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花は君のために  作者: 須田昆武
Season2~ラブコメ編
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修学旅行編(修羅場)/その3



「こんにちは、青葉くん。雨音さんは今、ここにはいないけど?」



『まずは相沢選手。出だしから軽いジャブ!先制攻撃です』


『うまいですね。雨音さんというワードを出すことで、相手を程よく煽っています』



「相沢……今日は、お前に用があって来た」



『対する青葉選手。冷静です』


『彼にはまだ、本妻の余裕がありますからね。それがどこまでもつのか……見ものです』



「へぇ、どんな用事?」


「しらばっくれるなよ。お前……これ、どういうことなんだよ!!!!」



『さあ、戦いの火蓋は切って落とされた!青葉選手、ここで手札から、マジックカード"朝チュン生写真(仮)"を発動!』


『自分のライフを500を削ることで、モンスター1体を通常召喚できます。あっ、これは永続トラップの効果でした、しかも禁止カードです。うっかりうっかり。まあでもこれは非公式大会ですからね。細かいことは気にせずいきましょう。カードを一枚伏せて、ターンエンドです。さあ、相沢選手はこのデッキにどう挑む……?』



「…………? 何これ……あっ、心配しないで、この写真は別に」


「タイムです!!!!はい、一旦中断!!!!!!!」



 相沢くんと青葉くんの間に割って入り、一旦佐々木はレフェリー兼監督になります。



「相沢くん、駄目じゃないですか。これ、修羅場なんですよ?もっと本気出して下さい」


「ええ……そんなこと言われても。あの人、何か変な勘違いしてるし……」


「それを利用しないでどうする!相沢くん、いいですか。君は今、完全に悪役です。泥棒猫です。そしてあっちが主人公。彼は今、あの女のハウスにたどり着いたとこなんです」


「意味が分からない」


「演じなさい!君は今、雨音さんを寝取った男なんです!それでいい!そのキャラでいくしかない!たとえ童貞でもそれくらいは妄想でカバーなさい!やれ!あなたは千の仮面をもっている!紅天女を勝ち取るのはお前だ!」


「俺別に童貞じゃないですし……」


「はあ!?なんですかそれ!?20歳童貞を馬鹿にしてるんですか!?僕と喧嘩してどうする!?いいから行け!かましてこい!!」


「何なのこの人……」




「はい!!!!試合再開!!!!!!!」


「……今の何?」


「君、そんなこと気にしてる余裕あるんだ?へぇ……」


「お前……!いいからこれ、説明しろよ!!!!」



『さて、試合はまだまだ続きます』


『それにしても青葉選手、細かいことは気にせず乗ってくれますね。彼、いい人かもしれない。まあ僕は、それでも相沢選手を応援しますけどね。さあ、ただいまのラウンド、キーとなるのはやはり、先程の朝チュン生写真(仮)!相沢選手、この写真をどう処理する!?』



「……これ?……ああ、撮られちゃったのか。ふふ、雨音さん、いつもと同じ寝顔してる。かわいいよね」


「お……おま…………」



『今のは意味深ですねぇ』


『彼、まったく嘘はついていません。雨音さん、眠くなったらどこでも昼寝しますから。寝顔なんて見放題なんですけど……まあ、今の状況ならアダルティな意味にとれますね。しょっちゅう抱いてます、みたいな。……あと、雨音さんの寝顔はかわいいです。彼、ほんとに事実しか言ってない』



「君みたいなのが彼氏だなんて、雨音さんもかわいそう。ああ、でもそうか……だから雨音さんはいつもあんなに…………ありがとう、青葉くんのおかげだね?」



『相沢選手、容赦ない攻撃!』


『ここであえて敵に感謝の言葉を述べるとは!やりますね!本妻の余裕は、完全に相沢選手に移りました!もう後がない青葉選手!ここでとどめを刺されてしまうのか!?』



「お、お前……一体何の話を……!」


「別に……………………何でもないですよ?」



『決まったーーーー!!!!女王の嘲笑スマイル!!!!!』


『お見事!彼は図書委員会で常に鍛えられていますから。図書室の先代女王から、あの技を無意識のうちに受け継いでいたのでしょう。あれはやばい。あれを食らうと、自分はゴミ虫以下の存在であるかのような、そんな感覚に襲われるんです。普通の人間はあれを浴びたら、もう二度と立ち直れません。それくらいやばいです。僕は逆に、すごく興奮するんですけどね!』


『青葉選手……もうこれには…………』



「ああ、そうかよ……!」



『耐えたーーーー!!!!耐えました!!!!!』


『でもよく見てください。ちょっと涙目です。なんかかわいそうになってきた』



『さてこの勝負、どちらが勝つのか!?雨音さんはどう思います?』


「これは何の試合なんだろう?」


「それはもちろん、雨音さんを賭けた……あっ」


「?」



 お水を買いに行っていた雨音さんは、いつの間にか戻ってきておりました。雨音さんに気がついた青葉選手は、すかさず例の写真を見せながら問い詰めます。



「雨音!これどういうこと!?」


「んー?あ、これは今朝のだね、昴くん」


「もうネタばらしかぁ。そうだね、雨音さん」


「あ、その感じは!何もなかったってことだな!良かった!」


「せっかく名勝負だったのに……まあ、オチはこんなもんですよね。はぁ、残念」


「カズはさておき……るぅが、昨日の夜は出かけてたって言うから、俺、変な心配しちゃって……ごめん雨音、お前のこと疑うなんて。俺、ゴミ虫以下だ……」


「青葉くん、なんかごめんね。変なのに付き合わせちゃって。心配はご無用だよ。昨日の夜は、何もなかったはずだし。ね、雨音さん?」


「昨日の……夜…………?」


「どうしたの雨音さん?」




「はわ……」


「俺たち、何もなかったよね?」


「はわわわわわわわわわわわわわわわ」


「雨音さん!?」


「えっ、何これ?どういうこと?雨音?えっ?」



『ハーフタイム突入です!!!!!!!』



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