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004 神のいるカンナヅキ



 僕は土地神

 君はヒト


 余りに違う立場


 僕は不老不死

 君は死にゆく


 余りに違う人生



 だけど僕らは出会って

 だけど僕らは繋がって



 そして僕は罪を犯す――










 昔の僕は

 土地を守るためにはどんなこともした


 そして神無月の時

 僕は出雲(いずも)へ行って

 僕が守る森からヒトを排除することを誓った



 神に優しさは必要ない

 神に同情は必要ない


 神に逆らう愚かなヒトは

 僕が迷わず消しましょう



 森を開発しようとする愚かなヒトよ

 僕の怒りの餌食となりゆけ



 神は寂しさを感じない

 神は孤独を感じない


 神に逆らう愚かなヒトは

 僕が迷わず消しましょう


 他の生物より勝ると愚かな考えを

 何時(いつ)から持ちはじめたのか










 僕は孤独

 君も孤独


 全く同じな立場


 僕は捨てられて

 君も捨てられて


 全く同じな人生



 だから僕らは()きよせられ

 だから僕らは離れなくて



 そして僕は罪を認める






 だけど僕は

 ある日君を見つけてしまったんだ


 君の元へ行き

 去れと忠告したときに

 捨てられたと(こた)えた涙を呆然と見た



 神に優しさは必要ない

 神に同情は必要ない


 神に逆らう愚かなヒトは

 僕が迷わず消しまし……ょ……



 ………?



 あぁあどうした消せられぬ

 愚かな僕よ

 ヒトがここにいたら森が消えるのに



 …………?



 神は寂しさに気づいて

 神は孤独に気づいた



 …………



 ヒトリじゃ生きれない君は

 迷わず守りましょう


 ずっと傍にいたくて

 神無月もそこにいた


 神のいるカンナヅキ







 掟を守らぬ土地神

 カンナヅキには出雲に

 カンナヅキには誓いをしに


 行かねばならぬ

 行かねばならぬ


 掟を守らぬ土地神

 カンナヅキにはヒトのもと

 カンナヅキにはあの森の奥に


 籠もっていた

 籠もっていた







 神に優しさは必要ない筈

 神に同情は必要ない筈


 大神に逆らう愚かな神は

 迷わず消えましょう



 ヒトを迎え入れてしまった

 愚かな神は

 君と一緒に死にゆく



 神は寂しさを感じない筈

 神は孤独を感じない筈


 大神に逆らう愚かな神は

 迷わず消えましょう


 君を苦しめることになった

 愚かな考えを

 何時から持ちはじめたのか










 僕は死にかけ

 君も死にかけ


 全く同じな立場


 僕はまた生まれ変わり

 君もまた生まれ変わり


 全く同じな人生



 だから僕らは泣かなくて

 だから僕らは笑い逝った



 そして僕は君と同じになる




 神がいた、カンナヅキ。







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