タクシーのマイナスドライバー
使いませんよね。マイナスドライバー。
タクシーの運転手でお客さんを毎日乗せていても使わない。
何年も前のろくに読まれもせずに、やり場のない新聞に包まれて
居心地はそれほど良くないながらも鎮座している。
いつか役に立つ時が来るかなと。運転手さんとお客さんの会話をいくつもいくつも聞きながら
期待も膨らんで。
今日も使われなかったかと頭を抱えて苦笑い。
もうこの状態が続くのならいつもの駅から電車に乗って旅に出てやろうか。
嘘だよここにいたい。
車検の時がきた。ついに使われる。
期待に膨らんでいると車検場の職員さんが自前のドライバー
を持ち出してきた。
ショックな気持ちでいる自分と使われていない
プラスドライバーを見て安堵している自分がいる。
心はニュートラルだ。