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08話



ーーレグシルツ街ーー武器屋で買い物中!


 キターあるじゃん!あと出しだけどマジックアイテムばりばりの、これでオレも魔法剣士だな。山とか真っ二つに出来たらいいな。ってか、出来ないと困るよ。このままだとマーレのヒーローで終わりそうで。


「さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい・・まあいいや。これがさっき言ってたマジックアイテムの二双だな。こいつらは機能的に魔剣と言われてる奴だ。そこに炎魔法の付与と水魔法の付与がされている。」

「ちょっと待て!まずは価格だな。ここで散々美味しい事を聞かせて置いて、いざ買う時になって聞いたらびっくり仰天てのは先に避けたい。そんなの諦めきれないからな。それの価格は?」

「・・よし。聞いて驚くなよ!これはどっちも金貨六十枚程の相場の物だが、今は大セール期間で各ともに金貨十五枚という感激な激安価格だぜ」

「・・ここにまで価格破壊が・・ふ~ん下げ過ぎな気がするな。そこは能力の問題か人気が全くないとか。それともデットストックの超長在かだな」

「ちっげーよ、能力には全然問題ない。それこそ使える奴が使えばすこぶる効果が出る、そんな折り紙付きの物だぞ。在庫は確かに長いが・・」


 やっぱり、長かったのかよ在庫が。それに全く客が入って来ないこの店って、これで大丈夫なのか?売り時を逃しまくりなんだなきっと。しかし交渉が出来るのならとイオも乗り気に・・出来るなど誰も言ってはいないが。


「・・解った。オレも男だから無理は言わん、金貨八枚になるなら先の話を聞く心積りがあるぞ」

「いきなり半値かよ! ・・うう、そいつは金貨九枚と銀貨五十枚ならなんとかする」

「オレは金を数えるのは好きじゃないから、金貨九枚でキリがいいぞ。ここは銀貨五十枚を値切ったオレじゃなく、金貨一枚を上乗せした男気に敬意を抱け」

「・・思わず俺が銀貨五十枚を得したと勘違いしそうだったぜ。まあいいそれで商品に納得すれば、手打ちとして話しを進めるぞ。まず炎付与の剣・・それを握って構えてみてくれ。」

「・・構えるって・・ただ普通に構えるぞ。こんな感じか?」

「・・そうそうそんな感じだ。そこは目でも見えて来たようにちょっとだけ刃の回りに淡い炎の感じ・・そんなもんだな。そしたらお姉ちゃんと交代してくれ。」


 それはマーレが持つには少し重いので、両手でかなりしっかりと握るのだった。その結果と言えばやはり似たり寄ったりであったが。


「・・だな。この剣は炎属性が高い者に、特別な付与を付けてくれる。それは切り傷を激しく燃やしたり、剣の倍の長さまでの炎の剣としてその勢いで貫ける・・らしい」

「・・何だ、らしいってのは?はっきりとは解らないって事か?」

「ああそこまでの能力者がここに買いに来てたら、そいつはとっくに売れてるよ。だからお試しって言ったろ?出来る限りここに来た奴に握らせて、せめての効果を知りたいからな。」

「段々眉唾な話しになりつつあるな。兎に角今のオレ達には、ブタに真珠で付与の効果は出てないな。それもあるか無いかは試さないとってか・・水の方はどうかな?」


「・・そうそう、水属性はすんだ泉のごとく・・普通にほんわかか。ちょっとだけ水が垂れているが・・刃が水をまとって青白く輝き剣の長さの倍程の範囲で切り裂く・・無いな。勢いよく剣先で突く事も・・そこはお疲れ的な汗程度だな。」

「・・今ので、オレの無双の夢は潰えたな。んじゃマーレいってみようか・・・・おいおやじ、剣が青白くじゃなく透き通った感じになったぞ?なんだこれ・・持った感じはどうなんだマーレ?」

「・・持った感じはどうかって聞かれ・・さっきのよりは持ちやすいよ。って言うか、手応えとかじゃないや。これ軽いよ、ほとんど重さを感じないもん。」

「よし買った。それはマーレの決まりとして」

「解ったわ。それじゃあオヤスミなさい」


「はっ?どうしたマーレ?」

「あっ、あのね。今頭の中だと思うけど、この魔剣に話しかけられたの。それでね、少し寝るからオヤスミなさいって」

「出会って即効で寝るなよ!何しに出て来た?」

「お買い上げ有難うって言ってたよ」

「あったよね!そんな感じに出る召使いや使い魔の話が・・駄目路線真っしぐらじゃねえか」

「・・おいおい、こっちにも解る様な説明で頼むぜ」


 ここで要領の良い話をマーレに期待するのは無理だろう、この魔剣は探し求めていた主と巡り合えたと伝えて来たのだ。それのほんの一瞬にどれ程の事も語れる筈は無いと知るモノだが、そこは時をも止める力でその多くが語れたと言う。それが当人同士にとっては必要で、避ける事が出来なかった事実でもある。その結果から生まれたモノは、この魔剣か能力を発揮出来る様に成るには暫くの時間が必要だった。


 それでもこの魔剣が間合いの倍程に斬撃を放ったり、ちょっとした凍結の氷魔法が使えるとの情報は得られている。それと追加特典には絶対防御を可能にする、最大で三センチに成る黒いモノが与えられた。それも一つの大きさがであって、何処からともなく幾つも沸き出るものだが。


「その胸元から出て来るのは大丈夫なのか?」

「そうそう。これって何処からでも構わず沸せられるんだけど、胸元から出すと見た目がいかにも悍ましいでしょ?それって何かいいかなーアイタっ!」

「ワザとかよ!ちっとは場所を選べよ」


それがどの様な特殊と呼べる物体なのかは全く把握出来なかったが、当の本人には外敵からの干渉が全くない。つまりそれがマーレの体を覆っている場所を誰かが触っても、掴まれた感触も無く感覚も伝わらないのだ。その行為を視覚で捉えていなければ、そこに何が合った事も気ずく事はなかった。




   ――――翌朝・オートル亭、イオ達の宿――――


そんな凄い物が手に入ったとしても、これからは冒険者としての矜持を持った行動が必要と成る。そこでこの明かりの乏しい世界の日の出と共に目覚め、食事が出来る・・食堂が始まるまでの時間を庭での訓練に当てる。それを出来る日には必ずってのが、この世界で生き残るコツと言えるだろう。


 そんなオレ達は誰よりも早く覚えたのは、この訓練の成果が洗濯物を作る・・だった。この世界に洗濯石鹸とかの生産産業は捗っていないので、ゴシゴシと・・そこは西洋風と言えば聞こえはいいか?それでも酷い汚れを取るとなれば消毒するようなアルコールを使うみたいだが。


 この街での始まりで二人に出来た物が洗濯物・・それをイオは手慣れた動作でさっと洗い、その仕上げはとっても微弱な風魔法で布に着いた水を飛ばした。それは風の力で乾かしたのではなく、布に着いている水分を分離させて移動させていた。


 だから洗濯物から移動させるまでの距離を明確に指示した作業だが、これが客観的な見方と成れば濡れたマーレのパンツが回りへと水飛沫を放つ・・犬が濡れた体から身震いで飛ばす感じになる。そんなパンツが勝手に身震いした所を見られたら、地に伏したイオの世間体は地中に潜るだろう。



そして乾きの加減を顔に当てた確認姿なども、他の人に見られてはならない。その洗濯物を終えて部屋に戻ると、普段着っぽい格好のマーレが居た・・すぐにその場で冒険者スタイルに着替えさせる。何んで?となるが宿屋での食事の時はこっちでとかは辞めてほしい、それでは洗濯物が増えるだけでついでの困り事も増えるからだ。この洗濯事情が悪環境であるのなら、まめに着替えての服の長持ちは望む事は出来ないだろう。


今日の午後にギルトが出す証明書を取りに行くのだが、それを昼食を食べてからにするのか?証明書を貰った後に食事にするかを考える。先日に武器屋で聞いた情報から、オレやマーレが使っている保管用の袋は、中は空間魔法が働いているから物が腐らないと再度確認が出来た。ならば食べたい作りたての物をそこに入れて置けば、いつでも美味しく食べ放題となる。


 でもオレの食事は?不要だけど・・それは良い話しだが歩きながらの所構わずとは行かない、そもそもが世間体の問題になるだろう。ならばと屋台の空椅子への持ち込みは、さらに持っていない常識が疑われてしまう。


 だが前にもその状況に移動兼用の馬車を使ったのだから、今回の街中での昼食は馬車の中で食べる事を前提にした。その中は座れてもテーブルなどが無いので、ここは簡易的な物を用意する。後は・・馬が所構わず落とす、馬糞の対策を考えて置けば問題はないはずだ。となれば宿屋で在庫にあった座布団の2枚を買い取り、道具屋で馬車の中にあるようなサイズ的にいい感じの水オケとテーブルサイズに使える板も買った。


 その馬車の中に荷崩れ防止の網があったので、しっかり押さえて商業ギルドに向い馬車を指定の駐車スペースに止める。そしてその向かいが冒険者ギルドだけあって、食べ物を買って出掛ける奴らを対象にした仮設屋台がいくつも並んでいるのだ。つまり食べてる時間はないけど、テイクアウトには気を使っている店な訳だな。


「マーレ、なるべく野菜をちゃんと食べろ。朝が起きれないのはその辺の理由だと思うぞ」

「ここにも居たよ、父さんみたいな事を言う人が」


 何を言っている、オレはお前の父さんより父さん力が高いぞ。そんな事を思っているイオは屋台で好きな物を買ってから馬車の中に入り、そこにあるオケの上に板を乗せたテーブル擬きでさっそく昼食を取り始める。


「今日はギルドで証明書が貰えるはずだから、その時に人探しの仕方?専門の人がいるのかと、警備隊の管轄になるのかも確認しようか」

「・・うん」


 何でしょう?今の話題が一番喜ぶはずのマーレから、不安そうな返事がさらに際立ったのは?このマーレの不安が何を指しているのかと言えば、当初からの目的である父親捜しが終ってしまえば、イオと一緒にいられる理由が無くなるからだ。その不安は意図的でない返事によって解決される事となる。


「・・どうした?さっさと父親を見つけて、家に戻って3人で暮らすってのが第一目標だろ?」

「いいの?3人で暮らしてくれるの?」

「ああー問題ない、他に何かを遣る予定も無いからな。オレは別にそれで構わないよ」

「うん!うん!うん!」


 全く持って何も無い、そんな今のオレってば無いなー遣る事が。オレは勇者だ!とかそれもないからこの世界を救ってくれとか、誰にも言われもしないし。それに聞いた話しによるとこの世界は戦後200年も経つから、今じゃ平和ボケが当たり前っぽい。

あれ?もしかしてマーレが特別な・・ほんとは実の親子じゃなく他に生きていている、母を訪ねての冒険旅行とか・・そこを好奇心で聞くダメなイオであった。


「そう言えば、マーレの母さんてのは?」

「母さん?・・母さんはあたしが小さい頃に疫病を患って亡くなったの。前に冒険者を遣っていて魔法の使い過ぎて免疫力が落ちてたって、そうそう魔法が使えたんだよ。」

「・・ほう」


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