1-4 アペプの村
<アぺプの村>
うーん。ここ何かがおかしい。
と、僕は村人を目にするたびにそう感じた。
神から力を授かりし者。
つまり、創造者 破壊者 は、ある特殊な力に目覚めることがある。
その力は、いつ何時、目覚めるかわからない不思議な力だ。
僕は、人を善か悪かを判断する力がある。
その力は、人が発するオーラを見ることができる。
この村は人口およそ500人。
しかし、3割近い人数の村人が「悪」の判定が出ている。
人は殺さないが、盗みや脅しをする者が多い、か。
僕が考え事をしているのが、不思議に思ったのかアミュラが
「何を考えてるの?」
と、聞いてきた。
「ここ治安が悪いなーって思っただけだよ」
「それはそうよ。ここは、ヘルメースに一番近くて税金が他の村よりもはるかに多いわ。盗みが特に多くて、治安か悪いの」
「その税金はどのくらい高いの?」
「農民では、払えないほど高くなることがあるって聞いたことがあるわ」
その影響で村人は犯罪に手を染める、か。
「ヘルメースは、初めからこんな感じだったの」
「違うわ。数年前から、ね」
「うん。わかった。それで、今から情報を集めるんだけどアミュラはどうする」
「もちろん手伝うわっ!!だけど、なんでそこまで調べるの??」
「気になったから。じゃあ行こうか」
ここは、二手に分かれたほうがいいと思うけど、まあいいかな。
「ちょっと待って!!!」
アミュラは、呼び止める。
「え、どうしたの?」
と、疑問に思い、聞いた。
「二手に分かれましょ。その方が効率がいいわ」
さっき、切り捨てた考えをアミュラは突き付けてきた。
「いやダメだよ。アミュラ一人じゃ危ないと思うけど??」
「大丈夫よ。この村の村人じゃ、私は負けないわ!」
「強がっているだけじゃないの??」
と、聞いてみたが、
「魔法を教わっていたから。何も問題ないわ」
その自信に溢れている表情を見る限り強がりではないことは、うかがえる。
「うん。そういうことなら、分かった」
「よし、頑張るから」
と言い、アミュラは走り去ってしまった。
それにしても、すごい行動力だと思ったのだが、肝心なことを僕は何も言っていない。
そして、ふと、何かを思い出したのか、全力で帰ってきた。
「何を聞き出すのか聞くの忘れていたわ」
やっぱりか……。
アミュラが何か特殊な力に目覚めているのかと期待していた自分がいた。
天然だね。
そんなことよりも、要件を伝えることが先だ。
「さて、手に入れてほしい情報はヘルメースの内情について」
「そして、誰がそれをしているのか」
「この2つ」
「分かったわ」
「シトって世間知らずだけど大丈夫?」
それは……心外だ。
「うん。それでだけど……」
と、前置きし、
「聞き出す場所を決めよう!!アミュラは東にある商店街に行ってくれないかな??そこは、人通りが多いからスリなんかに気を付けて。万が一何かあった時には、村の中央にある宿屋に行ってほしいんだ。今日はそこで泊まる予定だからある程度情報が集まってもここに集合ね。ああ、お金は大丈夫今から僕が払いに行くから名前を言えば部屋に入れると思うよ」
「シトって世間知らずの変わり者だと思っていたのに、しっかりしてるの??」
年季ってやつだろうか?
しかし、アミュラは何か抜けている。
温かい目で見守ってあげてください。