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あたしはアヒル3  作者: るりまつ
41/48

フカ女の伝説

後半、人によっては不快と感じる性的描写が含まれます。

嫌な感じがしたら、適度な所でプルアウトされることをお勧めします。



 ハナコは、青い小花模様のコーヒーカップを、カウンター越しに哲郎とホナミに手渡した。

 それから残った2客を持ってキッチンから出ると、ホナミの横にその一つを置いて、そこに井田に座るよう促し、自分はテーブルのコーナーに立った。

 そして受け皿を持ったまま、細い指でカップを取り上げ、立ち昇るコーヒーの香りを楽しんだ。

 ホナミと哲郎は、ほぼ同時にカップに口を付け、思わず唸った。


「リョウ君、美味いよ。こりゃ最高だね!」

「本当ですか?そう言って頂けると嬉しいです」

「マジウマ!アタシ、こんな美味いコーヒー飲んだの初めて!リョウさん、天才じゃん??ブルーガーデン潰れたらあそこでカフェやりなよ!」

「縁起でもないこと言わないで下さい。 まだオープンして半年も経ってないのに、、、」


 真顔で答える井田を見て、哲郎とハナコは笑った。

 ホナミは悪い事を言ったなんて全く思っていない様子で、カップをソーサーの上に置くと、ハナコの方を向いて催促した。


「ねえ、ハナさん、さっきの続き教えてよ!フカ女の話、聞きたいっス」

「ふふふ……せっかくのコーヒーの味が半減しちゃうかもしれないわよ?」


 ハナコはカップで口元を隠しながら、意味ありげな目つきで微笑んだ。


「僕も聞きたいですね」


 井田もホナミに便乗した。

 哲郎は口を挟まず、前を向いたまま大人しくコーヒーをすすっているので、それを見て、ハナコはゆっくり話し始めた。


「私がここに住み始めたのは、今からもう4年位前になるんだけど……」


 三人は静かなその声に耳を澄ませた。

 たまに嵐の音にかき消されそうになる、鈴のような震える声に。



「……その前から、この崖の上の国道は、社長がサーフィンに行く時、一緒に何度も車で通っていて良く知ってたの。

 それでね、今はもう私達が勝手に引っこ抜いて捨てちゃったんだけど、崖と崖の切れ目に、通るたびにいつも気になる看板があって……それが『なめかたふかおんな』って書いてある看板だったの。

 すごく古びた鉄の白い板に、青い、味もそっけもない文字で縦に書いてあって、旅館や飲食店の看板て感じじゃないのよね、まるで道路標識みたいで。

 それに、その看板の前後に何か特別なものがあるってわけでもないのよ。

 だから社長といっつも、『アレって何やろなー』言うてて……

 でも大体そこを通る時は、カガミハマからオトナリハマに波チェックに行く途中だから、 気になりながらも、そのまま通り過ぎちゃってたの」


 ハナコの語尾に、ふと関西訛りが現れたのを井田は聞き逃さなかった。

 今まで御園生との過去の話は聞いたこともなかったし、いつも不自然なほど完璧な標準語で話すハナコがチラリと見せた油断に、井田は初めて親近感のようなものを感じた。


「でもね、ある時……9月頃だったかな。

 その看板の横に『売り地』って書かれた真新しい看板が立ったの。

 それを見て社長が興味示して……国道の路肩に車を停めて、ちょっと見てみようって事になったのよ。

 多分、どこも波がジャンクで、サーフィン出来そうに無かったから退屈してたのね。

 私も面白半分で車から降りて、二人で看板の周りうろうろしながら 『いったいどれが売り地やねん?』って、崖の岩肌に沿って、雑草が生い茂った路肩を歩いてたの。

 そしたらそのうち社長が『小便したなったー』言い始めて、身長ぐらいの高さもある、路肩のススキやセイタカアワダチソウを掻きわけて、崖の切れ目の奥に入ってっちゃったの。

 私は仕方ないからその場で待ってたんだけど、それからしばらくして雑草の奥から 『ハナやん来てみー!』って大きな声がして、それでその声がちょっとフツウじゃない感じがして、私、ショートパンツ穿いてたから、虫に刺されそうでイヤだったんだけど、社長が踏んで行った雑草の後を辿って、声のする方に行ってみたの。

 そしたらね、社長は高い岩の上に登っていて、子供みたいに目を輝かせて 『ここやここ、こっち来てみー」て言うから、私もビーチサンダルで、その岩の上にようやくよじ登って見てびっくり!

 崖の下に真っ青なこの入り江があって、静かな波が綺麗に割れているのが見えたの。

 もう、秀則さんも私も興奮しちゃって、二人で引っかき傷だらけになりながら、深い雑草を掻きわけて下まで降りて行ったわ。

 そしたら途中から雑草は無くなって、扇形の肌色の砂浜が現れて、このコンクリートの建物があって、あの長い堤防があったの」


 ハナコは言いながら、ラウンジの大きなガラス窓の先を指差した。

 外には雨に打たれ、風に煽られた青黒い海が見える。

 けれど、ハナコの視線の先には、その時、御園生と二人でこの入り江を見つけた時の、ハナコにしか見えない思い出の光景がありありと浮かび上がっているようだ。

 そして無意識に、御園生の下の名前を口にしていた事にも気付いていない。


「私達、また大急ぎで崖の上まで昇ったわ。息を切らして。

 それから、その頃乗ってた車が、かなり車高を高く改造してあるオフロード車だったから、それで雑草を踏み倒しながら、無理矢理また下まで降りて行って……

 もう気分はサファリツアーね。

 二人で大笑いしながら、その時は危ないとか、誰かに叱られるとか、そんな事考えもしないでただ夢中だったわ。

 それから一緒にロングボードを車から引っ張り出して、砂浜に服を脱ぎ散らかして海に飛び込んで、秀則さんなんて素っ裸のまんまで……

 井田さんなら分かるでしょう?あの人、すぐ脱ぎたがるから」


 ハナコが、父親ほども年上の御園生を、まるで子供のように言いながら柔らかく微笑んだので、井田はそのまま笑顔を返して頷いた。


「それで二人で貸切サーフをめいっぱい楽しんで、その後すぐ、立て看板に書いてあった不動産屋に行ってみようってことになったの」

「あの崖の砂利の坂道は、最初からあの状態であったわけじゃなかったんですね?」

「そう。すっかり雑草で埋もれてたわ。ずっと長い間、誰も降りる人がいなくて放置されてたみたい」

「ねえ、ハナさん、ロングボードやる人なんすか?」

「ええ、一応ね。でもコーチが上手じゃないから、私もあんまり上手くはないけど」


 ホナミの質問に、肩をすくめて恥ずかしそうに微笑むハナコ。

 井田は、御園生の下手なノーズライドと、それが決まった時の『井田くん、見てー見てー!!』と、ボードの上ではしゃぐ姿を思い浮かべた。

 目クソ鼻クソの小波ライダー、御園生と井田。

 この入り江でサーフィンしていると、ハナコはいつも笑いながら、ラウンジの奥から二人の事を見守っていた。

 しかし、ハナコ自身が海に入ってロングボードをしている姿は、まだ一度も見たことが無かった。

 そして夜中に一人、素潜りをして猫鮫を見に行くということも初耳だった。

 井田はハナコの事を何も知らないに等しい。


「そう……えーと、、、それで何だったかしら」

「不動産屋」


 哲郎がぽそっと呟いた。


「そう、不動産屋さんに行ったの。

 水曜日で定休日だったのに、裏の自宅の玄関まで行ってチャイム鳴らして、無理やり座敷に上がり込んで。

 あの人そういうところ本当に図々しいから。

 それで、とにかく話し聞いたら、雑草の生えてた国道の際の所から、この建物の砂地の所まで含めて、信じられないような格安だったらしいの。

 ……ケタが違うから、私は格安って言われても全然ピンとこなかったけど……。

 で、とにかく社長的には、もう買う気満々になっちゃってたのよね。

 でももちろん、こんなすごくステキな場所が、何でそんなに安いのか? って話になるでしょう?

 だから取りあえず不動産屋を出て、そのあと行方の駅前の金物屋さんとか、国道沿いのレストランとかで、さり気なく訊いて回ったの。

 『なめかたふかおんな』の看板についてもね。

 そしたら『なめかた』って言うのはここの地名で、『行く』に『方』って、私『ゆくえ』って読むのかと思ったら『なめかた』だったの。

 それからフカ女についてもすぐに教えてくれたわ。

 まあ、割とありがちの話でガッカリしたんだけど……」


「ありがちな話?」

「がっかりした?」


 心の中で、いつの間にかとんでもない話を期待していた井田とホナミは、肩透かしを食ったように同時に言った。


「そう。この辺りに昔から伝わる、不幸な女の話だったの。よくあるじゃない、昔々あるところに~みたいな。そういうのの一つね」

「ふーん……。で、どんな話なんすか??」


 ホナミが、尖らせた唇を鼻の下に寄せながら不満そうに訊いた。


「……なめかたの大地主の跡取息子がね、小作人の娘と恋仲になって、でも息子には親が決めた許嫁がいて……

 で、この入り江の一番高い崖から飛び込んで、心中しようってことになったんだけど、男の方は命が惜しくなって、結局、娘を崖から突き落として自分は村に逃げ帰って、何事も無かったように、許嫁と一緒になってしまったの。

 娘は男の裏切りが悔しくて悔しくて、死んでも死にきれなくて、鮫に生まれ変わって海の底を這いずりまわりながら、いつか男がまた、この入り江にやって来るのを待ち続けているんですって」

 

 吹き抜けに並んだ高い窓から隙間風が入り込み、すすり泣くような音を立てた。

 ハナコの静かな語りは続く。

 

「……この辺りの崖って、かなり切り立っているでしょう?

 だから、昔はわざわざこんな所まで来て心中する人が多かったんですって。

 でも、さっき哲郎さんが言ったみたいに、この入り江に上がるのは何故か女の遺体ばっかり。

 それはフカ女が、男だけを海の底に連れ去って返してくれないから……

 そう教えてくれたわ。行方駅のタバコ屋のお婆ちゃんが」


「じゃあこの海の底には、男の死体だけが、うじゃうじゃ沈んでるって事??」


 細眉を寄せて訊くホナミに、ハナコは笑って答えた。


「私は素潜りしても、猫ブカちゃんしか見つけた事が無いわ。

 残念ながら、イイ男は岩陰にも全然沈んでなかった。ふふふ。

 でもね、お婆ちゃんがそっと教えてくれたけど、それって昔の人が、心中を防ぐために作ったお話なんですって。

 ここで心中なんかしたって、あの世で一緒になんかなれない、 永遠に海の底を這いずりまわって浮かばれない、みたいな、戒めって言うのかしら?」


「なるほど……。確かに、自分の住んでる所の近くが、勝手に自殺の名所にされるなんて気分悪いですからね。格安だったのは、そのせいだったんですね?」


 井田は妙に納得した。


「それもそうね。でもね。お婆ちゃんも、他の知り合いのローカルサーファーも、誰も教えてくれなかったもう一つのお話があったの」

「もう一つの話?」

「そう、30年くらい前に実際にあった話し」

「随分、昔ですね」

「昔で悪かったな。俺はとっくに生まれてんよ」


 哲郎がまたポツリと言った。


「え?てっさんていくつなの??」

「今年40になった」

「やっぱ、オッサンだ」

「ホナミン……君、ホントにストレートなコだな、、、。 ま、仕方ねぇか。 君達は誰も生まれてなくて、俺はその頃もう小学生だもんな。けどこの辺りじゃ、俺はちょいとカワイイおぼっちゃまで評判だったんだぞ?」


 ニヤッと笑って昔自慢をする哲郎に、井田は訊ねた。


「山田さんは、この辺に住んでたんですか?ずっと成田かと思ってました」

「ああ、酒々井な。成田の隣りだ。その前、高校の頃までは行方に住んでたんだ」

「続きは哲郎さんが話す?」

「……いいよ、面倒くせぇ。楽しい話しでもねぇし」

「そう?じゃあ続けるわね。

 社長が、哲郎さんがこの辺の出身だって知って、それで、ここを買おうかどうか迷ってるって事を相談した時に、こっそり教えてもらった話しなんだけど……」


 哲郎は飲み終えたコーヒーカップを前に押し出すと、テーブルに両肘をついて耳を塞ぎ、それを見た井田とホナミは、神妙な顔つきになって再びハナコの話しに耳を傾けた。


「その頃は、ここの入り江の持ち主が、その息子と親戚と一緒に小さな船を出して、こぢんまりと漁をしていて……

 アワビや伊勢海老なんかもわりと豊富に獲れて、そこそこ裕福な生活をしていたんですって。

 それで、このコンクリートの建物は番小屋として使われていて、 一階が今と同じようにお風呂とトイレと食事する場所で、二階は仮眠所だったらしいの」

「二階?」

「ええ」

「あの穴はあいて無くて、二階があったんスか?」


 ホナミは天井を指さした。


「そう。それでね、毎晩誰かが一人、仮眠所に泊まることになってたんですって」

「一人で?何のためっスかね??」

「うーん、、、多分、誰かが船をイタズラしに来たり、密漁に来たりするのを見張るためじゃないかしらね、よく分からないけど。そう?哲郎さん??」


 哲郎は黙って適当に二、三度、頷いた。


「……それでね、ある日、海がすごく荒れて、それからピタリと風が収まった大潮の晩、その日は息子が見張りの当番だったんですって」


「大潮の晩」


「満月が、海にくっきり映るくらい波も穏やかになって、これならもう何も心配ないだろうって、その男は一人で仮眠所の窓辺に腰掛けて、酒を飲み始めたの。

 本当は当番の時は飲んじゃいけないらしいんだけどね。

 で、ほろ酔い気分で海を眺めていたら、沖から何かがゆっくりと、入り江に入って来るのが見えたの」



   波のない、とろりと青い海面に


       ほっそりした黒い影が現れる……



「男は何だろうと思って、急いで仮眠所を飛び出して外階段を……

 その勝手口の外にね、鉄の階段があるの。

 それを駆け下りて、そっちの堤防の先に向かって走って行ったのね」


 ハナコはバーカウンターの横の、ベニヤ板で出来た安普請やすぶしんな扉を指さして言った。


「そしたら、海に浮かんでいたのは、仰向けになった女の裸体だったの」



  その裸体は 青白い満月の光りに照らされて



          長い髪を水の上に広げて浮かんでいる……



「男は息を飲んで、しばらくその光景に目を奪われていたんだけど、すぐに我に返って海に飛び込むと、その女の方に泳いで行ったの。

 ……近づくと、それはまるで眠っているかのように穏やかな表情で、ただ海にぷかりと浮いていたんですって。

 男は立ち泳ぎをしながら、女に向かって声を掛けたんだけど、反応は全然無かったから、両腕を脇に差し入れて、後ろから抱きかかえるように岸まで泳いで行って、そのまま砂浜に引っ張り上げたの」


 ハナコは不意に口調を変えると、まるで何かにとり憑かれたように話し続けた。



 砂の上に全裸の女を横たえて、男はまた呼びかけた。

 月明かりのせいで、女の顔は白く艶やかに光って見える。

 それは、男が今まで見たことも無いような美しい女だった。


 自分は酔っているのだろうか。それとも夢でも見ているのだろうか。


 そんな現実感の無い奇妙な光景だった。


 長い睫毛をたたえた瞼は閉じられ、細く控えめな鼻筋は、すでに呼吸をしていないように見えたが、 唇は、紅い口紅が擦れたように色を残していて、それがまだ、この女が生きているのではないかという希望を感じさせた。


 男は一度身震いし、それから女の露わな左胸に、そっと手を当てた。

 ひんやりと冷たくて、心臓の鼓動はやはり感じられない。

 けれど、そのしっとりと濡れた胸の上の、花の蕾のような乳首には、 唇と同じく血の気が残り、ほのかに赤みを帯びていた。


  心肺蘇生しんぱいそせいをすれば間に合うかもしれない……


 男は大きな二つの手のひらを重ね、女の胸に当てて圧迫を開始した。

 頭の中で数を数えながら、強く、一定の速さで押し続ける。

 美しい滑らかな胸が、男の手に押されて左右に揺れる。

 それに合わせて、ほっそりとした腰が悶えるようによじれだし、 まだ硬直していない、長い真っ直ぐな脚が少しずつ開いて行き、 黒い濃い陰毛からは、海水がぽたぽたと滴り落ちた。


 男はひとしきり胸部への圧迫を終えると、心音を確かめようと、その胸にそっと顔を近づけ耳を当てた。


 ドキドキと確かな鼓動が聞こえた。

 そして頬に当たる柔らかい肉の中に、 僅かだが、ぬくもりが生じたように思えた。


  この女は生き返る……

 

 その時すでに、男は正常な判断力を失い始めていた。


 女の心音のように聞こえたのは、激しく脈打つ自分の頚動脈の音で、復活したように感じた体温は、男の手の熱さが、圧迫によって女の体に移っただけだった。


 男は女の額に武骨な手を当て、細く繊細なアゴの先を、太い指で持ち上げた。

 

 赤い紅の残った唇が、ぽっかりと月に向かって開かれた。

 それに合わせて、薄いまぶたがゆっくり上がる。

 二つの前歯が、美しい真珠の粒のように光り、 その奥には、丸まった舌の先が海鼠なまこのように沈んでいる。

 


 男は


 女の唇に自分の唇を重ね合わせた


 震える指で、ほっそりとした鼻先を押さえ


 大きく息を吸い込み、女の気道に空気を送り込もうとしたが


 荒く乱れ始めた呼吸のせいで上手くいかない


 吹きこんだ空気が、唇の端から、喘ぐように虚しく漏れる


 女の唇はすでに海の底ように冷たい


 その唇に、さらに強く自分の唇を押し当てた


 そうしながら、残された体温を計るように濡れた舌を口の奥に差し入れる



 しかしそれは確実に死の温度に達していた



 男は慌てた


 そして、さっきは微かに戻ったと感じられた


 胸のぬくもりまでもが失われていないか確かめようと


 恐る恐る片手を伸ばし、その柔らかい丸い肉をまさぐった


 固い乳首が指に触れる



  冷たい


  元に戻ってしまった


  早くしなければ、この女は死んでしまう


  このまま死んでしまう


  美しいまま死んでしまう


  温めなくては……


  よみがえらせなくては……


 

 そして男は、砂にまみれた女の白い裸体を抱き上げて

 

 コンクリートの建物の、鉄の外階段を再び昇り


 仮眠所に敷かれたままの薄べたい布団の上に女の体を横たえた


 男は着ていた着衣を全て脱ぎ捨て


 月明かりの差す青い部屋で、女の冷たい脚を開く……


 









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