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時戻りの愚者  作者: ランファン
3/8

訓練初日

ノックの音がして翔人は目を覚ました。


「翔人様、お昼御飯の時間で御座います。起きて下さいませ。翔人様、お昼御飯の時間で御座います。」


もうそんな時間かと思いながら翔人は扉を開けた。そこには執事が立っており、お昼御飯を食べる為の場所まで案内してくれた。そこには国王と優希、美之が座り翔人を待っていた。


「翔人殿、おはよう。よく眠れたかね?」


「とても気持ちよく眠れましたよ」


「それは良かった。寝起き早々済まないが一つ謝らないと行けないことがある。」


「なんです?」


「召喚当初に君たちのステータスを見させて貰った。マナー違反だとは思ったが素質が無いものを召喚してしまった場合静かに生活させるための物だすまないとは思ったが必要なものだ。だが君らだけ開示すると言うのも釣り合わない話だ。こちらも対価を出すという事で手打ちにしないか?」


「一先ず覗きについては納得しよう。それで?そちらは何を対価に出すんだ?」


「儂と数人の騎士のステータスの情報とどういうステータスを見たかの開示、国宝の鑑定石の使用許可だ。」


「鑑定石と言うのはなんだ?」


「高レベルの鑑定スキルが封印された石のことだこれで君らのステータスを見させて貰った。普通の鑑定より細かいことが見れる。」


「分かった一先ずそれで手打ちにしよう」


「助かる。これ以外の要求も出来るだけ受けようその都度こちらに言ってくれ」


王宮の食事だけあって美味しい食事だった。

今日の予定は

1.魔法についての講義

2.体術等の訓練

らしい

________________________


昼食を食べて少し休憩してから魔法について学ぶことになった。教えてくれるのは宮廷魔術師のアンナさんという方だ。


「いいですか!魔法とは魔力を燃料に想像を具現化する事です。異常な現象も起こせなくはないですが、現実から離れるほど、もしくは現象が強力な程、魔力の消費量が著しく上がります。なので実質不可能です。また、魔法を扱うには詠唱等は本来必要ないです。ですが最初のうちは……」


敵を焼き焦がす火の球!『ファイアーボール!!』


「という感じでイメージの補助として詠唱をするといいです。相手にバレやすくなりますが成功率が上がるので場面によって使い分けて下さい!では試しに皆さんも魔法を使ってみましょうか!では…ミノさんから行ってみましょうか。ちなみにファイアーボール等のボール系は火球と略されます」


「は、はい!」


敵を焼き焦がす火の球!『ファイアーボール』


美之が放ったファイアーボールは的に勢いよく飛んで行きゴン!という音を立てながら的を削り取った。


「次はユウキさん!行ってみましょう!」


敵を焼き焦がす炎の球!『ファイアーボール』


勇輝が放ったファイアーボールはそこそこのスピードで飛んで行き的を少し焦がしただけだった。  


(2人で飛ぶスピードが違う……?この違いはなんだ?魔力量なのか?そういえばアンナさんの火球は矢ほどのスピードだがとても高い威力が出てたな……もしかしてこれはイメージの仕方の違いなのか!美之はバレーボール部だったからそれに影響された速さ!優輝はサッカーをしていたからそれに影響された速さ!アンナさんは矢を見てそれと同じ速度になると想像したんだ!)


「次、カクトさん!行ってみましょう!」


考えていたら俺の番が来たらしい。俺は銃弾の速度を強くイメージし、力強く詠唱した!


敵を焼き穿つ火の弾!『ファイアーボール』


俺が放った火球は目にも止まらぬ速さで的に向かい的を大きく揺らした。


「な、なんですかあの速さは!?なんであんなに早くなるんですか!?」


「アンナ先生、魔法はイメージ…なんですよね?なので、とても速いものをイメージしたらあの速度になりました。

なぁ?お前らも銃をイメージして1回撃ってみろよ。」


そう言われ2人はイメージしながらファイアーボールを撃った。すると同じ様に目にも止まらぬ速さで美之の方は的を弾き飛ばし優輝の方は的を穿った

これで魔法の仕様は形、方向性、速度はイメージに、威力は魔力量に影響されるということが分かった。そしてそれを理解した瞬間、アナウンスが流れた。


『スキル【魔法】を入手しました』


スキル【魔法】

入手方法:魔法について理解することにより入手出来る。

効果:魔力次第でどんな魔法でもイメージすれば使えるようになる。


「さぁ道は開かれた!魔法の真髄を目指すが良い!」


何だこのフレーバーテキスト……ふざけてんのか?


「……さん!カクトさんってば!聞いてますか!ねぇってば!なんですか!あの魔法!何が起きたんですか!」


「え?ただ魔法を撃っただけじゃないですか。何をそこまで驚いてるんです?」


「魔法というのはイメージなんですよ!だから、イメージできる程の速度しか発動することが出来ないんですよ!なのにあんな速度で!どんなズルを使ったんですか!?」


そう、文明の発達していないこの世界では一般的にイメージできるのは矢か鳥の飛ぶ速度が精々であるため、ステータスによって動体視力が上がる以外では速い魔法は使えない筈なのだ。だが、翔人はあっさり使ったためとても驚いたという寸法だ。


「あー、まぁ勇者の特性と言うことで……」


「何か腑に落ちませんが…取り敢えずそれで納得しておいてあげます!勇者様は丁重に扱えと言われてますから!」


「そんな事言われてたんですか…まぁ、悪い扱いされるよりマシか」


「国王様が気遣ってくれているんだ。嬉しいことなんだからそのくらいいいだろ!翔人!」


「それもそうだな」


「まぁ、あれだけできるなら合格ですね。これ以降は魔力が足りないのでLvを上げてからですね。あ、美之さんなら足りるか。美之さんには残って続けて頂くのでほかのお二方は自由行動と言うことで。」


そう言うや否や追い出された。やることも無いので先に体術の練習の方に行くことにした。


「あー、追い出されちゃったよ。そういえばさっきなんでアンナさんに銃に関することを隠したんだい?」


「銃なんて知られてこの世界まで戦争の世界になって欲しくないからな。ちゃんと考えろよ、勇者様?」


「その呼び方は辞めろよ…でも確かにそうか僕らはその辺まで考えないと行けないのか…面倒くさくなってきたな」


「そうだなぁ」


等と雑談をしながら歩いていると三分ほどで訓練所に着いた。そこは小さな体育館ほどの広さの広場であり草の類は生えておらず3人の人影があった。話しているようだったがこちらに気がついたようで近づいてくる


「やあ、君たちが勇者様方かい?」


そう言って話しかけてきたのは騎士であろう装いをした金髪金眼で髪を短めにしている、筋肉質で優しそうな印象を感じる男性だった。


「ええ、そうですよ。魔法の座学が早く終わったので、何もしないのもあれですし一足早く来ようかなと」


「ふむ、それはいい心掛けだな!私は王国騎士団総隊長のレイブン=アルブルヒトだ。主に体術に関して担当することになる。以後お見知り置きを。」


レイブンはそう言うと洗練された動きで一礼した。


「そうか、僕は光進 優輝という。ユウキと呼んでくれレイブン、よろしく頼む。」


と言いながら2人は握手をした。


「では私も名乗るとしよう。私は王国騎士団第2番隊長カイグルク=デンジュールだ。主に武器に関する扱いを担当する。よろしく、ユウキ」


青髪黒目で長髪のガタイはいいがあまり怖さを感じない。騎士という印象を受ける人だ


「よろしく頼む。カイグルク」


「では!私の番ですね!私はアリス=アディールって言います!ユウキさんですね!私はあなた達のパーティーに参加する予定です!よろしくお願いします!」


「よろしく、アリス!…って、パーティー?」


「はい!そうです!」


「マジで?」


「聖女様は勇者様のパーティーの一員として魔王討伐に同行すると陛下から聞き及んでいる。魔族に聖女の聖属性魔法は魔族によく効くし回復の技術もとても高い。神からの啓司も受け取れるし一緒に旅をさせた方が良いとお考えになったらしい」


「それは頼もしい味方だな。俺は愛吟 翔斗という。よろしく頼む。レイブン.カイグルク.アリス」


「今日は勇者様方と親交を深めるのと同時に万が一のための回復要員として聖女様にお越し頂いた。それでどうする?訓練の予定時刻よりまだ時間があるが」


「俺としては早めに始めたいかな。こんな世界だし剣も慣らしておかないとな。」


「なら初めてしまおうか!じゃあカイグルクからだな!合う武器を探し出してやれ!」


「では、この中から適当に手に取って頂いて」


樽の中を見てみると流石は王城だと言わざるを得ない品ぞろえだ。基本的な剣や槍から始まり、斧、槌、ツヴァイヘンダー、盾、手甲等々多種多様なニーズに応えた武器が大量にあった。


「俺は取り敢えずこの剣でいいとして優輝はどうする?ここはオーソドックスに片手剣でも使って見るか?」


「うーん…これかな?」


そう言いながら取り出したのは1本の槍だった、身の丈と同じくらいで木で出来たただの槍だった。そうすると感心するようにカイグルクが、


「ふむ、槍か!悪くないチョイスだな。長柄で距離が測りやすく広い間合いで扱いやすい」


取り出すや否や構えだし感触を確かめ始めた。それはとても様になっており、とても素人には見えなかった


「ふむ、筋がいいな。これなら基礎を教えるだけでも良いかもしれんな…」


「それは嬉しい限りだな、俺はこの木剣でも使おうかな?意外としっくりくるし」


「むっ?貴殿に教えられることは無いほどに熟練だと見受けられる。1度模擬戦をしてみないか?私も滾ってしまってしょうがないのだ!」


「ふむ、慣らしにはちょうどいいか…受けて立とう!」


「え?だ、大丈夫ですか?いくら召喚者様と言えどまだLv1でしょう?流石に無理なのでは?」


アリスが心配したようにこちらを見てくる。


「彼ならば問題ないだろう。剣を握った瞬間の威圧感が違う。勝てるかも私には判断出来ない」


「まぁ、大丈夫だろ。木剣だし」


そう言うや否や2人とも距離を取り構えだし両者1歩も引かぬような雰囲気を醸し出している。


「では、このレイブンが審判を務めよう。ルールは相手を殺すような攻撃は禁止、そして魔法や暗器の類は禁止としよう。双方、異論は無いな?では、始め!」


そうして2人の勝負が始まった。まずはレイブンが先行だ。

鎧を着ているにもかかわらず素早い速度で翔人に肉薄し小手調べで横に一閃を放った。

しかし、翔人はこの一撃を1歩だけ後ろに下がるだけで回避、そしてカウンターで上段から縦に剣を振り下ろした。

咄嗟にカイグルクも剣を引き戻し鍔迫り合いの形になり力の関係上少し翔人が押し負けている。


「なかなかやるじゃないか!今のカウンターはとてもヒヤリとしたぞ!」


「あっさり受け止めておいてよく言うよ!」


そんな軽口を叩きながらも翔人は強引に距離を取りお互い見合っている。

次は翔人がカイグルクに向けて走り出した。無駄のない動きでカイグルクに近づき右に左に縦横無尽に連撃を繰り出す

カイグルクもこのままではまずいと思い、攻撃の隙に不意をつくように下段から斬撃を繰り出した。だが翔人もそれに反応し木剣スレスレに避けてそのまま首元に剣を突きつけた。


「参りました。」


「そこまで、この勝負カクト殿の勝利とする!」


「いやー、全力ではなかったとはいえ。負けるとは思ってなかったな!綺麗な太刀筋だ!」


「すごいのです!Lv1であのカイグルクさんに勝ってしまったのです!」


「アリス、カイグルクってそんなに有名な人なの?」


「そうなのです!カイグルクさんと言えば魔族との戦争で完璧な指揮をとりながらも時には先鋒として数百人の相手を殲滅し、更にどんな武器でま扱えるという多様さ!付いた二つ名は『万能騎士』オールラウンドナイト!王国が誇る屈強な騎士なのです!それに勝つなんてほんとにすごいのです!」


「やめてくれよ、俺はただなんでもそこそこにできるだけだ…持ち上げられる程じゃないよ」


「魔法無しとはいえカイグルクに勝つとはな。流石は召喚者といったところか。」


「へぇ〜俺はそんな凄い人に槍を教わることが出来るんだ!ラッキーだな!」


「では、これからユウキ殿の槍の訓練に入ろうか!カクト殿に教えられることは私にはないので自分で鍛錬していてくれ。」


「ああ、わかった。」


「よろしくお願いします!」


異世界人からはカクト。優輝や美之からは翔斗で差分化しています。

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