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エピローグ 午後4時、虹のち未来(俊太)
雨は、もう止んでいた。
空には、うっすらと虹がかかっていた。
誰かが「二重だ!」って叫んで、みんながスマホを向けていた。
俺は、窓のそばで静かにそれを見ていた。
今日の探究は、たぶん一生忘れない。
雨と晴れ。
どっちがいいかなんて、簡単には決められない。
でも、どっちも必要だってことは、はっきりわかった。
由美子の言葉が、ずっと頭に残ってる。
「晴れだけじゃ、虹は出ません」
あの笑顔は、まるで晴れ間みたいだった。
俺は、雨のことがもっと好きになった。
そして、晴れのことも、ちょっとだけ好きになった。
探究って、勝ち負けじゃない。
誰かの考えを聞いて、自分の考えが変わること。
それが、いちばん大事なんだと思う。
由美子と話したいなって思った。
「ありがとう」って、ちゃんと言いたい。
でも、今日は言えなかった。
そのかわり、窓の外の虹に向かって、心の中でつぶやいた。
「また、雨が降ったらいいな」
「そして、また虹が出たらいいな」
それは、ちょっとだけ未来の話。




