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第4話 急いで帝都に行くぞ

「アル爺さん、どうやって火炎魔法ってのを放てばいいんですか!?」


 爺さん、いきなり無茶なことを言わないでくれよな!!


「そうだなぁ……初めての魔法ということだし……よし、まずは利き腕の拳を強く握った状態で、あのジラフライに向けてみてくれ」


「あ、はい!」


 俺はアル爺さんの指示通りに右手の拳を握りながら俺達の頭上で旋回しているアジフライ、いやジラフライに向ける。


「そして握り拳に炎が出てくるイメージをするのだ。そしてイメージができたら今回は火炎魔法の中でも一番火力の小さい『ファイエル』と唱え、それと同時に拳を広げるんだ」


「わ、分かりました! そ、それでは拳から炎が出てくるイメージを……ファ、ファイエル!!」


 俺はそう唱えると同時に拳を広げた。すると次の瞬間、俺の手のひらが少し熱くなり、赤く光ったかと思えば凄い勢いで炎がジラフライに向けて飛び出していった。


 ボワボワ――――――――――――――――ッ!!!!


「うわっ、なんだこれは!? 俺が思っていたよりも凄い勢いの炎が出てきたぞ!!」


「うんうん、やはりそうか……ファイエルにしておいて良かったのぉ」


 アル爺さん、何を満足そうな表情をしているんだよ!?

 俺は生まれて初めて自分の手のひらから炎が出てきてめちゃくちゃビビっているんだぞ!!


 俺が放った火炎魔法はどんどん大きくなり、ジラフライをあっという間に飲み込んでしまった。これまでの時間は俺が魔法を発動しておそらく2,3秒くらいだと思う。


「ほほぉ、ジラフライに泣き叫ぶ時間も与えずか……」


 ヒューン、ドサッ!!


「うわっ!? ジラフライが!!」


 丸焦げになったジラフライは俺達の足元へと落下した。

 丸焦げの体から煙をあげている姿に俺は複雑な気持ちになってしまう。でもこのジラフライ、とても良い匂いをさていやがるな。


 グルグルグル-ッ


「うっ」


「ハハハ、腹の虫が鳴る気持ちはよくわかるぞ。丸焦げジラフライがとても香ばしい匂いをさせているからな。それに今は昼食の時間だし丁度よかったよ。こいつを昼食にしよう」


「えーっ!? こ、これ魔物なんですよね!? 魔物なんて食べれるのですか!?」


 匂いはやたら食欲をそそらせるけど、ジラフライの丸焦げ死体は気持ち悪いし、さすがに魔物を食うってのには躊躇してしまう。


「この世界では魔物を食べることは普通のことなんだ。特に猛毒を持っている魔物は特別な調理免許が必要なのでなかなか食べれる機会も少ないがとても美味しいぞ」


 てっちりかよ!!


 でも猛毒を持っている魔物ですら食べるのなら……


「アル爺さん、俺は元の世界に戻れるでしょうか?」


「それは絶望的だと思うぞ」


「ですよねぇ……ってことはジラフライくらい食べれなかったら俺はこの世界で生きていけないってことですよね? うーん……よし、覚悟して食べさせていただきます!!」


 まぁ、腹が減って我慢できないってのが本当のところなのだが……


「しかし私の予想が的中して驚いたよ」


「予想? 何を予想されていたのですか?」


「ヒロの能力だよ。凄い能力を持っているかもしれないと思ったのだがやっぱりそうだったかぁ……」


「え? 俺のユニークスキル、『コミュニケーション』『ツッコミ』『オヤジギャグ』のどこが凄いんですか?」


「違う違う、いや違わないが私が言っているのは君の魔力値や武力値のことだよ。でもコミュニケーション、ツッコミ、オヤジギャグなどのユニークスキルもこれからとても役に立つはずだから別にガッカリする必要はないんだぞ」


「本当にそうなんですかねぇ……」


 ん? でも今、アル爺さんは俺のユニークスキルではなく魔力値や武力値が凄いと言っていたんだよな?

 

 でもあんな低い数値のどこが凄いんだよ?

 召喚者達の平均以下なんだぞ。


「あん、アル爺さん? 俺のステータス知っているでしょ? 俺の魔力値や武力値は最低ですよ。だから冒険者ランクだってZなんですから……」


「私もだが、ヒロは自分のステータス画面を見て大きな勘違いをさせられたんだよ」


「勘違い? それはどういうことですか?」


 どこが勘違いなんだ?

 どこからどう見ても俺の魔力値は20だし、その中でも火炎は1だったじゃないか。


「昔、ヒロのステータスに似た召喚者がいてね、最初はヒロと同じような反応だったんだ。でも日にちが経ち、その召喚者のレベルも上がっていくにつれてステータス画面の落とし穴に気づいたんだよ」


「ステータス画面の落とし穴?」


「まぁ、それについては今から分かりやすく説明をするから、とにかくジラフライを早く食べ終わって急いで帝都に行くぞ。そして大手の派遣冒険者ギルドの『アドベンチャーズ・テンポラリー株式会社』で派遣冒険者として登録するんだ!!」


「え? 何で急ぐんですか? 別にそんなに慌てなくても……」


「いや、そろそろ女性キャラが登場しないと、じじい二人の会話ばかり読まされては読者が減るような気がしてな!!」


「……は???」


 アル爺さんの言っている意味が分からねぇ!!


 っていうか、俺はじじいじゃねえ、ただのおっさんだ!!

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