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異界の風  作者: 獣王丸
18/23

虎よ!虎よ!

m(_ _)m

読んでください。

カーク達一行の前に、とつじょ出現した怪物!

顔には赤く光る一個の眼!!

サーチライトの様に、ギラギラと光る!!

頭には一本の角!!!

体のあちこちから、何やら機械の部品のような物が飛び出し……


サイクロプスをフランケンシュタイン博士が改造したら、きっとこうなるって感じ……


これ……

もしかして……

ハジメが乗って来た奴じゃない???


残念ながら、カーク達の中にはその事を知る者はなかった。

知っていたところで、暴走中の怪物が相手じゃ、何の役にも立たないですが。


ケイは思った。

『早くもチャンス到来ってやつ?』


「サライさん。貴女には誤解を受けてしまいましたが、私は、この世界の全ての女性を守るため、愛の星から使わされた、青の戦士なのです。」

「ご心配なく。」

「この場は私に任せてください。」


ケイはスマホの『青の鎧』のファイルを開く操作をしながら言う。

「殲滅のブルー。そう、お呼びください。」


ケイが『ファイルを開く』をクリックした瞬間……


ガシャーン……ガラガラ……


ケイの目の前に青い鎧が落ちて来た。


唖然とするケイ。

『あれ?お約束が……違う……』

『かっこ良く……装着されるもんだろ???普通????』

『わわわ……鎧なんて、着方、知らないぞ!!』


ケイは鎧を着ようと大慌て。

そこへサイクロボット(仮名)の巨大な足が。


レッドとカークが、ケイの襟首を掴んで、一気に後方へ逃げる。

青の鎧は、サイクロボットに踏み潰され、ペシャンコに……


『終わった……』

『俺の英雄伝説……』

ケイは茫然とペシャンコに潰された青の鎧を見つめていた。


サライが5本のナイフを投げた。

ナイフはサイクロボットの腹部に刺さる。

勿論、致命傷にはならない。


しかし、5本のナイフのグリップエンドの宝玉が緑色に光る。

宝玉は光の線で結ばれ、五角形と五芒星を描く。

サイクロボットの動きが止まった。


カーク。

「封印魔法か?やるな。」


サライ。

「相手はあの巨体だ。長くはもたんぞ。」


「おっきぃ〜 こわい〜」プニョ吉はぷるぷる震えながら、ケイの首筋に寄り添ってきた。

ひんやりとした感覚が、ケイを冷静にする。


『このいかついロボとは、まともに戦えそうにない。』

『ロボットならどこかに制御装置があるはずだ。』

『そいつをどうにか出来れば、動きを止められるかも知れない。』

『問題は制御装置の場所と、どうやって止めるか?』


「ピピピピ〜」

ケイは怯えた声を出すプニョ吉を撫でてやりながら、ふと思いついた。


『いや、危険だろ?』

『確信も無いし。』

『でも、それしか思いつかない。』

『プニョ吉に、それが出来るか……?』


ケイは提案してみた。

「なあ、思いつきなんだけど。」

「こいつ、プニョ吉って言って、さっき子分にした(笑)。」

「プニョ吉のゼリーボールの特性を活かして(多分だけど……ほとんど水分でできてんよな。コイツの体……柔らかそうだし……)ロボの身体の中に潜り込ませれば、動きを鈍らせるくらいは、出来るんじゃないかな?」

「その隙に、何とか制御装置をぶっ壊せないかな?」


『ただ、危険だよなぁ……』

『まず援護してもらわないと無理だろうし……』

『成功するとも限らないし……マジどうしよう……』


サライが応える。

「機械のようだしな。」

「確かに制御装置があるなら、それに賭けたいが。」


狂鬼が口を挟んだ。

「フフフ・・・

「今のあなた方の相手はあれではありません・・・

「二人目の相手は・・・

「あれです・・・


そう言うと、パーティが通って来た道を指差す。


狂鬼が指をさした方向から、ゴブリンがやって来た。

しかし、なんか変だ。


近くにつれ、どんどん大きくなってゆく。


3メートル……

4メートル……

5……6……7……


その大きさは約8メートル。

そこにいるサイクロボットを、上回る大きさであった。


「フフフ・・・

「どうしますかねぇ・・・・

「巨人の挟み撃ち・・・・


巨大ゴブリンを見て、ヴィーシャ魔道士は言う。

「また古臭い呪文を……」


カーク。

「知っているのか?」


ヴィーシャ。

「自己犠牲呪文の一種です。」

「あの巨大ゴブリンは、さっき倒したゴブリン達が合体したものです。」

「あらかじめ50匹のゴブリンに呪文をかけておき、彼らの死を以って、合体呪文が発動したのでしょう。」


カーク。

「古臭いとは?」


ヴィーシャ。

「大戦の頃は使われたようですが、その後、魔法は発展しましたから。」

「今の魔法技術なら、最初の自己犠牲はいらないんです。」


ガガガッガガッ……


サイクロボットが、機械を擦り合わせるような異音を発し始める。


サライ。

「封印魔法が解けるぞ!」


ケイ。

「挟み撃ちは、ごめんだ!!!」

「さっきのプラン、試してみる!!」

「いいか〜プニョ吉。あいつの身体の中で、動き回ってこい!」


「ピイッ!?いや〜 こわい〜」


『……だよな。嫌だよなぁ……でも……』

「大丈夫だって!俺がすぐアイツぶっ倒してやるから!な?ちょっとだけ!」

お願いと両手を合わせて拝み倒す。


プニョ吉は少し考えて。

「ピ〜 ケイ オネガイ?プニョキチやる〜」

ぴょこんっと跳ねて、ピシッとした顔つきになった。


ケイ。

「……ありがとなぁ。絶対、怪我させねぇから。」


ケイはプニョ吉を手のひらに載せた。

「よしっ、覚悟はいいかっ!」

「ピィ〜!!」


サイクロボットが動き出したと同時にレッドがクロスボウを撃った。

サイクロボットの首の辺りで爆発が起こる。

レッドの短矢(ボルト)(やじり)に、爆裂呪文が刻まれていたのだろう。

金属音とともに50センチ四方くらいの鉄板がひしゃげて落ちた。


レッド。

「多分、あれがメンテナンスハッチでしょう。」


ケイは気合い充分のプニョ吉をロボ目がけて投げつけた。

「行ってこい!プニョ吉一等兵〜!!」

『よし!上手くロボに取り付いた!』

ケイは、プニョ吉がするするとメンテナンスハッチと思しき穴に入り込んで行くのを見届けると、サイクロボットの背後に回り込もうと駆け出した。


途端にロボットは暴れ出す。


ミユ魔道士が手を振ると、淡い光がケイを包む。


『あれ?なんか調子良いじゃん!!』


ミユ魔道士。

「失礼。強化呪文です。」


『あ……なんかいい感じ。』

『いつもより、なんか、身体軽いし。』


ロボの暴れ方は無茶苦茶だ。

中でプニョ吉が動きまくっているのが、どうにも堪らないらしい。


カークは思った。

『狂鬼の見ている前で、魔槍ゲイボルグは使いたくないな。』

『しかし、最悪、二匹のうち一匹は、俺が仕留めるか?』



*****************************


戮目珠(りくもくじゅ)は、アヤが走ってついてこれるギリギリのスピードで飛んでいた。

と言う事は、かなり速い。


戮目珠。

それを追うアヤ。

アヤを追う、ナニワとマリオ。


ナニワ。

「アヤちゃん。ちょっと止まって。」


マリオ。

「アヤさん。ダメだ。危険なんだ。」


突然、戮目珠が止まり、同時にアヤも止まる。

ナニワとマリオが、アヤに追いついた。

そして二人は、戮目珠とアヤが止まった理由を理解した。


異様に獣臭い。


「畜生!!来るぞ!!」

剣を抜くナニワ。


アヤの前に出て、武器を構える二人。


洞窟のかなり奥まで進んでしまったのか、光苔が密生していて、けっこう明るい。


前方より現れたのは、3頭のオーガだった。


オーガ。

山鬼、悪鬼とも呼ばれる。

残虐で凶暴だが、知能が高い分たちが悪い。


ナニワ。

「オーガだ。」


マリオ。

「いや……」

「こいつは……」

「ブラスファング(血塗られた牙)。」


オーガは、生物的には成功している部類だろう。

人界の惑星の、ほとんどに生息している。

種類も多い。

ブラスファングとは、『最悪のオーガ』と呼ばれている奴だ。


身長は2メーターから3メーター。

体重は800キロから1500キロ。

ブラスファング1頭で、ギガンテス3人を殺すと言われている。


この惑星ナーブでも、1頭のブラスファングが7つの村を滅ぼした記録がある。

3日間でだ。


そのオーガを追跡した騎士団12名は、1人も帰って来なかった。


3頭は3人に気がつくと、目を見合わせた。

ダチとコンビニに寄った帰り道に、高輪プリンスホテルの食事付き宿泊券を拾った気分だろう。


3頭が3人に近づき始めたとき……


アヤ達の後方から、唸り声がした。

それは、慎ましやかと言っても差し支えないくらいの小さなものだった。


3頭のブラスファングは、アメリカ漫画のキャラがびっくりした時のように跳び上がった。

眼球は飛び出し、舌は突き出て、全身から滝のような汗。

突き出された舌が紫色に変色していなければ、悪ふざけをしてるとしか思えないほど、カルカチュアされた驚き方だ。


3頭とも、後を一瞥もせずに逃げ出した。

これで壁に人型の穴を開けていれば、完全にアメリカ漫画だったのだが。


唸り声の主は、すぐに顕われた。

それは、6枚の翼を持った白い虎だった。


虎と言ってもベンガル虎より二回りはでかい。

また、犬歯はサーベルタイガーのように長く伸びている。


6枚の翼は力強く、猛禽類の物であることは明らかだ。


古代神ゴライ。


まさか……


神に姿を似せた魔物だろう。


しかし、その圧倒的な存在感は、神の属性を想像させるものだった。



古代神ゴライとは?


古き大神がこの宇宙を創造された時に、古き大神の血肉と神霊より直接に生み出された神の一柱である。

その時に生み出された原初の神は、十柱とも十一柱とも言われている。


神魔大戦以前は、広く信仰されていた。

現在でも、一部の狩猟民族により、祀られている。


古い神なので、伝説や神話にもあまり登場しない。

各地の伝承によれば、『野生の守護神』とも『破壊の具現者』とも言われている。


現在の神学上は、神にも魔にも分類されていない。


虎は静かにアヤの周りを廻ると、静かに身を横たえた。

アヤに、その背に乗るよう、促しているような行動だった。


ナニワとマリオは動けなかった。

思考さえ、停止したかのよう。


いや、肉体と精神の90パーセントが、既に自分の死を受け入れていた。

残る10パーセントが、死神の(あぎと)に捕らえられた自分を、静かに眺めていた。


ナニワの10パーセント。

『そう言えば、古龍さんが言っていたよな。』

『武術なんてもんをやってると、「こりゃダメだ」としか思えない相手に出会うことがあるって。』

『こりゃ……だめだ……』


マリオの10パーセント。

『あ〜あ……』

『もう一回だけでいい……』

『みんなに会いたかったな……』

『伝えそこねた想い……か……』


虎を前にしてアヤ。

「君は……」

「え……?背中に乗ればいいの?」


アヤは、その背中にまたがった。

戮目珠はアヤの体の中にシュッと戻って行った。


「でも私……王虎の所に行かなくちゃいけないの……」


虎は出口に向かって走り始めた。

力強く、それでいて、背中の少女をいたわりながら。


思春期の少年が、ある日、ユニコーンにメタモルフォーゼして、初恋の少女を背に乗せ、妖精たちの棲む森を疾駆したなら、どんな気分がするのだろう?


もしこの瞬間を邪魔する奴がいたら、魔王だろうと光帝神だろうと、歴史のお勉強をすることになるぞ。

かって、出会う事イコール死を意味する、荒ぶる神がいた事を。



****************************



制御を失っていたサイクロボットの前に、突然白い巨大な虎が顕われた。


制御を失っていたはずのロボットが凍りついた。

サイボーグ化された肉体に、僅かに残っていた生物としての本能が、緊急制動をかけたのだろう。


虎の体から白い光が投射された。

制御に手間取っている操縦者(プニョ吉)とサイボーグの制御系を補修してやった。

これで上手く動かせるだろう。

いつも、こんな親切なわけでは無いだろうが、少女に自分の力を認めて欲しかったのだろうか?


次の瞬間、虎と少女の姿は消えた。


虎は狂鬼の前に顕われた。


誰の目にも明らかだった。

狂鬼が恐怖している。恐怖のあまり動けない。固まっている。


虎はにやりと笑うと、再び消えた。


巨大ゴブリンの頭の中。

『うわぁぁぁぁぁあああああ!!!!』

『誰か!!聞いてたくぁぁぁぁ??』

『聞いてねぇぇぇええええええ!!』

『どうするよ(泣き)???』

『取り敢えず、土下座ぁぁぁぁぁぁぁぁ(大泣き)』



白い死神は平伏する巨大ゴブリンの上を跳び越すと、洞窟の出口に向かって走り去った。



アヤはただただ、虎の首にしがみつくのみだった。

初対面の、しかも巨大な白虎の背中に乗り、洞窟の中を疾風の如く走り抜ける。


『何……』

『……胸が締め付けられる程の、悲しさと懐かしさ……』


アヤの頭の中の、『王虎に逢いに行く』という気持ちは、忘れかけられていた。


『どこへ?……』


虎はアヤを乗せたまま洞窟を抜けると、巨大な6枚の翼を大きく拡げ、螺旋を描きながら上昇を続ける。

上昇角度を小さく取っているのは、背中の少女を気遣ってのことだろう。

時刻は夕刻。

美しい夕陽が辺りを染め上げている。


やがて、あたりが一望できる高みにまで昇った。


虎はこのあたりの美しいものを、少女に見せてやるつもりだろう。


虎は城を見つけると、翼を大きく拡げ滑空して行く。


跳ね橋は上がっていたが、虎はかまわず滑空を続ける。

城門が近づいた時、虎の口から小さな唸り声が出る。

人間の耳にはほとんど聞こえない周波数だが、唸り声は超音波となり城門に当り超振動を起こす。


城門は粉となって消えた。

粉々になったのではない。分子レベルで分解されたのだ。


虎は優雅に城の正面玄関に着陸した。


虎は少女を乗せたまま、城の正面から城内に入って行く。

咎める者は誰もいない。


別に魔法を使った訳ではない。誰もが凍りつき、声を出すことも、指一本動かすことも出来なかっただけだ。


虎は力強いが、足音の全くしない足取りで、王の間を目指す。


王の間に入ると、ハンマ王がいた。

凍りついて動けないのは、王も同じだ。美しい夕陽を背負い、荒ぶる神が降臨したのだ。


虎は王に近づくと、前脚を王の前に出す。

王の目前で、剣ほどもある爪が飛び出した。爪は器用に王の首から美しい小ぶりのネックレスを外した。


上体をひねり、少女に渡す。


虎はしなやかな動きで窓に向かう。窓周辺は粉になった。

外に飛び出すと、再び6枚の翼を拡げ、夕陽に照らされる空を上昇して行った。


「あ……ありがとう……。(あちゃ〜っ……任務が終わって帰ったら王様怒るだろうなぁ……xx」


白虎にもらった首飾りを、慣れない手つきで首にかける。

妖精の鏡とぶつかってカチャリと音がした。


「わ!」

時折落ちそうになりながらも、アヤは必死に虎の背にしがみついて景色を眺めていた。

「キレイ……こんな景色今まで見たことないや……」


背中に乗るアヤの位置からは、虎の表情は見えない。

アヤは虎の首にギュッと抱きつき、虎の心を感じようとした。

アヤは戮目珠(りくもくじゅ)との友情を築くうちに、ある程度なら他者と心をかよわすことが出来るようになっていた。

白虎の心に「深い悲しみ」を見つけた。

アヤは胸が痛くなった。


落ちて行く夕陽は、さらに美しくあたりを染め上げる。


虎は自分の前方に透明なシールドを張っていた。

風が少女に当たり過ぎないように。


少女の座るあたりの体温を、少しだけ上げていた。

彼女のためにしてあげれることは、何でもしてあげたかった。


ゆるいループを描き、湖へ向かった。


湖は思った通り美しかった。

岸辺には、この辺りのボスと、リンリンと名乗った青年の姿があった。


虎はボスに思念を送った。

『我が名はゴライ。』

『他は何も語ってはならぬ。』


虎はゆっくり旋回降下をすると、湖面を目指して緩降下を始めた。


着水する瞬間、直径10メートル、全長20メートル程の、サイコネキシスの(まゆ)型のカプセルで自分を包んだ。


思念を使ったのは最初の一瞬だけ。

あとは残留思念に任せた。


そのまま速度を落とさず、体が水面下2メートルぐらいになるようにして、湖面を走り続ける。


水のトンネルが次々と前方で生まれ、次々と後方で崩れていく。


夕陽にしずくが煌き、この世に二つと無い宝石が、次々に生まれ、次々に消えていった。


虎は、リンリン達のいる岸辺にコースを向けた。

岸辺に着く直前に高度をとり、ふわりと二人の前に舞い降りた。


通りすがりの妖精ハリセン。

『全ての物質を分子レベルに分解する超振動に、もはや絶対防御とも言えるサイコネキシスの壁がデート用の小技かよ……こいつとだけは喧嘩チないお……』


「あれ……?人がいる?それに隣にいるのは、大怪獣?」


どうやら爾前(にぜん)は、急な出来事に驚きを隠せないようだが、殺気は無かった。


「そうだ!……私、王虎に会わなくちゃ!」


アヤは、ようやく思い出したようだ。


アヤは虎の背を降りて、リンリンに尋ねる。

「こんばんは。」

「あなたは、この怪獣さんのお友達?」

「だったら、怪獣さんに聞いて欲しいの。」

「王虎……これくらいおっきくてロン毛の渋いおぞさん知らない?」


笑顔のリンリン。

「かっこいい。」

「粋な登場ですね。お嬢さん。」

『しかし、このくらいの年令の女の子が言う「おじさん」って、幅が広いからなぁ。』

『俺はどっちかな?』


「おじさんかどうかは分からないですが、王虎さんなら、さっき、この先の洞窟で会いましたよ。」

爾前(にぜん)なら、あ、この怪獣さんのことね。何か分かるかも?」


『男と女と、虎(?)と馬(?)。』

『どう言う組み合わせなんだ(笑)』


驚くアヤ。

「王虎、知ってるんだ!」

「爾前さん。良かったら場所を教えてもらえませんか?」

「私、あの人を倒さなきゃいけないんです!!」


爾前。

「オウコ様ヲタオシタイノカ?」

「2ツ問題ガアル。」

「オウコ様ヲタオスホウホウナドダレモ知ラナイ。」

「モシソンナホウホウガアルナラ、光帝神ガタカクカッテクレルダロウ。」

「ソシテモウ1ツ。」

「オウコ様はモウコノ地ニイナイ。」

「モウスグ大キナイクサアル。オウコ様ハマオウグンノカンブ。」

「イロイロ忙シイ。」


「モシオウコ様ヲタオシタイナラ、オマエノノッテキタ神ニキクガヨイダロウ。」

「野生ノ守護神……ゴライ神ニ。」


アヤ。

「あ……ありがと……」


アヤは慌てて後を振り返るが、そこに虎の姿はすでに無かった。


『あれがゴライ神……いったい何のために私を……』

『大きな戦いか……王虎との接触はそこしかない。』


爾前はリンリンに話しかけた。

「トコロデリンリンハ、軍人アガリダナ。」

「魔王軍デヨケレバドラゴンノ大隊クライ、任セテモラエルゾ。ワレノクチキキデ。」


リンリン。

「いやぁ。」

「考えとく。」

「ただ戦争はなぁ……」

「ところでお嬢さん。俺、リンリン。よろしく。」


アヤ。

「あ、ごめんなさい。」

「アヤです。」


リンリン。

「倒すとか、穏やかじゃないなぁ。」


『こんな子供が、魔人王虎を倒すなんて、よほどの理由があるんだろうけど。』


「俺は理由を知らないし、話してくれとも言えないけど。」


『大戦で俺が殺した人数を考えたら、偉そうなことは言えないけど。』

『だからこそ若いやつには平和を願って欲しいんだよな。』

『ただのエゴだけどね。』


爾前たちの元へ、小さな影が走り寄って来た。

影は器用に爾前の巨体を駆け上がると、爾前の肩の上に立った。

ダークエルフの少年だった。


ダークエルフの少年。

「ボス!こんなところで何してんのよ!!」

「あの水竜、ボスがやったの?」


「後で村の連中呼んでくるね。」

「こんな大物が届けば、明日は祭りだね。」


「あ、そうそう。明日の夜やって来るワイバーンだけど、最終的には50機になるらしいよ。」

「まあ、肝心の『飛龍使い』が揃わないから、スコードロン(飛行大隊)には、ならないけどね。」


「それから、せっかくハンマ城から、ボスを殺しにお客さんが来てんのに、早く洞窟に戻らないと……」


「それからあそこにいる、カッコいいお兄さんと、綺麗なお姉さん、紹介してよ☆」


少年は爾前の足元の二人に手を振りながら。

「ヤッホー。僕、アウス。」

「お兄さんと、お姉さんは?」


爾前。

「……………………」


*************************


二匹の巨獣に前後から挟撃され、勇気あるゼリーボールが前方のサイクロボットに特攻をかける。

……が。

内部からの操作は上手く行きそうにない。


混乱の戦況に、さらに混乱を(もたら)した虎。

その背には、仲間のアヤが。


「アヤさん!その白い奴は……」

ケイは言葉が出ないなんて事は滅多にないが、流石に何をどう聞いたらいいのか?


白虎の身体が光る。次の瞬間!!

「ピィピィ〜」ロボの中からプニョ吉の声が!


「あれ?お前、乗っ取ったんだ。取り敢えず待機〜。」

「ピィ」ガションッとプニョ吉がロボを操る。


ケイが振り返ると、白虎もアヤの姿も消えていた。

そして、何故か土下座している巨大ゴブリン。


ケイ。

「あれ?」

「虎とアヤさんは?」


カーク。

「土下座ゴブリンを跳び越して、出口の方へ向ったようだな。」


ケイ。

「何で、ゴブリン、土下座してんの?」


カーク、レッド、サライ、ヴィーシャ、ミユの5人は一斉に肩をすくめる。

「「「「「さあ?」」」」」


「ピィピィ ケイ」

四つん這いになったサイクロボットが、ケイを指でチョンチョンする。

プニョ吉は完全にサイクロボットをコントロールしているようだ。


「ん?あ、わりぃわりぃ。」

「プニョ吉。停止ボタンとか。それらしいのないか?」

「あったら、そいつを止めちまってくれ。」


サイクロボットの赤く光る単眼から光が消えて行き、ロボの動きが止まった。

そして電気が切れたおもちゃのように、ケイに向かって倒れ込んでくる。


「だぁぁあ!こっちに来るなぁあ!」


ガシャン!ズンッ!

ケイは倒れてきたロボを両手で受け止めていた。


『なるほどねぇ。』

『そう言えばさっき、強化呪文ってのをかけてもらったっけ〜。』

ケイは両手を使って、倒れてくるロボを転がした。


ーズンッ!!ー


『ふ……


『顔良し、頭良し、おまけに強い。』

『完璧過ぎるじゃないか?俺。』

『素敵過ぎる……』


「ピィ!」

「ぷわっ!」


いつの間にかロボから出てきたのか、プニョ吉はケイの顔面に飛びついてきた。

「よしよし、お疲れさん!頑張ったな。」

顔面から引き離しつつ、優しく労ってやるケイ。

プニョ吉は、ケイの頭の上やら肩やらを跳ねまわっている。


サライが狂鬼に。

「おい。こいつが三匹目のサイクロプスなのか?」

「あそこで土下座しているのが、二匹目なのか?」


狂鬼は沈黙している。


レッド。

「なるほど。」

「狂鬼の予言は、未来を見ている訳じゃ無さそうだな。」

「他人が知らない情報を持っていて、挿入法で予測する。」

「しかし今回は、狂鬼でさえ計算できないファクターが多すぎたか?」


ヴィーシャ魔道士。

「ここまでの戦況を分析すると……」

「魔物たちの戦術は奇妙過ぎます。」

「最初のアイアンゴーレムは、中々見事な細工でした。」

「自分たちが優位を得たら、すかさず二の矢、三の矢を放ってくるもの。」

「ところが戦力を小出しにすると言う愚を犯す。」

「まるでウミのリハク。」


ウミのリハク。

歴史上、最も愚かと言われている軍師。

ウミと言う国の大将軍だった。

百万の兵を自在に操る天才軍師と言う前評判だったが、開戦後、僅か数ヶ月で自国を全滅に追いやった。

配下に優秀な4人の将軍がいたが、皆リハクに殺されたようなものである。


ヴィーシャは続ける。

「あの巨大ゴブリンを造った呪文も、今では使われないような古典的な呪文です。」


カーク。

「うーむ。確かに稚拙な戦術ではあるな。」


レッド。

「本当は弱い連中が、おどろおどろしい仕掛けで、こっちを追い払おうとしてるって感じですか?」

「しかし、連中のバックには王虎がいる。」

「まあ、条約で、光帝神軍と魔王軍は、今は争えない。」

「王虎が直接、手を出して来ないのは、その辺かな?」


サライ。

「だが、さっきの虎は何だ?」

「アヤを乗せていた。」


その時、洞窟の奥から走って来る二人が。


ナニワとマリオだ。


二人は息を切らせながら、必死に話す。


ナニワ。

「ゼイゼイ……アヤちゃん……来ません……でした?……ゼイゼイ……」


マリオ。

「ゼイゼイ……白い……虎に……乗って……」



相談しているのは、カーク達だけでは無かった。

巨大ゴブリンの頭の中でも……


『どうするよ???』


『どうするって???』


『俺達の任務???』

『まだ活きてるの?』


『さっきのあれ、天辺ボスのそのまた上だろ???』

『何でこんなとこ、来んのさ???』


『知らねえよ!!上の考えることなんざ!!』

『俺たち現場の苦労も知らねえでよ。』


『俺、もうやる気ねぇぇぇぇぇ。』

『今日はもう2回も死んだ。』

『最初は糸でバラバラに斬り刻まれて。』

『次は死神とばったり出逢って!!!』


『なあ……』

『ボスは下のモンが無駄に死ぬのを嫌うお方だよなぁ……』


『ああ、天辺の上のお方もそうだって聞いているぜ……』


『今ならこっちの損害は、造りモンのゴーレムだけだろ?』


『ドーチ村ではそうだな。ハグレの魔物までは知らんが。』


『ここは戦術的撤退と言うことで。』


ポン!!


と言う音がすると、巨大ゴブリンは、50匹のゴブリンになった。


全員わらわらと洞窟の奥へと走って行く。

中には、愛想笑いや、もみ手までしていく者もいた。

最後に最後尾の一匹が、ペコリと一同にお辞儀をした。

嵐は去った。


「お〜気ぃつけて。」

わらわらと逃げて行くゴブリン達に手を振りながら、ケイはクスクス笑った。

「なんとまあ大変な(笑)。」

「取り敢えずピンチは去った訳だ。」


『それにしても……』

ケイはふっとサライに視線を向けた。

『不思議な人だなぁ。めちゃくちゃ強いし、クールだし……』

『独特な雰囲気だよなぁ。』

『今まで会った事のないタイプだ。』

『たまに、寂し気な感じがするのは気のせいだろうか?』


「ピィ ケイ どしたの?」

「んっ?何でもないよ。」

急に黙り込んでしまったケイに、プニョ吉は頭の上で跳ねながら不思議そうにしている。

ケイは、定位位置の肩の上に乗せてやりながら、ゼリー状の身体を指先でつっついてやる。


『あまり見ているのも変だよな〜。」

彼女から視線を外したが、頭に残ったインパクトは、けっこう強烈だった。


『ま、しばらく着いて行ってみよっと。』

『なんかスリルあるし(笑)。』


カーク。

「情報を再度すり合わせるぞ。」

「行方不明者を探すのが、取り敢えずの目標だったが。」

「ナニワとマリオとは、合流できた。」

「アヤの居場所は分かった。巨大な白い虎の背中だ。」

「今のところ推定ではあるが、虎はアヤに敵意は無さそうだ。」

「残る古龍だが、転位魔法で何処かに跳ばされたらしい。」

「アヤの持つ、宝貝『戮目珠(りくもくじゅ)』が、古龍を探す唯一の手掛かりのようだ。」

「ならば、アヤを探して、さっきの白い虎を探しに出口方向へ進むべきだろう。」



突然、凄まじい轟音が響く!!

洞窟の入り口方面からだ!!


巨大なサイクロプスが現れた。

爾前(にぜん)だ。


何やら両の掌に大事そうに抱えている。


爾前は狂鬼に気付いた。


爾前。

「キョーーーーキィーーーー!!」


爾前は掌より数名の人影を地面に降ろすと、いきなり狂鬼を掴もうとする。

狂鬼の位置が他の人間に近過ぎたのだ。

だから狂鬼だけを害すなら、掴み上げるのが最適。


しかし、フォログラフィーのように、爾前の指は狂鬼の身体をすり抜ける。


爾前。

「ヤハリ幻カ?」

「…………」

「イマイマシイ。」

「ワレノ洞窟ニナンノヨウカ?」


爾前により降ろされた人影は、アヤ、リンリン、アウスの3人だった。


爾前を見たカーク一行に動揺が走る。


ナニワ。

「ポカーン。」


マリオ。

「マーマ。」


ケイ。

「オワター!!!」


カーク。

「慌てるな。」

「アヤがいる。」


レッド。

「そうですね。」

「狂鬼に対しては怒っているようですが。」

「さっきの攻撃も、我々には被害を与えないようにコントロールしてたように思えます。」


アヤが声をかけてきた。

「この人がリンリンで、こっちの怪獣さんは爾前(にぜん)。この男の子はアウス君。イイ人達だよ。」


狂鬼が話し始める。

「アヤ様、リンリンさん、はじめまして・・・

(わたくし)、狂鬼と申します。」


「さて、大体揃ったようですね・・・・


「爾前さん・・・

「せっかく楽しい客が来たっていうのに・・・

「暇そうにしていたので少し遊んでいたのですよ・・・・


「ねぇ?カークさん・・・・


アウスが狂鬼に話しかけた。

「狂鬼さん、こんにちは☆」

「ごめんねぇ、ボスがいきなり乱暴して……」

「ボスはとっても頭がいいんだぞう!!!!」

「サイクロプスにしてはだけど……」


「惜しかったねぇ。」

「僕が来なければ、ボスは狂鬼さんのシナリオ通りに動かされちゃっただろうけど……」


「これ、なんだか分かりますぅぅぅぅぅ???」


「そう、エルフの魔法銃。」

「銃身の象嵌細工が見事でしょ。」


「狂鬼さんも知ってる通り、この銃のカートリッジには、色々な魔法を充填できるんだ☆」


「今、どんな魔法が充填されていると思う???」


「不死身の狂鬼さん?」


エルフの魔法銃。

カートリッジに魔力を充填しておき、戦闘時に使用する。

現在、こちらの世界で使用されている銃は、黒色火薬を利用したフリントロック式が主流である。

火薬利用の銃では、既に最先端では、ピンファイア、リムファイア、センターファイアが流通しはじめているが、まだまだ拡まってはいない。

こちらの世界では、ただの鉛玉では、魔法で強化された鎧を貫通できない。

銀の弾丸や、ミスリルの弾丸に魔法文字を刻み使用すれば、大きな威力になるが、使い捨てになる弾丸のコストが高過ぎて、普及は遅れている。

エルフの魔法銃は、弾丸を使わず、直接魔力を発射する。

反動が少ないので、非力なエルフでも使用しやすい。

また弱い魔力でも、その分、時間をかければ、極大呪文、それ以上の魔法が使用できる。


アウスは魔法の充填をサボっていて、ボスに怒られることが多い。


爾前はカークに話しかける。

「オマエガ指揮官カ?」


「ナラバ、ハンマニコウ伝エロ。」

「洞窟ノボスハ謝罪シテイタト。」

「モウアノ洞窟ハ脅威デハナイト。」

「ハンマヘノテミヤゲダ。」


爾前が合図をすると、洞窟の奥から1っ匹のゴブリンが走って来た。


ゴブリンは何かを持っている。


キョロキョロしている。


誰に渡そうか、迷っているらしい。


結局、カークに渡した。


それは、40センチほどの、光帝神の黄金像だった。

台座の部分には、美しい宝玉が輝いていた。


爾前。

「高価ナモノダガ、ワレラ魔王邪夢様ヲ信仰スルミ。」

「カザッテオクワケニモユカヌ。」

「コノ条件デテガウテナイナラ、ワレガ直接ハンマニハナシニユク。」


狂鬼

「フフフ・・・

「アウスさん・・・

(わたくし)を動揺させようと考えているようですが・・・・

「あなた如きに何が出来よう・・・

「それにあなたは勘違いしていらっしゃる・・・・

「私は理由無くこれから死にゆく者と戯れている程暇じゃありませんよ・・・・


爾前。

「アウス。狂鬼ニカマウナ。」

「アウスガ危険ヲオカス必要ハナイ。」

「ソレワレノ仕事。」


「死シテナオ苦しむナカマヲ弔う。」


爾前はサイクロボットに襲いかかる。

「屍ハ塵ニ還レ。」

「魔王邪夢様ノモトデ安息ヲ。」


爾前の一撃で、サイクロボットはバラバラに吹き飛んだ。


カークは一度ため息をついた。

が気を取り直し、爾前に言う。

「爾前とやら。」

「そちらの条件は飲む。」

「仕方あるまい。」

「お主にハンマに来られちゃ……」

「3時間だな。わが国が廃墟になるのに必要な時間は。」


「我々はこの像を持って帰る。」

「爾前殿の申し出は、王へお伝えする。」

「それで良いな?」


レッド。

「待ってくれ。」

「私の依頼主が行方不明だ。」

「何か知らないか?」


爾前。

「タブン、ソノ依頼主ニ、ワレ、会ッテイル。」

「イマ、ドコニイルカハ確証ハナイガ……」

「トニカク一度、村デ休ムトヨイ。」


ナニワ。

「あ、それなら僕も行く。」


マリオ。

「爾前さん。お願いします。」

「僕たちの大切な人なんです。」


アヤ。

「あたしも村へ行ってみたい。」


リンリン。

「あ、ハジメさんを探さなきゃ……」

「忘れてた……」

「爾前、俺も村へ戻りたい。」


サライ。

「魔物の村か。いきなり殺されたりはせぬのだろう?」

「こんな経験は二度と出来ぬな。」

「よければ私も招待してくれ。」


ケイ。

「え!サライさんも行くの?」

「う〜ん。なら、俺たちも行こう。な!プニョ吉!」

「ピィ〜!」


結局、城へ戻るのは、


カーク。

ヴィーシャ。

ミユ。


の3人になった。

残りは爾前の言う魔物の村、ドーチ村とやらへ行くことになった。


アウスは狂鬼に。

「話が決まったところで……」


「ねぇ、狂鬼さん。」

「狂鬼さんが言う通り、僕ごときが狂鬼さんに、何も出来るはずないよね?」


「実は、カートリッジに魔法を充填するのをサボっていて……」

「殆どカラなんだ。」

「酒場の女将(おかみ)とお話ししてる方が楽しくて……」


「でもねぇ、狂鬼さん!」

「このカートリッジ、王虎様に充填してもらったんだぁ。」


「自己犠牲呪文ってあるでしょ?」

「自らの命と引き換えに、仲間の命を助けたり、相手を殺したりする呪文!!!」


「このカートリッジに入っているのは、相手を倒す方なんだけど……」


「量子結合って知ってる?」

「僕にはさっぱり分からなかったんだけど……」


「これは量子結合を利用して、自分の肉体と、敵の肉体を、等質量だけ消失させるんだって!」


「狂鬼さん。」

「あなたが何処に居ようと、誰だろうと……」

「あなたが存在している限り、逃れることは不可能なんだって。」

「こうして僕と話しているってことは、例えいま僕が話している相手が幻影だとしても、同じ因果地平に居るからなんだって。」

「これ、王虎様の受け売りね!」


「僕の肉体は消失しちゃうけど、同じ質量の狂鬼さんの肉体を構成している素粒子も無くなるんだって。」


「僕は子供で小さいから、狂鬼さんの全てを消すことは出来ないだろうけど……」


「どこが消えるかなぁぁ???」


「腕?    足?     それとも……」

「心臓????」


アウスはエルフの魔法銃を、ピタッと狂鬼に照準した。


アウス。

「さよなら……」

「狂鬼さん……」


「あの世でも会えないね……」


「だって……」

「死ぬんじゃないもの……」

「存在が無くなるんだもの……」


爾前は叫ぶ。

「ヤメローーーーーーーーー!!!!!!!!!」


アウスは、エルフの魔法銃の引き金を引いた!!!


天井に向かって!!!!


え???????


天井??????


爾前、リンリン、レッド、サライ、ナニワ、マリオ、アヤ、ケイ、プニョ吉、そしてアウスは魔物の村、ドーチに着いた。


アウス。

「カートリッジに入っていたのは、瞬間移動の呪文でしたぁぁぁぁぁ(爆)」


アウスは、ぴょんぴょんと跳ね、爾前の肩まで跳び上がった。

「ねぇ、ねぇ、ボス☆」

「心配したぁ?」

「ねぇ、ねぇ!」


爾前。

「……

「……

「……


「カートリッジニ魔力ノ充填、ダイブサボってイルラシイナ?」


アウス。

「おしおき!してぇ!してぇ!」

m(_ _)m

読んでくださり、ありがとうございます。

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