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花は君のために  作者: 須田昆武
Season2~ラブコメ編
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バレンタイン準備編(後編)




「じゃじゃーん!こんばんは、はじめまして雨音様!」


「は、はじめまして」



 お家に帰ると、とても元気なメイドさんが私のことを待ち構えていた。あ、時音が言ってたのって、この人のことなのかな。



「私、花園家使用人の一人、木村加奈(きむらかな)と申します!本日は時音様からのお願いで、ピンチヒッターとして参上いたしました!私現在育休中でして、あ、今日は旦那が子供の面倒見てくれてるんですけど!そういうわけで、雨音様とお会いするのは初めてですね!うれし〜〜、どうぞよろしくお願いします!」


「お忙しいところありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」


「ん〜〜、時音様に似てかわいい〜〜〜〜」



 突然抱きつかれて、頭をわしゃわしゃされた。は、激しい。

 広瀬さんは少し離れたところからこっちを見ている。助けてください……



「相変わらず……また、騒がしいのが戻って来ましたね」


「あ、広瀬さんお久しぶりっす!イケイケJDお屋敷スーパーメイド、佐々木加奈改め、木村加奈、ここに限定復活でっす☆ あ、JDは元だった!テヘペロ☆」


「やかましい……」


「はーい、小言でうるさい執事さんには退場してもらいましょー。ここから先は女子限定です!広瀬さんは今日はもうあがり!お疲れ様っした!」


「はいはい、お疲れ様でした。では雨音様、失礼いたします」



 あっ、広瀬さん帰っちゃった。今日はもう、この加奈さんというメイドさんしかお家にいないみたい。大丈夫かな、私このお姉さんとうまくやっていけるかな……?



「……さて、邪魔者は消えたところで」


「迷える子羊よ!この百戦錬磨のイケイケ元JD、加奈お姉さんが来たからにはもう安心です!!」


「恋バナをしようじゃありませんか!!!!」


「チョコ作りながらね♡」



 そうだ、忘れてた。チョコ作らないといけないんだった!




♢♢♢♢♢




「カップケーキとは賢い選択です、雨音様。なんやかんやで配りやすいですからね」


「やっぱり、少しでもお腹がふくれるものがいいかなって……」



 キッチンで加奈さんに手伝ってもらって、一緒にチョコのカップケーキを作る。加奈さん、すごく手際がいい。参考にしよう。

 そういうわけで。私の初めてのカップケーキ作りは、加奈さんのスーパーメイドさんパワーの助けによって、あっさりと終わってしまった。オーブンに入れて、あとは焼き上がるのを待つだけ。



「ありがとうございます、加奈さん。これでバレンタインはなんとかなりそうです」


「よかった~雨音様のお役に立てて光栄です。広瀬さんの100万倍有能でしょ?」


「はい。広瀬さんとは比べものになりません。加奈さんは本物のスーパーメイドさんです!」


「あの人、今も相変わらずってことっすか……ウケる(笑)」


「?」


「まーいいや。雨音様、次はどうしましょうか」


「はい、後はお片付けをして……」


「えっ?」


「?」


「えっ、これから作るんじゃないんすか?」


「何を?」


「それはもちろん……本命チョコ♡」


「…………本命?」


「あ〜〜、そこからか〜〜〜〜!!!なる〜〜〜〜ほどね!!!!いいんすよ、いいんすよ、そういうウブな感じお姉さん嫌いじゃないっすよ!!ばっちこいだ!!!」



 また加奈さんにわしゃわしゃされてしまった。あわわ。



「では、本題といきますか」


「お姉さんに教えて……?雨音様のす・き・な・ひ・と♡」



 !!



「あ〜〜ウブい〜〜〜〜!かわいい〜〜〜〜!写メっとこ!」


「で? で? その子とはどういう関係? なんて名前? てかどこ住み? LINEやってる??」


「えっと……その…………」


「あ、大丈夫っすよ。その辺の情報は時音様から入手済みなんで。つまり友達以上恋人未満限りなく恋人寄りってことっすね。おけまるおけまる」


「ん〜〜〜〜、もどかしいよね、青春だよね、あ〜懐かし〜〜」



 か、加奈さん、勢いがすごい。あわわ。



「で、雨音様はどうしたい?」


「どうって……」


「何か、悩んでるんでしょ?」




♢♢♢♢♢




「おーけーおーけー、つまりこういうことね」


「まずはお付き合いというものがよく分からない、ぶっちゃけ関係性が変わるのが怖い、と」



 加奈さんは、私の話を親身になって聞いてくれた。うまく話せたかは分からないけど……うん、まとめると加奈さんの言うとおりなのかな?



「その、前まではあまり、一緒にいる時間は長くなくて。今はみんなのいる教室でも普通に話すようになって、一緒に行動することも増えて……」


「それがウザい?嫌?」


「嫌ではないの。ただ、その……そばにいると、何故か……すごくどきどきしてしまって、前はあんまり、こんな感じじゃなかったのに……私、なんだかおかしくて……」


「ふむふむ、なるほど。つまり、今更意識しちゃってるってことね」


「今までどおり、仲良くできたらいいなと思っているんだけど……今までと違くなってしまうのは、怖くて……」


「そりゃあねぇ、今までと同じという訳にはいきませんよ、雨音様。だって、好きなんだもん。関係性が変わるのは当然です」


「そういうもの……なの……?」


「はい。……雨音様はたぶん、知らないことがたくさんあるから怖いんです。今日は加奈お姉さんとお勉強をしましょう。そのドキドキの正体、なんだと思いますか?」




♢♢♢♢♢




「これです」



 !?



「ひゃぁぁぁぁ」



「というのは冗談です。このえっちなビデオはただのショック療法なので気にしないでください。あ、それと。この特別授業は時音様にはまだ早いのでご内密に……」


「加奈さん、わかりましたから、これ、もういいですから」


「いえ、ここからが本番ですよ!んで、先程の恋のドキドキの正体はといいますと。主に脳が分泌するホルモンが関係しているんです。ドーパミンとか、PEAとか。ちなみに、PEAの分泌を増やす食べ物はいくつかあるのですが、その中にはチョコレートもあって。バレンタインという恋のイベントで好きな人にチョコレートを送るというのは極めて合理的な……」



 め、目の前に、だ、男女の、なんだかすごく衝撃的な映像が、あと、加奈さんがなにかむずかしいことを……え、なに、どういうことなの?あわわ、え、そんな、は、はわわわわわわわわわ



「あっ、雨音様パンクしてる!情報量が多すぎましたねすみません!まあ、つまり。私が言いたいのは」



「好きになっちゃったんだからしょうがない!腹くくんなさい☆ ……ってことです」



「さー、そろそろ焼き上がったかなー」



「………………???」



 と、とりあえず、私、腹をくくればいいの!?

 加奈さん、それは一体……どういうことなんでしょう!?



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