆き…当の本人は目の前のケーキに夢中だが…。

世の中は不思議で一杯だ。

「そこのお姉さん、チョコケーキと…レアチーズケーキと…モンブランと…抹茶ケーキを2つずつ下さーい。あ、待って。抹茶ケーキは4つで」

「まだ食うのか!?」

「うん」

ウェイターが繰り返すのを聞きながら千里は楽しそうに返す。

「だってもうお昼だよ」

12時30分。

「お昼にケーキかよ」

「甘いの苦手なあおの為に抹茶頼んだからね」

「俺にお昼に抹茶ケーキを食べろって言うのか」

「うん!」

葵は腹を押さえた。


あぁ、甘い。

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