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第6章 午前10時、虹の兆し(由美子)
「雨があるから、虹が出る」
俊太がそう言ったのは、昨日の昼休みだった。
何気ない会話だったけど、その言葉がずっと頭から離れない。
彼、変わったな。
前は、ちょっとぼんやりしてる印象だったのに、今は目が真剣。
図書室で詩集を読んでる姿も、なんか…かっこよかった。
私は、晴れのプレゼンを完成させた。
スライドには、太陽の写真、青空のグラフ、セロトニンの説明。
完璧なはず。でも、なんか物足りない。
「晴れがいい」って言い切るのは、ちょっと違う気がしてきた。
だって、雨があるから晴れがうれしいんだし。
雨の日の静けさも、悪くないって思えてきた。
私は、スライドの最後に一枚、写真を追加した。
去年の遠足の帰り道、雨上がりに出た虹。
その下で、みんなが笑ってる写真。
「晴れと雨、どっちも必要」
それが、私の結論になるかもしれない。
俊太の言葉が、私の探究を変えた。
勝ちたい気持ちはあるけど、それ以上に、ちゃんと伝えたい。
発表対決まで、あと 2日




