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花は君のために  作者: 須田昆武
Season2~ラブコメ編
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修学旅行編(修羅場)/その2



 修学旅行2日目、朝。今日もまた平穏な一日が始まった。昨晩のことは……思い出してはいけない。

 だがしかーし!利用できるものは、しっかりと利用させて貰うぜ!まずは、目の前ですやすや寝てる幼馴染を起こさないとだな。



「七色~起きろ~、朝だぞ~」


「うー……いやだ………まだおきない………」


「そんな寝起きの悪い七色に、目の覚めるスクープだ」


「…………?」


「この写真を見たまえ」


「?」


「朝、散歩中に偶然目撃してしまってな。相沢という男が、雨音さんの部屋から出てくる場面を。これはその時の写真だ」


「? カズ……この画像、比率がおかしくないか?トリミングしてる?」


「変なとこ鋭いなこいつ!別に余計な看板とか人はトリミングしてないから!いいか七色、比率とか、そんな細かいことはどうでもいいんだよ!これ!大事なのはここ!This is 浮気現場の証拠写真!」


「何かの勘違いだろ。大体、二人部屋だから雨音のとこにはるぅがいたんだし……」


「アタシは朝帰りだから昨晩はずっと部屋にいなかったよ」


「何故るぅさんがここに……」


「俺が呼んだ」


「アタシも面白い写真が撮れたからな。ほら、お前に見せてやるよ。これは一真のよりも凄いぞ。発狂モノだ」


「は?」



 ルーシィさんが七色に見せたのは、雨音さんと相沢って奴の朝チュン(仮)写真。おっ、これは衝撃度が高いな。インスタントカメラで現像された写真だから、デジタル加工はできないし。信憑性も高い。ナイス、ルーシィさん。



「……えっ?何これ?」



「…………えっ、これ、ほんと何?ドッキリ?それともまじなやつなの?ねえ?」



「「………………」」



「いや、何とか言えよ二人とも!!」



 無理無理。だって今俺たち、笑いを堪えてるんだ。




♢♢♢♢♢




「頭が痛い……」


「相沢くん、かわいそうに。完全に二日酔いですね」


「昴くん大丈夫?お水飲む?」


「ありがとう雨音さん……」



 修学旅行2日目、午前。昨夜は色々あったみたいだけど……うん、本当に何も思い出せない。頭が痛い。たぶん、佐々木さんのせいだと思う。

 雨音さんから、ペットボトルの水を貰った。助かる……



「……ナイス関節キス!」


「!?」



 佐々木さんの野次に思わず吹き出してしまった。うわ、気付かなかった。これ、雨音さんの飲みかけのやつだ。



「うわぁ、ぶっかけられた。相沢くん最低です……」


「あんたが変なこと言うから!」


「お水なくなっちゃったね。ちょっと新しいの買ってくるよ」


「あっ……ごめんなさい雨音さん!」



 雨音さんは、近くの売店に向かって行ってしまった。と、とても申し訳ない。



「まったく、そんなことで動揺していてはNTR(寝取り)への道のりは遠いですよ?」


「変なこと言わないで下さい!ほんともう!」


「いやいや、変なことではないです。僕、気づいちゃったんです。雨音さんの攻略法に」


「はい?」


「君が勝てる唯一の可能性があるとすればそれは……あっ、ちょっと待って。やばい、相沢くん逃げましょう」


「え、ちょっと何ですか一体」


「ヤツです。あの人です。修羅場の予感です!」


「!」



 こっちに向かってくる人影が見える。あれは……青葉七色だ。どうしてここにいるんだろう。今日は各グループごとに自由に行動する日だから、あいつの出番はないはずだ。……何?あいつ、また雨音さんに構ってもらいに来たの?雨音さんの彼氏だからって、いつもそうやってベタベタと……こんな時まで……ほんとにムカつく。



「相沢くん、とりあえず一旦ここは回避で……って、おいおいおい、何堂々としてんだこの人」


「あいつのことは嫌いだ」


「受けて立つってやつですか!まったくもう!君意外と好戦的ですよね!OK、分かりました!佐々木はちょっと木陰に隠れてます!バーリア!安全地帯!……はい!準備完了!こんな時のために、ちゃんとマイクと携帯スピーカーは持ってきておりますとも!では、これより実況を開始します!」



「………………」


「……………………」



『えー、始まりました今回の試合。まずは選手の紹介です。赤コーナー、我らが間男、相沢昴。対する青コーナー、例のあの人、なんか変な名前のあいつ。実況は私、佐々木と』



『解説、佐々木でお送り致します』




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