42.赤の魔女再来
「ニコル!!」
街へ入ると中央の広場でニコルを見つけた。
アランの呼び声に弾ける様に振り向くニコル。
「アランさん!マクレーンさん無事でしたか!!」
「ああ、畑は……すまない盗賊達を止める事ができなかった、そっちはどうだ?」
「はい、今街の警備兵の方達が盗賊達を探してくれています。」
「そうか。」
アランが安心したように頷いた時――畑の方から大勢の悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ?」
アラン達が悲鳴のした方を振り返るとその視界に信じられないものが映った。
「ばかなっ!!」
アランの悲鳴にも似た声が響く。
その先には――。
赤の魔女がいた。
アラン達は呆然とその場に立ち尽くしていた。
目の前に繰り広げられる光景に信じられないといった視線を向けながら。
目の前に広がるのは炎。
轟々と音を上げて麦畑を燃え尽くしていく。
しかも突然現れた赤の魔女がその炎を広げていたのだ。
「どう……いう……ことだ?」
「おらおらおらあぁぁぁぁぁっ!!赤の魔女様のお通りだぁ~!!道を開けろおぉぉぉっ!!」
アランが搾り出すように呟くのと同時に麦畑の方から威勢の良い声が響き渡ってきた。
声のした方を見ると先程森の洞穴で遭った盗賊達がいた。
しかも赤の魔女の後をさも当然とばかりに付いて行っている。
「家にあるお宝全部持って来い!命が惜しいヤツはなぁ~!」
魔女の背後で盗賊の頭らしき男がにやにやしながら言っていた。
何かの間違いではとアラン達は盗賊たちの前を進む魔女を見上げるがその姿は昨夜会った姿と同じ姿をしていた。
真っ赤なローブに真っ赤な長い髪。
しかもご丁寧に炎を薄っすら身に纏っているではないか。
「本物?」
「そんなばかな……。」
「………。」
アランとニコルが驚愕しながら口々に呟く中、何故かマクレーンは赤の魔女を睨みつけていた。