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花は君のために  作者: 須田昆武
Season2~ラブコメ編
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クラス替え(前編)



「あ、お隣の席は昴くんだ。よかったぁ。昴くんなら、私が忘れ物したときでも安心な気がする。これからよろしくね」


「よ、よろしく……」


「るぅちゃんとさーやちゃんも席が近いね」


「ああ、そうだな」「よろ~~」


「…………」



 新学期。高校3年生の新しいクラスは……なんというか、その。運が良かったと思う。雨音さんと同じクラスになれただけでも充分なのに。くじ引きで偶然、隣の席になってしまった。うちの学校はあんまり席替えをしないから、たぶん1年間ずっとこのまま。



「……良かったですね、相沢くん。愛しの雨音さんと隣の席で。もしかしてこれは、一発逆転のチャンスなんじゃないですか?」


「わっ……だ、誰?」



 突然、後ろの席の人から声をかけられた。そ、そうやって茶化すのはやめて欲しい。何だろうこの人……?



「どうもどうも、僕です。放送部所属の、イベントでは主に解説を務めさせていただいております、佐々木達也(ささきたつや)と申します。文化祭の時は、大変盛り上げていただきまして。その節は誠にありがとうございました」


「あ、あの時の解説の……!」


「はい、佐々木です。あ、警戒しないでください。僕は変な人ではありませんよ。安心してください」



 ほ、本当だろうか。この解説の人、学校行事の度に出てくるけど、結構癖が強かったような。先輩かと思ってたけど、同じ学年だったんだ。……何でだろう、あんまり関わりたくない気がする。



「怖くない怖くない、怯えないで……僕は君の味方なので」


「……味方?」


「はい。僕は君の恋路を応援していますから」


「どうして……?」


「だって君、面白いじゃないですか。なんとなく、そんな気がするんです。君なら、予想外の展開で僕を楽しませてくれるような、そんな気が……あっ、警戒しないで。僕は無害ですよ。ほんとほんと」



 そう言って佐々木さんは両手をひらひらと振って、害がないですよアピールをしている。



「それに君、あまり友達がいないでしょ?見ていて分かります。僕と同じにおいがします。体育で二人組作れーと言われた時に余ってぼっちになるタイプの、そんなにおいが」


「…………」


「いやー、実は僕、別の高校を一度途中で辞めておりまして。ここには再受験して入ったので、みんなより少し年上なんです。もう20歳になってしまって、なかなか同級生にも馴染めなくて……なので、相沢くん。もし良ければ僕と仲良くしてください。友達募集中なんです。よろしくお願いします」


「……そういうことなら」



 この佐々木さんという人、色々と事情があって大変なのかもしれない。友達になるくらいなら……と思って握手で応えようとしたら、ものすごい勢いで手をがっしりと掴まれた。



「ちなみに、知ってますか、相沢くん。青少年健全育成条例のこと」


「はい?」


「僕、20歳なので……もし18歳未満の同級生に手を出したら、即アウトなんですよ……ふふっ……スリルがありますよね……ゾクゾクしちゃいます……」


「ごめんなさい俺そういうの無理ですやめてください離してください」


「あっ、違います違います、警戒しないで。僕はただ、この愉快な事実を誰かと共有したくて……怖くない、怖くないですよ~、やばい人ではないですよ~、安心してください~」



 やばい人でないなら、今すぐ手を離してください!

 こ、こわい……!




♢♢♢♢♢




「よぉ、七色。それに了とマキ」


「…………」「ああ、一真か」「カズくんやほ~」



 新学期。高校3年生の新しいクラスは、まあ見事に幼馴染たちが集結した。去年もだけどな。新鮮味も何もなくてがっかりだ。

 ちなみに俺は、これで小中高と12年連続で七色と同じクラスである。記録更新、すごい確率だな。ていうかもはや、ここまで来ると何も疑問を抱かなくなる。俺はクラスが発表される前から確信していたぞ。どうせ今年も七色と同じクラスだろうな、と。


 俺の隣の席は……マキで、マキの前に了。そして了の隣かつ俺の前の席に七色。あ、このパターンは前にもあった。懐かしい。



「なんかこの並びは、小学生の頃を思い出すな」


「あー……まあ…………そんな時もあったな……」


「テンション低いなお前」


「七色、あまねっちとクラス違うのそんなにショックなんだねぇ」


「まあな……」



 七色はどうやら、雨音さんとクラスが離れて大層ご不満のようだ。別にそんなこと気にする必要あるか?付き合ってるなら、クラスが離れようがあんまり関係ないと思うけど。何をそんなに不安がっているんだか。


 ……まーでも、雨音さんだしなー。あんまりはっきりしないタイプだし、いまいち信用できないというか。ああいう度が過ぎた天然、俺は苦手だ。読めないし、うまく操作できないし、うーむ……まあ、そういうのは後で考えよう。



「……いやー、でもこれは、マジで懐かしいよ。あの頃みたいでさ。ちょうど了とマキが、七色に」


「黙れ一真」「カズくんお口チャック」


「うっす」


「?」


「まー、とにかく。新学期も楽しくなりそうだな、七色」


「どこが…………」



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