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第4話 修行開始

初めてブックマーク登録してもらいました。人生の中で嬉しかったことトップ10に入るほどうれしかったです。毎日投稿を心がけておりますので何卒宜しくお願い致します。

 次の日朝食を食べ終えると、さっそく魔法の修行をつけてもらおうとリエールのところに行こうとしたが、テトラと遊ぶ約束をしていたことを思い出した。反故にするわけにもいかないので、まずいつも遊んでいる広場に向かった。


「ユウ君おはよう!約束覚えててくれてうれしいかな、さすが私の将来の旦那様かな」

「テトラおはよう!」


広場にはテトラが待っていた。今日は他の子はいないようだ。この村には俺やテトラと年が近い子が他に三人ほどいて、いつもその5人でデーモンごっこ(鬼ごっこ)などをするのだが、、、。


「ほかの子はいないの?」

「うん、今日は二人で遊びたい気分かな」

「何して遊ぶの?」

「おままごとかな」


幼稚園にいるときに少しだけやった記憶があるが、内容はほとんど覚えていない。即興で何かを演じて寸劇のようなものをすることだとわかってはいるのだが、、、異世界でも同じなのだろうか?。


「いいよ、やろう」

「じゃあユウ君が夫役で私がその妻役かな」


二人だし配役はそれが適当だろう。


「じゃあ私がご飯の準備をしているところに、優君が帰ってくるシーンから」


そう言われて少し離れたところでスタンバイした。テトラが包丁で食材を切っているような動きを始めたので、俺は夫になったつもりで近づいた。


「ただいまー」

「あっおかえりなさいあなた」


そう言うとテトラは目を瞑って無言になってしまった。実は裏設定で妻はアンドロイドで、電源でも切れてしまったのだろうか?状況が理解できずに考え込んでいると、


「ユウ君ただいまのキスだよ、こんなの常識だよ、わからないかな?」


俺は異世界のおままごとどころか地球のものすら詳しくないので、異世界の女の子であるテトラが常識というならそうなのだろう。異世界のおままごとって進んでるな~。


「ユウ君はやく!」


テトラが催促してきた。さてどうしたものか、、、所詮6歳児の遊びなので別に問題ないのだろうが、俺は中身はおっさんなのでとてつもない罪悪感がある。


どうしたものかと考えた結果、おでこにすることにした。それでも経験の少ない俺は少しドキドキした。


「まあ今はこれで許してあげるかな」


及第点はもらえたようだ。そのあとはご飯を食べる真似などをして滞りなく進められた。テトラも満足してくれたようで、午前中には開放してくれた。一旦家に帰って昼ご飯食べた後、待ちに待った魔法の修行のためテトラのもとへ直行した。


「モテる男はつらいねえ」


俺の顔を見てリエールがそう言ったような気がしたが、おそらく聞き間違いだろう。早速修行を始めるために森の中に入った。少し開けた場所があり、おそらくここでこれから修行が行われるのだろう。


「まずは魔力を感じてもらうところからさね」


最初の修行は俺が瞑想しているところにリエールが魔力を流しそれを感じ取るという修行だった。俺は今まで体内に魔力があると感じたことはない。魔力のない人間はいないので、どれが魔力なのかわからない状態なのだ。ずっとヘッドフォンをつけていたときに、ヘッドフォンをつけていることを忘れてしまっているような状態だろう。


つまり生まれた時からあるが、それが当たり前で自然に感じてしまうのでどれかわからないのである。この修行は最初ということもあって一見簡単そうに見えるが、実はかなり難しい。魔法使いになることをあきらめた人間はだいたいここで挫折するのだという。


というのも体内に魔力を無理やり送り込む行為は、臓器不全や下手をすれば細胞そのものを壊してしまう可能性のある危険なもののため、送ることができる魔力はごく僅かなのである。


その少ない魔力を認識してさらにそれと関連付けて自分の魔力を感じ取るのはとても難しいことである。リエールには、「平均3か月、センスのあるやつでも1か月はかかるってところさね」と言われた。


修行を開始して2週間がたった頃にリエールの魔力らしきものを体内に違和感としてとらえられるようになった。これは早いんじゃないかと思い、「師匠やりましたよ、魔力を感じられましたよ」と嬉しそうに言ったら、


「別に早くはないさね、大変なのはここからさね」


と言われた。冗談かと思ったがここからが本当に長かった。体内の自分の魔力が感じられないのである。体内でリエールの魔力のようなものを必死に探すのだが、体外から来た別人の魔力と生まれた時からある自分の魔力とではやはり違うようで中々見つからない。


見つけた時には修行開始から3か月経過していた。俺は凡人ということだろう。次の修行は体内の魔力を体外に放出するというものである。これは簡単らしく一週間ほどでできた。体内の魔力をコントロールするのが難しく、それでも一週間かかったのだが、、、しかもまだ掌からしか出すことができない。


「明日から魔法の発動に関する修行を始めるよ」


リエールの家で帝国ので使われている言語エンディル語を習っている最中、リエールにそんなことを言われた。実は修行を開始した頃から、魔法に関する修行は集中力を使うためとても1日持たないため、修行の後にエンディル語の勉強をしていたのである。


リエールの持つ研究書はエンディル語で書かれており、それを読めるようにするためである。


「リエールが教えてくれればいいじゃん」


と考えなしに言ったのだが、


「馬鹿たれが」


とリエールに拳骨をもらってしまった。痛い。


「わしが死んだらどうやって読むんじゃ?そして誰があの研究書を継ぐんじゃ?」ということらしい。こんな強いばあさんが簡単にくたばるとは思えないが、そんなわけで今日も修行終わりに勉強させられていた。


そんな中ようやく魔法を使える修行を始めると言われ、「やっとか」と嬉しさが込み上げてくると同時に少し涙も流れ出てきた。地球では特になにかを頑張ることもなく、継続したこともなく過ごしてきたのだ。そんな奴が本格的に魔法の修行を始めるまでに3か月頑張ったのだ、涙くらいは許してほしい。


「なに泣いてるさね、ここからがスタートライン、今までは準備に過ぎないさね」

「でも僕ここまで来れて嬉しいんです、これからもよろしくお願いします。」


次の日から行われた修行は、放出した魔力を変形させるというものだった。魔法陣の形は複雑で、魔法レベルが上がるごとに魔法陣はより複雑になっていき難易度を増していく。そんな魔法陣の形に対応するためにはひたすら練習していくしかない。


周りからみるととても地味な、しかし確実に進歩している修行第3段階が始まったのである。

そんな充実した修行の帰り、


「ユウ君今までどこにいたのかな?」


まずい、、、テトラや周りの人間にばれないようにいつもはみんなと朝遊んでからリエールのところに修行に行っているのだが、今日テトラは家で作っている作物の収穫の手伝いで、遊べていなかったのである。それでどうしても遊びたかったテトラは手伝いが終わったあと俺を探して今に至るというところだろう。


別に隠す必要はないのだが、まだ魔法を使えるようになったわけではないので言いたくなかったのである。どうにか誤魔化せないかと悩んでいると、


「どうしてだまっているのかな?もしかして浮気かな?」


彼女の中では昨日のおままごとはまだ続いているらしい。もうすぐ魔法は使えるようになるだろうし、言っても問題ないと思ったので言うことにした。


「実は僕、今師匠――リエールおばさんに魔法の修行をつけてもらっているんだ」

「本当に?でもどうして魔法を覚えようなんて思ったのかな?」

「魔法学校に通いたくて」

「ダメだよ、それじゃあユウ君と離れ離れになっちゃうかな」


テトラはとても悲しそうな表情をした。俺も生まれてからずっと住んでいるこの村を離れるのは少し寂しい。


「大丈夫、長期休暇の時は必ず帰ってくるし、卒業したらまた会えるから」

「ダメかな毎日会いたいから」


そういった後テトラはしばらく考えた後、何かを思いついたような表情をした。


「そうか私も一緒に、、、そのためには、、、」


そのあと何か独り言を言って満足したような表情を浮かべた。今日のテトラは表情がコロコロ変わるなあと思いながら見ていると、


「ユウ君魔法の修行頑張ってね、私も応援してるかな」


そう言ってくれたということは納得してくれたのだろう。


「うん!頑張るよ」

「私もそのためにいろいろ頑張るかな」


テトラが最後に意味深なことを言ったが特に気にせず二人は別れた。




最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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