愚者、交渉する
…………おいっ!おいっ!大丈夫か!翔人!」
優希の焦ったような声が聞こえてくる。翔人は煩いなぁ……と思いながらもゆっくりと目を覚ます。
「起きたか……心配したぞ!翔人……!」
「なんでいきなり倒れるのよ!心配したじゃない!」
2人の言葉に翔人はどんな状況だったか漸く思い出し、焦って2人に問う。それにしてもあの情報量は凄かった。なんであんな音声が頭に響いてきたんだ!ミュートさせろ!
「ごめん!今思い出した……それで俺が倒れた後はどんな状況になってたんだ?」
翔人は優希から詳細な説明を聞いた。みんなでステータスを確認してる間に翔人がいきなり頭を抱えながら倒れて気絶した事。この部屋に運んだ後に王達から聞き出した結果、元の世界には返せない事。この世界の金は硬貨でやり取りされてること等々、この世界の一般常識をあやふやにだが教えてもらったらしい。それ以上の話は俺が起きてからするそうだ。来た時は朝だったのに、今は昼になっている
「俺が倒れた後の事はよくわかった。で、どうする?
この国に手を貸すかどうかの方針を決めておこう」
「僕は……この国、と言うよりこの世界に手を貸そうと思う。魔王とやらのせいで人々が困ってて僕達しか解決できないって言うんなら出来るなら助けてあげたい!」
「私は……出来るなら優希達に戦って欲しくないけど魔王を倒さないと人類が危ないんじゃどっちにしろ戦わなきゃじゃない!なら戦いましょう!」
「じゃあ、とりあえずはこの国で戦いに備える為に鍛えて、情報を集める、もしくは常識を知るところからはじめようか」
『わかった(わ)!』
うむ、素直でよろしい。やっぱり2人共人がいいんだよな…
「そう言えばみんなのステータスはどんな感じだったんだ?」
「僕のは……」
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ステータス
Lv1
HP 500
MP 700
STR 100
AGI 100
STM 100
VIT 100
RES 100
DEX 100
スキル
勇者 光魔法Lv1 算術Lv3
加護
アルティミシアの加護
称号
召喚者 学生
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勇者というのはこの世界ではスキルという扱いらしい。どういう基準でステータスが決まってるか分からないが俺のと比べても平均的にステータスが高い。The.勇者という感じのステータスだ。そして優輝が勇者と、これは煽るしかないな
「とても格好いいですね!勇者様!憧れちゃうや!」
「ちょ!辞めろって!小っ恥ずかしいだろ!翔人」
「なーに照れちゃってんの!次は私ね!」
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ステータス
Lv1
HP 300
MP 1200
STR 10
AGI 10
STM 10
VIT 10
RES 130
DEX 10
スキル
魔導 算術Lv3
加護
アルティミシアの加護
称号
召喚者 学生 全属性魔法適性者
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ステータスは10が普通なのか?にしても魔法特化し過ぎだろ!優輝とは対極に魔法特化型という感じのステータスだな。
「なんか魔法って楽しそうだしラッキーね!」
そんなこんなで話し合って居るとノックが聞こえ開けてみると執事が居た。
「国王陛下が呼んでおります、交渉したいとの事ですので来て頂きたい」
俺達はそれを了承し国王の元へと向かった。執事さんは無言でスイスイ進んでいく。そしてついに大きめの扉の前に着いた。
「こちらでございます」
と、言うとノックで確認してから大きな扉を開けた
その部屋は所謂来賓室と呼ばれる部屋で国王ともう1人、貴族と思われる男性が座っている。執事さんに座ることをすすめられ翔人達はとりあえず交渉の席に座った。
「よくぞ来て下さった勇者様方!此方は宰相のマクレーンだ!儂が頼りにしてる男だ。して、カクト殿の体調は大丈夫かね?」
「今はもう大丈夫だ、それよりなんの用で俺たちを呼んだんだ?」
「それは勇者様方に魔王討伐について頼みたかったからだ。儂らにはもう打つ手が無い……どうか頼めないだろうか!」
「その話については俺達3人で話し合った結果とりあえず魔王を討伐する方向で進めることになった。そこで一つ頼みたいんだが俺たちに訓練官を付けてはくれないか?俺達は魔王を討伐するつもりだが常識も戦闘能力も足りない、そこで王国の支援として指導してくれるような専門の人を頼みたい」
「あいわかった。それは手配しておこう!他に何かあるか?」
「ある程度鍛錬が進んだらダンジョン等でレベルを上げさせてくれ、許可証の類を逐次貰えると助かる。後は魔王討伐の補助金という形でこの世界の金を頂けないか?流石に無一文は心許ないし武器や防具を買い揃えたい。今は取り敢えず以上だ」
「すべて手配しておこう。鍛錬は明後日から行おう!それまでにこの城について学んだり体を休めて落ち着かせてくれ」
「わかった、助かる」
このように話が纏まりその日は解散。みんなで部屋に帰り少し話してから自分たちの部屋に戻った。ベットに寝転がってみたら疲れていたのかそのまま沈むように寝てしまった。