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初めての異世界召喚  作者: 鍋ノ縁冗句
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日常のシミpart4

――コトン


俺はブリー・ブリッドグランドの横に座った。


「久し振りだなあブリー!ハハハ!」

陽気な笑いをかましてブリーに話しかけた。


「ようザッキーじゃねえか!ガハハハ!」

相変わらず豪快な人だ。


「おい!その傷どうしたんだよ!女に浮気でもバレたのか?ガハハハ!」


「違う違う!ここからしばらく行った所に薄暗い小道あるだろ?そこで色々あって男連中に追われてボコボコにされたんだよ。ダサいよな」

ハレイは少しばかり恥を抱えて話した。


「そうかそうか。まあそう落ち込むなや!傷は男の勲章ってな!」


「ありがとうブリー。」

ブリーのポジティブな考え方には偶に助けられる。



「そういえば知ってるか?」

と湯船に浸かりながら話を切り出したのはブリーだった。


「こっから東の方に行くとヘックテペテル湖があるだろ?あの辺りで何やら魔物が出たってな!」


「魔物!?」


魔物と言えば、かの有名なアルカシリオ・パトバティウス著の名作―神託物語―に出てくる架空の怪物じゃないか!


「い、いや…よくある話だろ?神託物語を見た奴らが妄想に頭をやられて出てきた嘘に決まってる」


嘘だとしてもまさか自分の近くで魔物の話が出ると驚いてしまう。


「ガハハハ!ま、そうだよな!でもよ、一応気にかけておけよ?」

まるで息子の心配をする父親のような目で言う。


「ああそうするよ」




ブリーと二人で風呂場を出ると脱衣所で着替えを始めた。


「あれ?財布がないな」


ハレイはドキッとした。


「どうしたよザッキー、財布がないって?」


「確かに宝箱に入れておいたはずなんだけど…おかしいなあ」


いくら考えを巡らせても財布の在り処は分からない。

一体どうやって…鍵もかけてたし。

とりあえず番台のお婆さんに聞いてみるか。


「お婆さん!財布がないんだけど、怪しい人見てない?もしかしたら盗まれたかもしれない!」


「見てないねぇ」


それ以上は語らない様子である。


「そっか、ありがと!」




ハレイとブリーはとりあえず外に出た。


風呂上がりの美女達に興味が湧いてこない程に焦っている。

脱衣所はくまなく探したけど無かった。もちろん宝箱の中も。


どこを探そうにも見当がつかない。


するとブリー、


「とにかく周りで怪しい奴見た人いないか聞いてくるぜ!」

そう言った直後早速走っていった。


そうだよな、考えていても仕方がない。

とりあえず行動だ!



――1時間後


「くそっ!一体どこに…」


ん?今のは?


正面に居た紫色のローブを着た人物が右の小道に入った。

何故だか俺の直感が怪しいと囁いている。


ハレイは後を追う。

すると、


「うわぁ!」


曲がり角のすぐそこに先程の人物が立っていた。


身長は同じくらいだ。

こちらに背を向けたまま動かない。


そしてその人物は嗄れた低めの声で衝撃の一言を発した。


「探し物はこちらですか」


背を向けたまま横にすっと出した手にはハレイの財布が乗っていた。


「あんたは一体…あんたが持っていったのか?」

財布を受け取りつつ問うた。


「いいえ、あなたに伝えたい事がありましてね。私の手の内にあったのですよ……元々。」


「えっと……え?」


「まぁよい、あなたは異世界召――」

「おいザッキー!捜したぜぇ!」

後ろからブリーが大声でやってきた。


「すまねえ、財布は見つからなかった。だけどよ!怪しい野郎を見たって話は掴まえたぜ!」

ブリーは息を切らしながらそう話した。


「あぁそれなら今この人に…あれ?」


そこにはもう先程の人物は居なかった。


何だったんだよ。


「あ、えっとさっき偶然財布を拾ったって人に会って、無事回収できたよ。ありがとうブリー」


「そっか!そいつはよかった!にしても……いや、万事解決だな!ガハハハ!」

ブリーは何か思う所があったようだが、そっと仕舞い込んで笑い晴らした。


その後ハレイは1時間後に仕事があるということでブリーと別れた。


さて、昨日の彼女を捜す時間は無さそうだな。

いや少しはあるか。


職場のギルド兼酒場に寄り道をしながら行けば丁度良い時間になりそうだった。


「捜しつつ、だな」

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