09話
____レグシルツ街___冒険者ギルド建物前 グダグダしてる・・___
ここからあるのか?来ちゃうのか?マーレの真実的なもの。意外性が飛んでもハップンな展開に?だがとっても意外な展開は・・無さそうな感じでこの話は進む。そんな意外性の無い話でも、知って置いて欲しいと思うマーレは、母親の事を伝える事にした。
「その魔法については、あたしの小さい頃に母さんが話てくれたんだけど、戦争が終わってからかなりの年月が経つと、魔法詠唱の呪文も伝わらなく成ったとか」
「は?・・詠唱が伝わらないって、どォゆーコットンパフパフー」
「・・変な人になってるよ。あたしも解らなかったからそこは聞き直したわ。それは戦争が無くなってから魔法を使う戦いも必要としなくなって、そこから100年も掛からずに魔法を伝える人や魔法書もどんどん消えて行ったんだって。そんな簡単なものなのって聞いたら、魔法書が読めなければそうなるって」
「・・読めない・・ならそうなる訳か。じゃあ魔法を使える人も今は殆どいないのか?」
「それは又別なんだって。誰でもそれなりの魔力は持っていて、それを感覚で発現するって言ってた。母さんもずっと水よ飛べ!って何年も練習してたら、それが出来るように成ったって」
「・・そうか、努力が実を結ぶって奴だな。それでマーレの母さんは冒険者をしてたのか。」
「そうみたい。後はその魔法でいっぱい工夫をしたって。水を飛ばす事しか出来ないたった一つの魔法で、相手の足元を滑らしたり目潰しにしたり手元を濡らして武器を落とさせるとか」
「試行錯誤の工夫に切磋琢磨は解るが、そこそこ地味だな。そうか1つしか使えなかったのか」
「1つしか使えなかったけど、そこは馬鹿にしちゃダメよ。母さんは魔法媒体なしで使えたから、凄いって自負してたもの。魔法媒体無しの人なんか見た事無いって言ってたもん」
「マーレの母さんをバカにしたりはしないさ。だが魔法媒体か・・マーレの剣も魔法媒体みたいなもんだしな」
イオ達は昼の食事を終え、ここでの必要な用事をする為にギルドへと入った。そうは言ってもここで出来るのは用事を済ませる為の下準備であり、必要書類の受け取りなだけでしかないが。
そこで中に入るとそこに浴びせられた視線が痛い・・こんな昼過ぎに仕事にも行かず、食堂に集まっている冒険者達がいたからだ。そんなだらけた奴・・それが勘違いだと知るのはかなり後になる。ここでの暮らしで腕に覚えが出てくれば、彼等は稼ぎの良いダンジョンへと攻略に向かうのだ。そのダンジョンの攻略で気合いが入れば、数日の野営を伴った仕事に・・だ。そこから戻った者達が体の疲れを癒すにも、纏まった時間を使って過ごす事になる。
そんな者達が痛い・・そんな視線より受付カウンターに並んだ3人の受付嬢が、それを超えた視線で絡まって来る。その標的はオレでは無く左腕に縋っているマーレの行為だと思えたが、そこは気に掛けずなマーレがカウンターの前までオレを連れて行く。
「なに!っですか?」
絶対アウトだろそれ!受付嬢は最初にいらっしゃいませとか、こんにちはとかあるぞ普通。そこを一歩譲れてもなに!ですか?はねえよ。それは喧嘩なら今直ぐ買うよって感じじゃね?そんな訝しい目で見返されたミルフィ(受付嬢)も己の失言に気ずいたが、今も目の前の2人の態度に苛立ちが消せずにいたので、ここでは謝罪をするつもりは無かった。そこで云々を増やす前にイオが口を開く。
「あーすいません。昨日こちらで新規登録をしたイオとマーレです。それとこいつがちょっと体調を崩しているので、お見苦しい所は勘弁して頂きたい。オレ達の証明書が出来ているのなら、受け取りたいのですが」
「あ、はい。その・・気にはしませんので大丈夫です。そのギルド証は直ぐに確認をして来ますので、今しばらくお待ちください」
今は何事も無かったかの様に受け答えた彼女は、先程の事に踏ん切りを付けたらしく自分の後方から中の部屋へと入っていった。
「・・ふう。ねえイオ、今取りに行ってくれた人が言ってたけど、そのギルド証でいいのよね?」
そんなマーレの心配も無くは無いが、冒険者がギルドで貰う証明と成ればギルド証で良いのではないか。今は他に思い当たる物が浮かんでこないが・・
「ああ、ほぼ間違いはないはずだ。ここはギルドでギルドに来たんだから、そこで出される身分証明はギルド証だよ」
「そう・・だよね。あたしは口から生まれたイオを信じるよ」
「生まれるか!それより何でギルドに来ると腕にくっ着きなの?」
「・・ここって人が多いから、ゾクゾクして怖い・・逆子だったかも知れないじゃない」
誰の・・何の話しだよ。その生誕はかなり斬新だと言えるが、医者はいなくても助産婦はいるのだろう。
「えっと、斬新な家族計画はお宿のほうで。それでこちらがギルト証になります、間違いがないかの確認をしてください。後日に記載間違いの訂正でお出で頂いても、取り扱いが再発行の形になるのでそれは有料となります。」
今の宿屋での家族計画の話はスルーしないと、ここで上手い事を言える気がしないし話が脱線しまくっても次に進まな過ぎる。ここでちょっと嬉しそうなマーレは、後でくすぐりの罰にすることにした。
「・・大丈夫・・ですね。これを貰って終わりって事で良いのですか?」
「いえ、それで宜しければ次の手続きに掛ります。確認して貰ったギルド証をもう一度預かりましたら、各々のランクを決めて行きます。」
「・・ランク?ランクって最初は、一番下とかに決まっているのではないのですか?」
「いいえ、最低ランクにはGとFがあります。この二つのどちらかを選んでいただくのですが、Gを選んだ場合には次にFに上りその次はEとなる通常のものですね。」
「そのFは通常ではないって事ですよね。何らかの特例がそこで使えるって感じですか?」
「はい、さっして頂いた通りにそこには特例と言うモノがあります。現状としましてGランクの方が受けられる依頼は、手伝い等の荷運び係のボーダーや指定された安全地域での採取等です。ですが能力がある方を無駄にランク止めするのは、損失と言うか勿体無い訳です。そこで希望者の方にはギルド職員との模擬戦を行い、それで結果を出して頂ければFランクからのスタートが出来ると言う特例です。」
「それはちょっと、待って貰いたいのだがミルフィさん」
「は、はい?な、何でしょうかアキュレイ副長?」
ここで待ったと声を掛けて来たのは、このギルドの副長アキュレイという者だと紹介される。
その人物はカウンターの後ろ奥から現れたが、急に声を掛けて来たモノだからこの場での注目度も上昇される。そんなイオにしてみれば今時の空気・・若者の様に空気化して存在が薄くなっていたかったが。
「ここに追加の事後報告も重なり不手際は謝罪するしかないが、警備所に届けられた報告が重要度の確認事項に格上げされたばかりだから、今一度聞き直させて貰いたいのだが良いかな?」
その要求に否応なしで答えるのは、その前までの立場であったならと言えるであろう。ここで副長のアキュレイが言っていた確認事項の格上げには、懸案事項が未処理のままと漏らしたのと同じで合ったからだ。それならばそこに付随しない譲歩だが、それを引き出せるかをここで試す価値があると思った。
「・・宜しくたのむ」
そんな細かい話は別室でとアキュレイ副長に促され、その副長室へと二人は招かれた。そこへ間もなく現れたのはここのギルド幹部、その名がマヴレィテと言う女性を紹介される事にもなる。因みにこの世界に或るとは思わなかったが、その見た目はパンツスーツ?それも全身を濃紺に揃えた装いでだ。この髪型はむしろみながそんな感じなのだが、この方もショートボブ・・手入れの良いダークブロンズがとても似合うかなりの美形でもあった。
「時間を取らせてしまうので警備所預かりの其方の金品は、こちらのギルトが肩代わりで払いたいと思っている。すでにあちらには人員を向かわせている、その事は了承して頂くと助かるのだが」
硬いなこの人、これが初対面でのマヴレィテの印象とも成った。その金品と呼ばれている物は途中で忘れていたが、こちらの引き合いにあうのは違う情報である。
「一つ聞きたいのだが、この街には娼館らしき物があるのか?」
「なっ?!」
冷静に淑女然を装っていた目の前のマヴレィテが、イオの言った事で一瞬に瓦解し何かが沸騰寸前となった。それを見兼ねたアキュレイ副長は、僅かながらの取り成しを図って来る。
「尋ね人がそこに居るのかな?」
「いえ、そちらが知りたがっている盗賊の動向に、それが関係があると思った経緯がありましたので」
「ほう、それを聞かせて貰っても宜しいかな?」
「ええ、構いませんよ。その気に掛けている報告書には、盗賊から二回の襲撃が合ったと書かれていましたよね?そこの最初の襲撃は、獲物に取り付いても金品や物資を優先していませんでした」
「あたしか!」
「・・それだけではそこに至らなかったのですが、その盗賊の殆どがそれ也の金品の保持をしてましたね。その持っていた金を何時?何処で使っていたのか?」
「街の中へ出入りをして娼館に通っていたと・・不潔な!」
「お、落ち着いて。そんな娼館の友好利用は、そこへ通うだけとは限らない訳ですよ。そこへ身寄りの失くした者を売り飛ばせば、確実な金品が約束されてますからね。それに頻繁に警備隊が巡廻する街道ですから、オレが潰した二十二人の集団であっても、その食い扶持は不足気味だった筈です」
「襲われた場所から考えれば、同じ盗賊集団と思い難いのだが」
「あそこで全滅が出来たとは思っていませんが、少なくともあいつ等はあの街道の優先権を持っていたと考えるべきでしょうね。この街から出ている街道の・・実入りはそんな程度でしょうから、統制がしっかり取れた集団であっても、そこが三十人を超えれば無理が効かなくなりますよ。この街に入れる手立てを残して置けば、食い繋ぎに他の仕事も出来ます。ここ暫く間に盗賊の襲撃が無ければ、人材集めに手一杯と育成にも日が必要でしょうけどね」
「・・今は結果を知る為に、そこは様子を見る積りだ。このギルドでも領主から盗賊の鎮圧を形取るようにと、先日にも通告として届けられた。そこでその先遣隊の志願者を、昨日に集ったばかりだ」
ここでさらに治安が守られそうだと、マーレは呟き顔を綻ばせる。
「・・そっか。ギルドでも盗賊討伐に行くつもりだったんだ」
「違うぞマーレ。先遣隊とは聞こえが良いが、そいつらは結局体の良い囮隊だ。それで何とか成るかはそいつらの実力しだいだが、必要になるのは程よく弱い者達だ」
「何で?そんな弱い人達ならただ遣られるだけでしょうよ」
腕の伴わない攻撃部隊なら、それはただの自殺志願者に違いなかったからだ。
「相手も様子見の襲撃になるからだよ。最初に全戦力の投入をしてしまっては全滅を避けられないから、弱々な程よい加減で戦い次への余力を残す訳さ。そこで似た美味しい得物を見つければ、今度は手間を省いて一気呵成に仕留めに来る。捕縛者の救援と嘘を餌に自分は逃げる奴とかな」
「それじゃああたし達の時も、それと同じように余力を残したのかな?」
「そこら辺は相手にしか解らないが、逃げるだけの行商人と生き残りの二人に、常套手段の挟み撃ちを使ったのだから負けは無いと計算してた筈さ」
「あー貧乏イオを引いたからね」
「いやいや、可笑しな・・変な意味だよね?引いた話しも得意じゃねーよ」