第3章 午後3時、雨雲の決意(俊太)
「雨の良さって、なんだろう」
放課後、図書室の静かな空気の中で、俺はひとりつぶやいた。
晴れの良さは、すぐ思いつく。
でも雨って…濡れるし、傘いるし、靴下までジメジメするし。
由美子に勝つには、ちゃんと理由が必要だ。
理科の棚を探してたら、気象の本を見つけた。
『天気のふしぎ図鑑』っていう、ちょっと古めのやつ。
パラパラめくってたら、面白いことが書いてあった。
「雨音には“1/fゆらぎ”があり、心を落ち着ける効果がある」
…いちえふ?
なんか理系っぽくてカッコいい。
しかも、雨音ってリラックス効果あるらしい。
それって、由美子の“セロトニン”に対抗できるかも。
さらに読み進めると、
「雨の日は交通事故が減る傾向がある。人が慎重になるため」
「植物は雨で葉の裏まで洗われ、光合成が効率よくなる」
「雨の日の匂い“ペトリコール”は、土と植物が生きてる証」
…雨って、意外とすごいじゃん。
俺、ちょっと感動してた。
でも、由美子のことを思い出すと、胸がモヤモヤする。
彼女に反論するってことは、嫌われるかもしれない。
それでも、俺は雨の名誉を守りたい。
図書室を出ると、外はまだ雨だった。
傘をさして歩きながら、ふと思った。
「雨って、静かに頑張ってるんだな」
誰にも褒められなくても、ちゃんと役に立ってる。
俺も、そんな雨みたいに、静かに戦ってみよう。
発表対決まで、あと 5日




