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初めての異世界召喚  作者: 鍋ノ縁冗句
33/41

明日に備えて part1

――35分後


道具屋と薬屋の近くまで来たハレイとリオナ。

道具屋とはもちろん道具のナッチ。

薬屋はもちろん魔女の隠れ家。

行きつけだからな。


「んふぅ♪んふぅ♪」

道すがらやっとの思いで離れてくれたリオナは、ハレイの後ろで鼻歌らしき何かを発しながらついてきている。


さて、まずは道具のナッチに行くとするか。

今回はハンディボウ用の矢を買っていこうと思う。

ハンディボウとは、片手で扱える小さいボウガンの事である。

ハレイの自宅にも一丁ある。

今回の駆除対象である狂暴ザルは、おそらく木々を俊敏に飛び移り、こちらの様子を伺ってくるだろう。

なので牽制の為、もしくは中距離から一撃で仕留める為にも、ハンディボウを持っていくべきではないかと、ハレイは思ったのだ。


「リオナ、まずは道具屋に行こう」

「今夜私を陵辱する為の道具を買うのですかぁ?キザキ様ったらもぅ……んっ」

「そんな訳ないだろ!あっ、そういえば言ってなかったか。さっきギルドに行った時依頼を受けてな。明日ちょっと出かけてくる」

「あぁ!それで準備のため道具屋に行くのですねぇ?……はぁ、残念ですぅ」

「お前が言うと何に対して残念がっているのか分からんが……そういうことだ」

「うふふっ、あっ……ちなみにどういった依頼なのですかぁ?」

「大量発生した狂暴ザルの駆除だ」

「狂暴ザル?……キザキ様、私も行きます」

急に真面目な顔つきになるリオナ。


「いや、お前は来るな」

「ついて来たいのなら、ついて来ればいいと言ったのはキザキ様です。私はついていきます」

「そうは言ってもなぁ。かなり危険だぞー?」

「だからこそです。シグラが居ない今キザキ様を守れるのは私だけです」

「あ、それなんだけど。一人で行く訳じゃなくてギルドマスターが一緒に来てくれるみたいだから。問題ないよ」

「ムキキー!あの女……!だったら尚更ですぅ!私も行きますぅ!」

ハレイの服を掴んで揺さぶるリオナ。


「ん?お前ギルドマスターの事知ってるのか?」

「知ってますよぉ?ちなみに向こうも私の事を知ってますぅ」

「へぇーそうなんだ。なぁ、お前の事を知ってるって言うのは……表の顔か?」

「いぃえ、裏の顔ですぅ。私が王家の人間だと言う事は知らないはずですよぉ?」

「まったく、どういう繋がりだよ……ギルドマスターと快楽殺人狂、想像つかねぇ」

「心の闇……私と彼女は似ているのかもしれませぇん」

「いやいや!お前なぁ……」

「うふふっ、冗談ですよぉ?」

「はぁ、まぁでもそうか。よし、じゃあ明日お前も来い」

「やりましたぁ!キザキ様ぁ♪キザキ様ぁ♪」

ハレイに抱きつくリオナ。


「お前!このやろ!離れろってんだ!このっ!」

「あぁーん!ヒドイですぅ!」

「ヒドいのはお前だろ!怪我人に容赦なく抱きつくなんてよ!痛えんだよ!」

「あ……申し訳ありませんでした。キザキ様……」

スッと離れ、俯くリオナ。


「お、おい……急にどうしたよ、なぁ。お前人が苦しむ姿見るの好きなんじゃねえのか?」

「はい……でも……申し訳ありません。つい自分の事ばかりで……キザキ様に触れたくて」

「よく分からんやつだなぁお前は。急にシュンとしやがって。まぁあれだ。右腕は痛くないから、別にいいぞ……少しの間だけな!少しだけだぞ!」

はぁ、なんで俺はコイツの事を心配してんだ。

俺の腕はサラさんの為にあるようなもんなのに。

でも仕方がない。

こんな申し訳なさそうで寂しそうな顔されたら放っておけねえよ。


「え……?……では遠慮なくぅ!キザキ様ぁ!うっふぅーん!」

右腕に飛びついてくるリオナ。

その勢いは飢えたライオンの如く。

なんという切り替えの早さ。


「どわぁ!」

体への衝撃は、彼女の豊満な胸が緩衝材となり、痛みをほぼ感じずに済んだ。

これじゃ心配は要らなかったか……。

そのまま放っときゃよかったぜ……。


「うふふっ。……ありがとうございます……優しい優しいキザキ様」

小声で呟くリオナ。


「何か言ったか?」

「なんでもありませんよぉ?」

「ん、じゃあ行くぞ」

「はい♪」


そうして二人は道具のナッチに向かった。

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