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ドラゴンに三度轢かれた俺の転生職人ライフ  作者: すみもりさい
第一章:一流の冒険者になるために
7/81

07◆『銅の剣』を強化した


 服を着て、俺はベッドの上であぐらをかいた。

 

 『銅の剣』を前に置く。

 【解析】でチェック。

 

==========

名称:銅の剣

属性:-

S1:◇◇◇◇◇

S2:◇◇◇◇◇


HP:27/100

性能:D

強度:D-

魔効:E-


【特殊】

 なし

==========


 けっこう痛んでるなあ……。教会に寄付された時点で使いこまれてたみたいだ。

 

 などと俺が感じたのは、『HP』の数値を見たからだ。


 HPは、人のステータスにあるHPと意味合いはほぼ同じ。

 

 これの左の数値が0になると、いつ壊れても(・・・・・・)おかしくない(・・・・・・)

 0になった瞬間かもしれないし、それからしばらく持つかもしれない。こればかりは運である。


 逆に言えば、HPが1でも残っていれば、絶対に壊れない(・・・・・・・)

 

 神々の恩恵で守られているこの世界は、そういうふうにできているのだ。

 まあ、ドラゴンの突進を受けたら、HPが1,000あっても一瞬で吹き飛んでぶっ壊れるだろうけど。

 

 で、HPの右側の数値――『100』は最大HPを意味している。修復すれば、この値を上限として左の数値が回復する。

 アイテム強化によって『強度』が上がると、最大HPが増えていくのだ。

 

 ちなみに人のHPには、最大HPをいつくまで増やせるかを示す『限界HP』がある。

 今の俺のステータスは『HP:150/150(150)』となっているが、この()内の数値がそうだ。

 この値は体力が増えれば上がっていき、スキルポイントを消費することでここまで最大HPを増やせるという仕組み。

 

 HPの下にある『性能』は、アイテム本来の使い方をしたときの性能を表している。剣なら切れ味とか、そんな感じ。

 『強度』はまんま、硬さとか耐久度合い。物理的な衝撃への強さ、ってところか。また、繰り返しになるが、これが上がると最大HPも上がる。

 『魔効』は魔法効果の意。特殊攻撃の効果を上げたり、魔法耐性を強めたりする。モノによっては最大HPが上がることもある。

 

 さて、いよいよアイテム強化を行うわけだが。

 

 『銅の剣』のスロット数は2(S1とS2)。ま、妥当なところか。

 

 そしてひとつのスロットには、5回分の強化が行える。『◇』は何もしていない状態。属性を一段階付与すると『◆◇◇◇◇』という表記に変わる。

 

 ただし、同じスロットには同じ属性しか付与できない。だから、スロット1に【水】、【土】を一回ずつ付与するって芸当はできないのだ。

 

「とりあえず、スロット1には【火】かなあ?」


 【火】は性能面を強化する属性だ。

 基本中の基本、と言える。

 

 ま、今回はお試しだ。

 【強化図鑑】なるスキルで『銅の剣』に【火】属性を付与したらどうなるか?

 そう頭に思い描くと、【解析】ウィンドウとは別のウィンドウが表示された。

 

================

『銅の剣』


【火】

 CL1:『性能』↑ 【属性】→火 (SP:1↓)

 CL2:『性能』↑ (SP:2↓)

 CL3:『性能』↑ (SP:4↓)

 CL4:『炎斬り』 【名称】→『炎の銅剣』(SP:8↓)

 CL5:『炎斬り』→『炎斬り+』 (SP:15↓)

================


 細かいことは後回し。さっそく強化を試みる。

 

 俺は【解析】ウィンドウのスロット1を指で軽く触れた。

 

 

 ――付与する属性を選択してください。

 

 

 とのメッセージ。ずらっと7属性も後に続く。

 

 【解析】スキルを持つ俺は、こうしてアイテム強化が行える。めっちゃ便利。

 他の人は【アイテム強化】スキルが専用のウィンドウを表示させるのだが、裏ステータスのスロットがどうのは表示されない。

 適当にスキルポイントを指定して、それに見合った強化が行われるのだ。だから無駄があったり足りなかったりがある。

 

 【火】を指先で触ると、次のような表示になる。

 

 

 ――チャージレベルを選択してください。

 

 

 そして【解析】ウィンドウのスロット1にある、5つの◇がピコピコ点滅した。

 

 ◇を最初からゆっくりなぞると、ひとつひとつが◆という感じに塗りつぶされ、この状態で点滅する。

 

 俺は一気に5つ分を◆で埋めた。

 

 

 ――チャージレベルは5でよろしいですか?(必要SP:30)

 

 

 ここで【解析】ウィンドウ上、強化後のステータスもわかるようになった。

 

============

名称:銅の剣 → 炎の銅剣

属性:― → 火

S1:◆◆◆◆◆(火)

S2:◇◇◇◇◇


HP:27/100

性能:D → C

強度:D-

魔効:E-


【特殊】

 炎斬り+←new

============

   

 ふつう、強化後のステータスはわからない。

 こんな表示になるのは、【強化図鑑】のおかげだろう。

 

 名前が『炎の銅剣』(ちょっとカッコいい)に変わり、属性が【火】になり、『性能』がD → D+ → C- → Cと三段階上がり、特殊効果として『炎斬り+』が追加されるんだな。

 【強化図鑑】のレシピどおりだ。

 

 ちなみに『炎斬り+』は炎をまとった剣で斬りつけるという、まんまの技だ。ただ『銅の剣』は『魔効』が最低レベルなので、威力はお察しだろうな。

 

 俺は『はい』を選択――――しようとして思いとどまった。

 

 『銅の剣』を基本四元素で強化しても、そこそこの性能に上がるだけ。スロット2に別の属性を付与して組み合わせても、飛躍的な性能アップとはならない。同じ【火】で強化しても、倍までいかないのだ。

 そう、【強化図鑑】が告げている。

 

 ここはロマンを求めるべきではなかろうか?

 

 稀少属性だけを、組み合わせてみては?

 そんなささやきが聞こえた。

 

 とはいえ、【聖】と【闇】は相克関係にあり、組み合わせると逆に性能が落ちる。【火】と【水】なんかもそうだ。

 

 そこで登場するのが、【混沌】属性だ。

 

 【混沌】は、人や亜人は持ち得ない。つまり、歴史上アイテム強化でこれを使った者はいなかった。

 だからまったく未知の領域。

 

 というわけで、好奇心から俺は試してみることにした。

 

 まずは念のため図鑑をチェック。

 

================

『銅の剣』


【混沌】

 CL1:? (SP:3↓)

 CL2:? (SP:6↓)

 CL3:? (SP:12↓)

 CL4:? (SP:24↓)

 CL5:? 【属性】→混沌 (SP:45↓)

================

 

 『?』ばっかりだ。まあ、当然だね。あれ? でも属性が変わるのはチャージレベル5になってからか。

 それにしても、必要SPがけっこう高いな。【火】のときの3倍。全部で90かあ……。

 

 ふっふっふ、しかし心配ご無用。

 強化を施せば、ちゃんと経験としてスキルポイントが入ってくるのだ。

 だいたいトントンなので、やりまくってスキルポイントを稼ぐほどにはならないんだけどね。

 仮に減ったとしても、スキルポイントは万単位で残ってるからヘーキヘーキ。

 

 【解析】ウィンドウでスロット1に【混沌】属性をピピピピピッと埋めていくと、

 

============

名称:銅の剣 → ???

属性:― → 混沌

S1:◆◆◆◆◆(混沌)

S2:◇◇◇◇◇


HP:27/100 → ?

性能:D → ?

強度:D- → ?

魔効:E-


【特殊】

 ???

============


 おおう? 『性能』と『強度』が同時に上がるのか。【聖】や【闇】は『魔効』も上がると図鑑にあったけど、ふーむ。

 

 俺はえいや、と気合を込めて、『はい』を選択した。

 ぴろりん♪と音が鳴り、『SP85を獲得しました』との表示が。

 

 むむ、収支はマイナスか。しょんぼりするも、すぐさま気を取り直して強化の結果を見てみると――。

 

============

名称:鈍らの銅剣

属性:混沌

S1:◆◆◆◆◆(混沌)

S2:◇◇◇◇◇


HP:27/50

性能:E

強度:E-

魔効:E-


【特殊】

 自爆剣

============

 

 ステータス下がっとるやないけっ!

 というか、名前からして『なまくら』って……。

 

 特殊効果の『自爆剣』も怪しすぎる。

 詳細を確認すると、どうやらアイテムの残りHPをすべて消費して特大ダメージを与えるらしい。剣は粉々に砕けてしまうとか。

 

 う、うーん……。

 ここぞの一撃として使えるかもしれないけど、なんか微妙。てか基本性能が『木の棒』並じゃあなあ。

 

 【混沌】って実はダメ属性?

 

 いや、そんなはずはないだろう。

 俺も噂でしか耳にしたことはないけど、【混沌】属性をもつ武具やアイテムは破格の性能で、伝説級とまで言われるものもあったとか。

 

 何かヒントがないかと、俺はたった今、登録されたばかりのレシピを確認する。

 

=====================

『銅の剣』


【混沌】

 CL1:『性能』↓ (SP:3↓)

 CL2:『強度』↓ (SP:6↓)

 CL3:『性能』↓ 『強度』↓ (SP:12↓)

 CL4:『性能』↓ 『強度』↓ (SP:24↓)

 CL5:『自爆剣』 【名称】→『鈍らの銅剣』

    【属性】→混沌 (SP:45↓)

=====================


 名称もチャージレベル5で初めて変わるのか。

 

 というか、CL5の段階のみ、デメリットがない。『自爆剣』がメリットかと言われると微妙だが、いちおう使いどころによっては有益だから、デメリットではないだろう。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………これ、他の属性と組み合わせたらどうなるのん?

 

 俺は好奇心に負け、【火】属性をスロット2にぶち込んだ。

 

 結果――。



============

名称:爆炎の銅剣

属性:火、混沌

S1:◆◆◆◆◆(混沌)

S2:◆◆◆◆◆(火)


HP:27/250

性能:B+

強度:C

魔効:D


【特殊】

 自爆剣

 炎斬り+

============



 おお~っ。けっこう上がったな。

 性能的には中級~上級の冒険者向けだ。それで特殊効果が二つあるのはかなりの高額武器。三つのステータス全部上がってるし。

 

 さっそくレシピを確認する。

 ちなみに今回は【混沌】→【火】の順だったが、【火】→【混沌】の順でのレシピも登録されていた。

 

 まずは今回の手順のレシピ。


==========================

『鈍らの銅剣』


【火】

 CL1:『性能』↑x8 『強度』↑x7 『魔効』↑x4

    【属性】→火、混沌 

    【名称】→『銅の剣』(SP:1↓)

 CL2:『性能』↑ (SP:2↓)

 CL3:『性能』↑ (SP:4↓)

 CL4:『炎斬り』 【名称】→『炎の銅剣』(SP:8↓)

 CL5:【名称】→『爆炎の銅剣』

    『炎斬り』→『炎斬り+』 (SP:15↓)

==========================



 続いて【火】を最初にした場合。

 

=========================

『炎の銅剣』


【混沌】

 CL1:『性能』↓ (SP:3↓)

 CL2:『強度』↓ (SP:6↓)

 CL3:『性能』↓ 『強度』↓ (SP:12↓)

 CL4:『性能』↓ 『強度』↓ (SP:24↓)

 CL5:『性能』↑x7 『強度』↑x7 『魔効』↑x4

    『自爆剣』 【名称】→『爆炎の銅剣』

    【属性】→火、混沌 (SP:45↓)

=========================



 どちらの場合も最終的には一緒。

 ステータスは『性能』が7段階、『強度』と『魔効』が4段階上がっている。

 

 で、俺は理解した。

 【混沌】はスロットにフルチャージしたとき、かつ、他の属性と組み合わせたとき、初めて効果を発揮する、らしい。

 

 他属性と組み合わせた場合、ステータスはそれぞれ4段階上がるようだ。あくまで『銅の剣』の場合だけど。

 

 武器である剣を強化するにあたり、【火】を組み合わせるのは真っ当な判断だ。

 

 でも、俺は7属性すべてを付与できる。

 どうせなら、もっとハッチャけた性能にしたいものだ。

 

 となれば、レア属性である【聖】か【闇】を試したいところ。

 

 どっちにしよう?

 特徴として、【聖】は『魔効』がより強化される。あとは『加護』的な意味からか、『強度』がアップしやすい。

 対する【闇】は【火】に近く、性能アップが基本。魔効の強化も行われ、呪い系の特殊効果が得られる。

 

 カッコよさそうなのは【闇】だよな。

 

 というわけで、【闇】を組み合わせることにしました。

 

 まず、スロット2の【火】を解除する。フルチャージしたときのスキルポイント30の半分、15を消費した。(でも獲得SPも15だったので実害なし)

 

 さあ、空いたスロットに【闇】を付与して強化してみるぞっ。

 

 

============

名称:銅の魔剣

属性:闇、混沌

S1:◆◆◆◆◆(混沌)

S2:◆◆◆◆◆(闇)


HP:27/250

性能:A-

強度:C+

魔効:C


【特殊】

 自爆剣

 毒斬り+

============



 なんと、『魔剣』が誕生してしまったぞ……。

 


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