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01話

新期投稿です。他サイトにも掲載してます。


――――ラヴイダ大陸 エリステン王国首都・エリダヌス近郊――――



[悪夢か・・」


 今、眼下に映っている凄惨な光景・・それは地獄に見えこの世の終わりかと思えてしまう。まさかそんな妄想解釈をのたまう場に立たされるなど、夢にも思って・・えっちな夢しか見無かったけどな。いやいやこれが夢であって欲しいと思うのは、この場に誰が立とうと同じに違いない筈だ。それがここでのオレに出来る精一杯の逃避であり、そんな僅かな時間も許してくれずに現実に引き戻す者が隣にいた・・


「こんなはずじゃ無かったんだが・・」

「・・何を今更呆けてるのかしら。これくらい・・この世界の生き物がこれで三割程が消滅したかも知れないけど、それでも7割が助かっているからこの状況は上々だと思えるわ。」


(いや、それって無いわー。そこを三割とかって気安く言ってるけど、世界人口は90億って聞いた事が)・・何やらブツブツと呟いてる男の隣には、透過しそうな繋ぎ目の解らない純白のドレスを身に付けた女姓がいる。頭二つ程に上背に見えていたので、身の丈が高い・・足の長さ程の高さに浮いているからだ。こんな悪劣な環境のこの場で、白以上に透過に見えるドレスだけを纏ったままでだ。彼女の履物が風呂場に置かれたサンダルに似ていたが、火焔地獄さながらだから寒さは気にならないだろう。それならオレの隣にいる愛しの女神様へ・・


「そんな時だけなの?愛しいと思うのはーーその辺に居る豆粒の生き物まで数えたらーー動物だけでも500万種を超えるのよ、その数の確認が終る前にここの全てが滅びて消滅するわ」

「凄い数だな・・にしておくよ。それってオレの世界だけの話な訳だから、合わせたらその五倍って事になるのか?」

「・・そうではないの。貴方の世界の生き物が全てであって、その世界にいる生き物たちから創生して出来たのが、こっちの五つの別世界なのね。だから簡単に言えば、そっちからここの五つの世界に振り分けてる感じかな。」

「・・そうなんだ。それってこの五つの世界が滅びても、元であるオレの世界には影響が出ないで良いのか?」

「レナード・・酷い話しをするけどこちらの世界で生を失えば、貴方の世界でも生きてはいられなくなるわ。ここで必要な生命の源を削られてしまうのは、致命的でありそれは生きていく気力を失うのよ。」

「・・何十年?何百年?ぶりに、オレの名を呼んだな。」

「妻は旦那様を、貴方と呼ぶと教えたのは誰かしら?その話をしている余裕も無いのだけど?」


 そこで二人の意識を呼び戻したのは、眼下に広がった見渡す限りの惨状がさらに押し広げている、それは生易しい火山噴火とは比べられない状況だ。微風であっても容易く火焔に変わる上等な炭が取り放題・・その意図した生産者が起こし続けるそんな場所である。それでも当人とすれば、爆炎不足な出来損ないと言いたいみたいだが。その紹介に合った生産者は誰なのかと言うと、全ての生き物に憎悪を抱きそれを滅ぼそうとしていた・・今は何を生産してんの?それは知りたくないけどな。


 そこに結果を求めているのが、破壊神の特盛り的な魔王・・自称大魔王その人だったが。それを名乗った本人は至って真面目で、それに思い至った事だかららしい。この少し前までは他の四つの世界に、負けず劣らずの魔王ども四人が君臨していたが、それはレナードによって物の見事に玉砕され崩壊に至っている。そこは種の分別に従がっても生き物には含ませなかったので、それは死滅でなく崩壊と定めてみた。それが何故崩壊なのか?眼下の目前でこちらの世界に再度創造されたからだ。それでも知を備えた魔物には遠く及ばずで、それ等の四つは空に浮かんだ魔力の源でしかないと主張している。


 お前は孔雀か?などと言葉汚く罵って、今のストレスが発散出来たら最高なのだが。その大魔王の後方に大きく創生された三つのブラックホール?は、その回りの何もかもを飲み込もうと存在する。そこはただただ圧巻で極悪の根源と言えるだろう。その元とも言える状況は200年もの時を遡る話から始まるが、知とも意ともが他種とは比類とならない絶大力を持つ人類の出した怨が、溜まった絶大なストレスから悪の根源の創造へと至った。その経緯を女神から聞かされたレナードは、自分の世界に起きていた戦争・テロ・重犯罪などがそれらが元の怨になって至ったのだと。そして集った悪意の怨がこちらの世界の五つに広がり、想像を絶する魔の収束がそこで創作されてはいけないモノを生む。その結果がこの四つの世界にそれぞれの魔王の誕生を許した。そして五つめのこの世界で初めての大魔王が誕生しようとしているのだ。


「今のうちにこの新米大魔王を、何とかしないといけないか・・」


 ここでレナードが新米と呼称をつけたのは、つい先程に他の世界で崩壊した魔王の残りカス、それをこの場に集める事を成就し目の当たりにしたからだ。そして数の分だけここでの力を増している、少しずつではあるが理解が近いと。そこは果の無い強さに成っていくのだから、何も出来ず知らずの新米と比べるのは如何なモノかと思うが。しかし、そもそもが何故?誰が?と疑問を投げたくなる自分がいる。この世界の創造神とのたまった妻であり女神が言うには、勝手に思わぬ方向へと突き進み対処が叶わぬ魔王が生まれてしまった。そこで最後の頼みの綱となる自分、現実真界の住人で存在が許されざるモノ・・お助けへと参上したレナードとは自分ですよ。

それと、良く解らない中世の騎士服に、魔剣と自称する?剣を振るっていた。頑張り屋なオレが、こっちのアルバイトで稼いで買い求めた物だけど。


「ガガガッ」


 そんな大魔王が吠えたのか?喚いたのかが上手く聞き取れなかったが、ここでの窮地にプラスを呼ばないのは確かある。


「・・あれって前はそれらしい言葉を、話てたはずなんだが」

「不要なのよ。言葉とは会話をする相手があるから必要なだけで、何もかもを消滅させるなら不要と切り捨てたのでしょう。それよりあれが未だに元の人型を維持しているとこが、不思議に思えるくらいだわ。」


 そこで女神が・・妻が言っている事を認めその大魔王を見据えると、口らしかった所は丸い穴が開いているだけだった。塙かよ!ってか、ムンクの叫びにも似てるけどな。


『あの後ろにある魔力溜まりの幾つからか、それの力を集めていますぞ。ここで何かの大きなモノを放つつもりですな。』


 レナードと女神の二人だった所に口を挟んだのは、レナードが所持している魔剣ーー永極氷弌閃ーーである。その魔剣の持っている能力の一つで、そこに在る魔力の大きさ?が計れると言っていた。そしてその範囲は広く遮るモノが少なければ、周囲の約660㎞程までは探れるらしい。それが魔剣の目となるのだが、あくまでも魔力の大きさと微妙な色合いしか区別はつかない。今もそこでのレナードの魔力を見極めて、その位置を再認識し忠告を投げて来た。


「ここは遣られる前に、こっちが先手を打つしかないか」

「そんな得策の何かを思い付いたと言うの?」


 そこは女神の知らない所と言えるが、彼に付き添って最早200年近くーー178年と3ケ月と4日が正しいーーその間に彼が頭を使った戦いは、今までに一度も見たことが無かった。そこはいつも腕ずく力ずくの、まさに行き当たりバッタリな戦法だったからだ。


「ああ出たとこ勝負になるが、どっちに転ぶかまではそこでの判断になるな」


 やっぱり行き当たりバッタリだ、勝負は時の運とかプンプンと胡散臭い話でしかなかった。人とは毎度に成長の言葉を口にするが、その現実は停滞でいっぱいいっぱいだ「頼むぞ!」聞かされるこっちもお腹いっぱいですー。その申し出を魔剣に伝えたレナードは、もう一つの願い事を最愛の妻に伝えた。


「奴が魔法を放つ前に正面から懐に飛び込むから、この剣が差し込める程度の穴を作れればいいのでそこの時間をどうにか止めてくれ」

「・・それが出来たとしても、一瞬だと思うけど?あれがそれに気ずいたらそれを直ぐに壊されるもの」


 その返事がかなりの気弱なのだが、どんな些細な隙間であってもそこから活路に繋げるしか、手段と思われるモノが無いのが事実である。「やっぱり出たとこ勝負か・・」その認識が、確信に変わったくらいの進展は合ったのだが。


「時間が作れないなら、その間合いは任せる!いくぞ・・プログレスフィナティ」


 ここでレナードが唱えた呪文とも言える言葉は、自らの魔力を魔剣の能力で活性させこの場を最大速度で移動する為だ。そこに最大の魔法を放とうとする大魔王でも、羽虫程度の力のレナードを捕らえ駆逐出来ない理由がその速さである。それでも毎回に魔法を放つ都度にそれは進化するから、何よりも無敵を思わせた極限の脅威だと思うしか無かったが。

その余りある魔力と三つの魔力溜まりを上手く使う大魔王は、非常識な魔法を同時発動し自らにも強大な魔力防壁を展開させその身を守っていた。


 その様な魔法の多重掛けは本来なら魔力付与の触媒が担当となるのだが、そんな面倒に困らず別世界で崩壊させられた魔王のカスを今は再利用状態だ。

しかしその強度を増すためにその防壁を纏っているのは、それは拙い若輩な愚考者と言えるのだろう。

 そこは幾重に重ねるよりも相手を近寄せない間隔を取った形になっていれば、後手に寄る次の対策を打つ時間も稼げたはずだった。それが出来なかった為に急を要し、対処だけの後手を繰り返す結果が待っていたのだから。


 ここで自身の掛け声に気を上げ大接近し宿敵な大魔王の懐近くに飛び込んだレナードは、そこに合った魔力防壁を魔剣の能力を強いて、得意な空間魔法を放ちその白滲んだ斬撃で消し去った。

だがそれは、ここで何事も無かったかの様にそこが直ぐに改修され始める。今ここでレナードが放った攻撃が、そこで無駄な行為で無かったと知るのは、そこに僅かな剣が刺し込める隙間を見つけたレナードだけかも知れない。

この世界を改変し事象を書き換えるのが魔法であるなら、この大魔王が信じる魔法を放つ事が出来れば、どんなに足掻いてもレナードに勝ち目は無いはずだった。

しかし我が身を守る行為を無意識にでも行動しているのなら、これが持つ意識の消滅に畏怖を抱いているのも事実だ。それは大魔王として自惚れてはみたが、矮小な魔王程度が縋った行為でしか今はない。


「弱い者いじめが得意なだけじゃ、魔王の肩書も下ろさないといけないわね。」


 ここで女神に答申する者などはいないのだが・・余裕など微塵もないレナードは、微かな望みと思えるような隙間が、その女神が時間を止めて作ったその穴へと剣を突き刺した。そして直ぐさまに魔剣が放てる斬撃の五連を放つと、その攻撃で大魔王が五体に・・五つへと解体された。しかしそれは何事も無かったかの様に元えと再生を始める。


「奴の急所であり本体は、人の時の心臓が合った付近だ!そこへ斬撃を五角形にぶち込めば、真ん中に異界の窓が開くはずだ。その中へ大魔王のバラしミンチを叩き込むぞ!」


 そこで今一度の繰り返しな攻撃を仕掛け、予想を予定に熟しミンチと名ずけた大魔王の欠片を、そこに出来た異界に叩き落とすのだった。そこでの意に沿わなかった事実は、異界に引き込まる大魔王の魔力がレナードからも離れなかった。そこは全てが無に帰る異界でしかない・・





「・・・?ちょっとおォォォォォォォォ!」


 そしてそこに残ったのは、女神の悲壮感が漂よった大きな叫びだけだった。


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