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お天気裁判   雨の逆襲  作者: 双鶴


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8/9

第8章 午後3時、晴れ間の決着(由美子)

俊太の発表が終わったあと、教室はしばらく静かだった。

誰も笑わなかったし、誰も茶化さなかった。

ただ、みんなが、ちゃんと聞いてた。


「では、次は晴れ派の前田さん、お願いします」

佐藤先生の声に背中を押されて、私は前に出た。


スライドの1枚目には、青空の写真。

その下に、こう書いた。


「晴れがくれる、明るい未来」


「晴れの日って、なんでもできる気がしませんか?

洗濯物が乾いて、外で遊べて、気分も明るくなる。

それって、ちゃんと理由があるんです」


私は、セロトニンの話をした。

太陽の光を浴びると、脳が“幸せホルモン”を出すこと。

晴れの日に笑顔が増えるのは、科学的にも証明されてるってこと。


「それに、太陽光発電や観光業、農業も、晴れがあるからこそ成り立ってます。

晴れは、私たちの生活を支えてくれる“エネルギー”なんです」


でも、ここで私はスライドを止めた。

そして、最後の1枚を映した。


雨上がりの虹。

その下で、クラスのみんなが笑ってる写真。


「でも、晴れだけじゃ、虹は出ません。

雨があるから、虹が出る。

晴れと雨、どっちがいいかっていうより、

どっちもあって、はじめて世界はきれいなんだと思います」


俊太の方を見た。

彼は、まっすぐ私を見ていた。

その目が、少しだけうるんで見えたのは、気のせいかな。


「だから私は、晴れの良さを伝えたうえで、

雨のことも、ちょっと好きになりました」


発表を終えると、教室が拍手に包まれた。

それは、どちらかに向けられたものじゃなくて、

“ちゃんと考えた”ことへの拍手だった。


佐藤先生が、にっこり笑って言った。

「では、みなさん。どちらがより“心に響いた”か、投票してください」


結果は——


雨:9票

晴れ:9票

引き分け:2票


「…ということで、今回は引き分け、ですね」

佐藤先生が言うと、クラスから笑い声があがった。


「まあ、天気に勝ち負けなんて、ないもんね」

誰かがそう言って、また笑いが広がった。


私は席に戻りながら、俊太にそっと言った。


「…いい発表だったよ。ちょっと、雨が好きになった」

俊太は、照れくさそうに笑った。


その笑顔が、なんだか晴れた空みたいだった。


発表対決、終了


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