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01話

日常の終わりは唐突にやってきた。






春休みが終わり、俺は高2になった。高2になって特に変わったことはない。新入生が入学してきたのと、クラス替えがあったことぐらいだろう。

俺は1年の時は特に仲の良かった人もいなかった、言わばボッチというやつだった。別に誰とも話さなかったわけではない、話しかけてきてくれた人もいたし、いろいろ誘ってくれた人などもいた。だが俺は、また一から友達をつくるということにめんどくささを感じてしまい、素っ気なく返事を返し、誘いは断った。


「真田輝」


俺の名前が呼ばれる、そういえば今は朝のHR(ホームルーム)の途中だった。


「はい」


短くそして素っ気なく返事をする。そして俺は、

思った。


(あぁこれからまたつまらなく、ありふれた日常が始まるのか)


唯々同じ事を繰り返し、起きて、勉強して、食って、遊んで、寝る。唯々その繰り返し、酷くつまらない、息をするために生きているようなものだ。俺は通り魔に腹を包丁で刺され死にかけたことがある。小さい頃、爺ちゃんにいろいろ技術を教えられていたからか、反射的に体を逸らし拳を叩き込んだ。その時俺は、笑っていた、楽しかったのだ、ただの日常では味わえないありえないことが。その時からだ、日常がつまらなくなったのは、友達と遊んでいる時もどこか退屈を覚えた。


そんな事を考えていた時、頭の中で声が聞こえた。


【全人類よ、いや全生物よ、今この世に魔物が放たれた、戦い生き残れ】


聞こえたのは、ただそれだけだった。最初は幻聴かとも思ったが、周りの様子を見る限りそうではないようだ。


「な、なぁ今の聞こえたか?」

「あ、あぁ聞こえたよ」

「何なのよ今の」


周囲が騒つく。


(魔物が放たれた?それは小説とか漫画で言うあの魔物か?)


その時、隣の席の女子生徒が叫び声を上げた。その女子は窓を指差していた。みんなが窓を見る、そこには5〜6歳くらいの背丈に緑色の皮膚で棍棒を持っている見たことがない生物が()()ニタァと笑いながら張り付いていた。その時みんなは唖然とし、俺以外は動けないでいた。緑色の皮膚の生物は、持っている棍棒で窓を破り、中に入ってこようとした。俺は入ってこようとした一匹の緑色の皮膚の生物に蹴りを叩き込み、窓から落とす。ここは3階だ、落ちたら確実に死ぬだろう。近くから悲鳴が聞こえる、振り返るとそこには、頭から血を流し倒れている男子生徒と、今まさに緑色の皮膚を持つ生物に髪を掴まれている女子生徒がいた。


「助けて!」


女子生徒は周囲に助けを求めるが誰一人動かない、いや動けないのだ皆今何が起こっているのかがわかってないのだ。別の教室から幾多もの悲鳴が聞こえた。その悲鳴を聞いた生徒たちは、髪を掴まれている女子生徒を置いて逃げ出す。勿論俺も逃げる、赤の他人のために命なぞ掛けたくないそれに俺は死にたくない。階段を下り二階にたどり着く、ここは新入生達の教室がある階だ、幾多もの教室から悲鳴が聞こえてくる。それを無視して階段を下りようとするが、人がいっぱいで下りられない。


「おい!何をしている!早く下りろ」

「俺が先だ!お前らどけー!」

「逃げさせて!早くここから逃げさせて!」


周囲の怒鳴り声が聞こえる。


しょうがなく俺は、人をかき分け二階の廊下に出る、幸いまだ廊下にはあの緑色の皮膚を持つ生物は出てきていないようだ。


(あの緑色の皮膚を持つ生物は、恐らくはゴブリンだろう。そしてこの頭の中に先程、ステイタスを取得します。と言う声が聞こえた、あれは小説や漫画で言う能力値を表すやつだろうな)


考え事をしながら廊下を小走りで走る。窓から飛び降りられる場所が無いか探すためである。そしてある窓のところで止まる。この下にはアスファルトではなく、土が敷き詰められており野菜などが植えられている。俺は、窓を開け飛び降りようとした、その時なんとなく後ろの教室を見る。


この時俺は後ろを振り返らずに飛び降りていればこの先一生彼女には会えなかっただろう。












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