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花は君のために  作者: 須田昆武
Season2~ラブコメ編
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修学旅行編(恋愛裁判)/その1



「被告人、花園雨音さん。あなたは昨夜――」


「はわっ……!?」


「おっと危ない。またバグられては困りますからね。慎重にいきましょう。では気を取り直して。被告人、花園雨音さん。あなたは相沢くんと」


「はわわ……!」


「おっと、これも駄目ですか。下手に捕虜を尋問するよりも厄介ですね。どうしましょう……えーいもう知らん、直球でいっちゃえ!雨音さん、あなたは昨夜あの後、相沢くんと二人きりの部屋で、何かが……たとえば、えっちなことが……あったりしませんでしたか?」


「それは何もないです」


「いやバグらんのかーい!ズコー!はい、尋問終了です」



 さっきからうるさい解説の佐々木とかいう奴は、本場の漫才みたいなズッコケを披露して大人しくなった。……つまり、この寸劇は終了?よ、良かった。全部、冗談ってことでいいんだよな。雨音も、もういつも通りだし。てか、さっきのは何だったんだろう。まあいいか。とりあえず……



「無罪じゃん……良かった…………」


「まあ、そうだろうね……」


「昴くんは寝言で会話できるみたい。急に喋るから、私びっくりしちゃった。ガイドブックの中国語も対応してたから、昨日の夜は昴くんの寝言とこっそりお勉強を……」


「紛らわしいなほんと……悪かったな、相沢。お前のこと疑って」


「君に謝られる筋合いはない」


「ひっ……!」



 睨まれた!こわい!この相沢って奴も何なんだよさっきから!お、俺が悪いの!?俺が、ゴミ虫以下の存在だから……!?



「どうどう。相沢くん、それやめてあげてください。この人、また泣いちゃう。……はい、それではみなさん、これにて閉廷ということで。まあ、どうせこんなことだろうと思いましたよ。相沢くんと雨音さんですからね。みんな余計な心配しすぎ。それなのにあんな修羅場をよくもまぁ長々と……ほんと実況&解説お疲れ様、佐々木様って感じです。はぁ、喉痛い。……それにしても、謎が一つ残りました。雨音さんは何故、あんなに取り乱していたんでしょう。きっとどこかにトリガーがあるはずです。解明しなくては」



「解明するも何も、原因は明確だろ」


「その声は……りょーちゃん!どうしてここに?」



 ギャラリーの中から、見知った顔が現れた。うわ、了か。いやそんなことより、何この人だかり。今更気づいた。だいぶ騒いでたから、野次馬が集まったってこと?は、恥ずかし……



「七色がいつまでも戻ってこないから、捜索に来たんだよ。こんなとこで騒いで何やってんだ、まったく。……それから七色。お前今、迷子ってことになってるぞ?このままだとお前は、高校生にもなって迷子で泣きわめいてたくそダサい奴というレッテルを貼られることになる」


「迷子じゃねーし、泣いてたのは気にするんじゃねー」


「はいはい。世話かけたな、雨音、佐々木。それからえっと……」


「あ…………はじめまして。相沢昴です」


「ああ、そうだった。相沢だ。お前とは昨日会ったはずだが……まーいいや」



「……で、お了さん。お伺いしたいのですが。雨音さんがああなってしまう原因というのは、一体何なのでしょう。僕達にも分かりやすく教えてくださいよ。男には、乙女心は複雑すぎてよく分からない」


「別に複雑ではないと思うけど。原因は、どう考えても昨日のあれ……相沢に、押し倒されたことだろ。雨音はその時おそらく、めちゃくちゃ相沢にドキドキしたんだよ。で、雨音はそのことを思い出すたびにバグってる。……それ以上でも、それ以下でもなくないか?」


「は?どういうことだよお前?」


「記憶にございません……」



 やっぱりこいつが犯人じゃねーか!記憶にないからって……ひ、人の彼女襲っていい訳ないだろ!?それに雨音、了の言ってることはどういう……



「どうなんですか?雨音さん?相沢くんのことを男として意識してしまって、どうしよう!?ドキドキ☆パニック!?ということなんですか?そうなんですか?ちょっと実証してみましょう。相沢くん、雨音さんの手を掴んでみてください。こう、男らしく、がしっと」


「えっ、いいのかな…………失礼します、雨音さん」


「はわわわわわわわわわわわわわ」



 ……相沢って奴が雨音の手を掴むと、雨音はまたさっきみたいにバグり始めた。え、つまり何?どういうこと?



「Q.E.D.ですね」


「ええ……これって、俺がトリガーってこと?雨音さん、もし俺と何かあったら、これからずっとこうなの?俺はどうすればいいの……?」


「さあ……?佐々木も知りません」


「まー、良かったな七色。雨音に浮気されてなくて」


「そうだけど……浮気ではないけど……了、これって……」


「いや、これは浮気だよ七色」


「その声は……カズ!」


「お前も来たのか一真……」



 ギャラリーの中から、また見知った顔が現れた。幼馴染のカズだ。カズも俺を探しに来たのか……俺は迷子じゃないのに……。

 そんなことよりも!今のは、一体どういう意味なんだ!?



「……確かに、雨音さんは体の浮気はしていない。しかしな、七色。これはもっと深刻で、重大な問題だよ」


「どういうことだ?教えてくれよカズ!」


「つまり、雨音さんのコレは……」


「はわわわわわわわ」




「心の浮気……ってことだ!」




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