1-3 森から村へ
短いです。
目が覚めたら、空気が澄んでおり、少し寒いけれど心地のよい朝だった。
アミュラは黙々と出発の準備をしていた。僕が起きたことに気が付き
「おはよう。シト。いい朝ね」
と、アミュラが話しかけてきて作ってくれていたスープを差し出された。そのスープは、温かく、とても美味しい。
彼女は僕が倒れていたのを介抱してくれた恩人だ。
赤い長髪に碧眼で顔は幼くも整っている。
雰囲気は溌剌としている印象だ。
僕は下界の人の年齢はわからないけど、16さいぐらいだと思う。僕より小さいからだ。
前に下界に来たとき、人々に17歳と言われたのを思い出した。
「ありがとう。うん。とても空気が澄んで気持ちいね」
と、返し これからのことを聞くことにした。
「ええーと、ヘルメースのことなんだけど、今、聞いていいかな?」
「ええ、構わないわ」
作業を止め、間を開けずに返答が返っていた。
「そこに行くまでどのくらいかかるかな?」
「五日ぐらいじゃないかしら? でも、途中に村があるわ」
五日か。けっこうかかるな。移動手段は徒歩しなるのか……。
「わかった。それと、そこに行く道に山はない?」
「ないと思うわ。でも、なんでそんなことを?」
山を跳躍して越えるのはやり過ぎだと思ったので、聞いてみたがやはり無いようだった。
「ちょっと移動時間を半分にできる方法を見つけたから」
「わかったわ。その方法でお願い」
僕も手伝い、準備が終わり、ヘルメースへ出発することになった。
すると、アミュラが――――
「さっき言っていた早く行ける方法ってなんだったの?」
と、聞いてきた。
「よし、じゃあ行こうか」
僕は、荷物を背中で担ぎ、アミュラをそっと腕で抱え、僕は走り出した。
「ちょ、ちょっと」
「ダメだった?」
「それは、構わないけど」
顔を赤くしてうつむき、固まってしまった。
ヘルメース領の村につき、今日はここで休む予定の村が見えてきた。この村は、ヘルメースまで一日という比較的近いところだった。それは、下界の人の移動時間だけど。
「もう、村についたよ」
「あなた、ほんと無茶苦茶だわ、5日かかる道のりを半日でついちゃうなんて……最初は半分にできるとしか言わなかったのに……」
俯きながら、小さくつぶやく。
「ごめん、時間かかるから……」
そう答えると、今度は顔を上げて、
「本当にあなた、本当に何者???」
と、顔を真っ赤にして、大声で聞いてきた。
今までため込んだものが一気に出てきたようだ。
まだ、それを話すわけにはいけない。
だから、そう、微笑みを見せる。
そうすれば…………これ以上掘り下げることはないだろう。
案の定、掘り下げることはなかった。
僕は、いつ破壊者であることを話せばいいのだろうか?
言ったら恐らく、怖がるのでは……と思う。