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初めての異世界召喚  作者: 鍋ノ縁冗句
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交喙の嘴 part2

――ヌギヌギ


ギルド兼酒場の更衣室で着替えるハレイ

…とサラ


ここの更衣室は男女共用で、一応カーテンで仕切られているものの、一つの部屋である。


「さっきギルドの前で何してたの?」

何気ない口調で話すサラ。


「少し先に行った所で大声を出してる人が居たので気になって見てました」

自然と話すハレイ。


「そうなんだ、あー、ところでさ」


「はい、どうしました?」


「あした…空いてる?」

少し緊張を帯びた声に変わった。


え!いきなりどういうこと!

まさかデートのお誘い!?うひょおお!サラさんからのお誘い…

んー、なんと答えよう。

がっつき過ぎは良くない…か。

しかしサッパリしすぎもいかん。


ぐぬぬ…


カーテン越しのサラさん、今どんな顔をしているのだろう。

う、考えるな!

よし…


ンンン!あ…あ…(第一声が裏返らないように小声で発声)


「空いてますよ、サラさん」

澄ました顔で、ハレイ。


そうは言ったものの内心例の彼女を捜したい気持ちもあった。

が、欲には勝てなかった。


しかし今のは流石にキメすぎたか……なんか恥ずかしくなってきた…


「よかった!!じゃあ明日中央広場にある喫茶店モズに朝10時集合で!!」

と、薄茶の髪を躍動させながらカーテンを勢いよく豪快に開いたサラ。


「うわぁあ!ちょっとサラさんっ!」


変な妄想をしていたハレイの手は完全に止まっていたようで、てんで着替えが終わっていなかった。


半裸のハレイを見てサラ、

「うわぁあ!ごめんなさぁぁあい!つい嬉しくてわたし!」


この反応…イイ。

いやいやいや!だめだめだめ!

とにかく!


「あの…カーテン…閉めますね!」

と、ハレイ。


「お、お願い!」


顔を隠すサラに代わりカーテンを閉めるハレイ。



「――さ、行こうか!」


「はい、行きましょう」


ハレイも着替えが終わり、落ち着いた二人は一緒にフロアへと向かった。




「店員さーん!ビール2つー!」


「はーい!」


いつも通りの繁盛であった。

各地の開拓や害獣駆除を主とした冒険者稼業、その仕事終わりに皆ここで飲み食いしていく。


「ハレイ!2番テーブル注文取って!」

額に汗を流しながら言うサラ。


「分かりました!」

2番テーブルに向かうハレイ。


「ご注文お伺いします」


「ザッキーじゃねえか!ここで働いてんだな!ガハハハ!」

豪快な笑い声、ブリーだ。

周りに意識を向けていた為気づかなかった。


「おぉブリー!いらっしゃい!ハハハ、注文は?」

見知りが居ると嬉しいものだ。


「おぅそんじゃあこいつを貰うぜ!エステルス牛のステーキ!……それとメンデルワインも頼むわ!」


「了解!そんじゃ少し待っててくれ!」


「おうよ!」


相変わらず見てて元気になる笑顔だ。



――10分後


「お待ちどう!エステルス牛のステーキとメンデルワイン!」

鉄板の上でジュージューと美味しそうな音を立てていて、運んでいるこちらまでお腹が空いてくる。


「おう!ここのステーキ大好きなんだよ!くぅー!たまんねえぜこの匂い!この姿形!この音!早速いただくぜ!んぐんぐ…くはぁー!うめえよぉお!そして……ゴクッ、おっふぅ!メンデルワインも最高だぜぇ!」


「ははは、そりゃよかった!じゃ、俺は仕事に戻るぜ!」


「おうまたなザッキー!もぐもぐ…うますぎるぜぇえ!」



――4時間後


ふぅー、だいぶ落ち着いてきたな。


「…で……が…魔物…」


ん?魔物?

そういえば昼間も銭湯でブリーとそんな話をしたな。

もう少し話を聞いてみよう。

あそこの冒険者達か。


近くのテーブルを拭きながら聞き耳を立てる。


「しっかしヘックテペテル湖とはなぁ。少し前にもあそこで魔物が出たって話あったよな。」


「ああ、不気味で仕方ねえ。でもまぁどうせ、神託物語狂信者共が喚き散らした戯言だろうよ。ただの作り話だってのにイカれてるよな。」


「せっかくあそこの近くに良い鉱床が見つかったってのに、いくら狂信者の戯言とはいえ開拓を進める訳にもいかねえよなぁ。魔物とは言わず危険な獣が出たって事かもしれねえし。」


「だなぁ。」



ヘックテペテル湖…ブリーが言っていたのもヘックテペテル湖だったな。


まさか本当に魔物が出たなんて事はないだろうが…

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