修学旅行編(収束)/その2
「よぉ。お取り込み中のとこ悪いな、七色。それから、花園雨音!!!!」
「何だ、カズ」
「どうしたの?一真くん」
「………………」
カズが、様子が変な感じで近づいてきた。
何だろう。今は、お前に構ってる暇はないんだけど。
「俺は!!お前たちの交際を!!!!認めていない!!!!!」
「な、何でカズに認められなきゃいけないんだ……」
「一真くんちょっとこわいよ……」
「七色、お前はこの女と関わるようになってから変だ!そして、付き合ってからは特に、だ!!!!」
「そ……そんなことない…………と思うけど……」
「うーん……どうなんだろうね?」
「え、やっぱり俺、変?……カズ、俺のどこが変なんだよ!もっと具体的に教えてくれよ!」
「具体的に…………それはだな……それは……」
「それは……?」
「……俺との付き合いが悪くなった」
「…………はぁ?」
「はぁ?って……はぁ?って何だよお前!!!!ちくしょー!!!!!お前!!!!!!!雨音さんばっかり構いやがって!!!!!!ほんとムカつく!!!!!!!!」
い、意味が分からない。ていうか、こんなに取り乱したカズは初めて見た。何これ?
「もっと具体的に言うと!春休みに新作のホラーゲーム、一緒にやろうって言ってたのに!!!!お前は無視した!!!!!!」
「それはカズが勝手に言ってただけだろ。それに俺、ホラー苦手だし……怖いし……何が面白いのか…………」
「お前が怖がるとこが面白いんだろうが!!!!!」
「ええ……」
「俺はさ!彼女いてもお前に構うのに!お前は女ができたら俺のことはどうでもいいのかよ!!!ほんと、そういうとこあるよなお前!!!!ああ、知ってるよ、お前はそういう奴だ!そんなの分かりきってた!!だから嫌だったんだ、お前に彼女できるの!!!!!!!!俺が何のためにあの手この手で裏工作をしていたと……いや、今はそんなことどうでもいいんだ、大事なのはこれからのことだ」
「七色!お前は雨音さんと俺、どっちが大事なんだよ!?」
「雨音」
「即答すんな馬鹿!!!!!もうお前なんか嫌いだ!大親友解消だ!!!!」
カズは拗ねてしまったみたいだ。めんどくさ。
というか。最近話が噛み合わないと思ったら……そういうことか。
「カズ……お前、何か勘違いしてないか?」
「何を」
「とりあえず、春休みの件だけど。別に、雨音のせいで付き合いが悪くなったとかじゃなくて……俺、カズと喧嘩中だったよな?あと、今も」
「は?喧嘩?何のこと?いつ?何で?」
「………俺は、まだ怒ってるんだけど」
「何に?」
「……雨音が作ったチョコ、カズが奪ったこと」
「え?ああ……バレンタインにあったな、そんなことも……えっ、お前まだあの時のこと根に持って……?」
「俺はまだ許していない」
「うわっ、めんどくさ!……いや、そうだよな。お前はそういう奴だよな……」
「………………」
「…………………………」
「……七色、本当に悪かった。お前がそんなに雨音さんのチョコに執着があるとは思わなかった。許してくれ。その代わりになるかは分からんが……こういう条件でどうだ」
条件の内容はちょっと秘密だけど。まあ、カズも反省してるみたいだし。許してやらないこともない。バレンタインのことは、水に流そう。
「………………分かった、許す」
「ホラーゲーム、やってくれるか?」
「別にいいけど……」
「俺たち、大親友だよな?」
「まぁな」
「…………」
「…………」
「七色~」「カズ~」
♢♢♢♢♢
喧嘩していたらしい幼馴染の男二人は……やっと仲直りしたのだろう。がっしりと抱きつきあっている。
「うわ、きっしょ。何あれ、あいつらも痴話喧嘩ってこと?」
「みたいだな。ほんと、あの二人の友情は謎だ……」
「あれっ、そういえばあまねっちは?いつの間に消えたの?」
「雨音は、途中で飽きて自分の班に戻った」
「賢い判断だね~。りょーちゃん、わたしたちもあいつら置いて買い物行こっか。せっかく台湾なんだし」
「そうだな」
「……むしろ、台湾で今まで何やってたんだって感じだ」
「それな~〜〜!」




