あの人のこと、好き?
「てっさんっ!!」
タケルは弾んだ声を出すと、満面の笑みを浮かべて埃っぽいランドクルーザーの運転席へ駆け寄った。
哲郎は、咥えていたタバコを名残り惜しむように深く息を吸い込むと、それを灰皿の縁でもみ消し、フウーッと長い煙を吐いた。
全開にした運転席の窓から、外国製タバコの甘ったるい、濃厚な香りが流れ出てきて、タケルの鼻をくすぐる。
哲郎の家にも車にも、一緒にいると体にも染みつく、タケルが心から慕っている哲郎の香りだ。
哲郎は機嫌の悪そうな顔で運転席からのっそり降りると、大きな音を立てて扉を閉めた。
車外に出ると、後ろで一つに結んだ長い真っすぐな黒髪が、馬の尻尾のように強い風になびく。
「ずいぶん早ぇじゃねーか」
そう言って、大きな鋭い目でタケルのことをジロリと見た。
その目は、二重と一重という違いはあったが、タケルの目とよく似ている。
ヒザに穴のあいた古着のジーンズの裾を、どうでもいいようにロールアップして穿き、黒いタイトなTシャツが、逞しい体を一段と力強く見せる。
日焼けした右の足首には、リーシュコードの痕が足枷のように白くクッキリ残っていて、牢獄から力づくで逃げ出して来た、アメリカンインディアンのようだ。
「昨日の夜、おめーに電話したんだぞ。寝てたのか?」
「うん」
「だったら朝、電話返してこいっつーの。着信ぐれー見ただろ?」
哲郎はぶっきらぼうに言った。
しかし、それはタケルを咎めているのではなく、いつものしゃべり方だ。
『男にはとことん愛想悪く、女にはとことん愛想良く』
それが、昭和のイケメン・プロサーファーと呼ばれる哲郎の、昔からのポリシーだった。
「だって、どうせ店番しろとか言われんのかと思って、バックレちゃった」
タケルが悪びれも無く笑顔で言うのを聞いて、哲郎は呆れ返った。
「おめーなあ、、、。ったくよぉ、せっかく一緒に夷隅のテツんとこ行こうと思ってたのによ」
「夷隅のてっさんとこ?なんで??」
『夷隅のてっさん』は、カガミハマよりずっと北に上がった、いすみ川のサーフポイントの近くに住む、島村鉄彦という、腕の良いサーフボードのシェイパーだった。
哲郎と鉄彦は、高校時代からの友人で、まだシェイパーとして無名の鉄彦が、駆け出しのプロサーファーの哲郎のボードをシェイプして、そこから哲郎はグングンとプロツアーで勝ち上がれるようになり、それと共に鉄彦のシェイプの腕も次第に認められるようになった。
40才を迎え、哲郎もプロとしての全盛期をとっくに過ぎたものの、昭和のイケメン『酒々井のてっさん』と『夷隅のてっさん』は苦楽を共にし、今でも強い信頼関係で結ばれていた。
「もういい。おめーが捕まんねぇから一人で行って、大事なモン預ってきてやったけど、バックレたなんて言いやがるヤツには渡さね。オレがもらっとく」
「え!?なになになに??てっさん、何??」
「さーな。教えねーよ」
哲郎はそう言って、もったいつけるようにランクルの後部ドアの、ミラーフィルムを張った窓に両手をつき、『いかにも何かあります』と言うように中を覗き込んだので、タケルも急いでその横にへばりつき、汚れた窓に額を付けて、一緒になって車内を覗いた。
二人の並んだ後ろ姿は、まるで親子のように見える。
「よせ、出来立てのイイ女が寝てんだから!おめーには見せてやんね」
「んがーっ!見せてよぅっ!!」
哲郎が、タケルの金茶色のキジトラ猫のような髪を掴んで後ろに引き戻そうとしたので、タケルは哲郎の、馬のしっぽのような黒髪を掴んで抵抗し、二人して後ろに大きくのけぞった。
「いてて、何しやがる、このクソガキ!!」
「ねえ、ボードでしょ?!夷隅のてっさん、オレにボードくれたんでしょ?!」
哲郎は、それでもしつこく中を覗き込もうとするタケルの頭を、自分の腹の方へ引っ張り込んで、身動きのとれないように両手で押さえ込んだ。
「ふふん、預って来たけど、おめーの態度次第だなぁ」
「てっさぁ〜ん、許してぇ〜、置いてきぼりにしてごめんね〜。ぐふふふっ!!」
「気に入らねえな、その謝り方……ぅぷっ!……お、おい、よせやめろ、ブハっ!くすぐってぇぞ!!」
タケルは押さえ込まれながら謝るフリをして、哲郎の防御の甘くなった脇腹をくすぐり始めた。
「ねえ、てっさん、早く見せてよ!!フッフッフ」
「ブハッ!!あ、やめろ、ばか、ひゃははっ!苦しい!!」
「見せてくれないとやめないよ、フフフッ!」
「ひゃははは、、わかった、分かったから……!!」
タケルがようやく脇腹をまさぐる手を離したので、哲郎は真っ赤に上気した顔を上げ、タケルを横に突き飛ばした。
そして、くすぐったさの余韻にヘラヘラよろけ笑いしながら、車の後ろに周り、観音開きの後部ドアに手を掛けた。
「ほらよ」
開け放された荷台には、哲郎の言った通り、透明なエアパッキンに包まれた、色白の、出来立てのイイ女が横たわっていた。
真新しい真っ白なサーフボード。
タケルは目を輝かせた。
細いアウトラインとその長さから、タケルはすぐに『夷隅のてっさん』が、台風のカガミハマ用に、特別に削ってくれたボードだと分かった。
「出してみ?」
「 …… 」
哲郎が言うまで、タケルは目を見張ったまま、口がきけなくなっていた。
そしてようやく瞬きをしてうなずくと、デニムのショートパンツの尻で両手をごしごし拭ってから、ほっそりとした美人に手を伸ばし、抱き起した。
タケルはエアパッキンを、いきなりブチブチと引きちぎるようなことはせず、まるでブラウスのボタンを外すように、留めてあるビニールテープを一枚ずつ几帳面に剥がし、それから慎重に慎重に、梱包を解いて行った。
まるで自分自身をじらすかのように。
そしてとうとう、白く艶やかな全身が姿を現した。
そのボードは、普段シェイプしてもらっているボードよりも、4インチほど長かった。
タケルはノーズの方からゆっくりと、滑らかに磨き上げられた細身のラインを指でたどり、その形状を確認するように横にして眺めた。
レールは薄く、いつもより少し強めに反る、ロッカーの効いたボードは、いかにも気丈で、大きな波に食らいついて行きそうに見える。
テールは細く丸く、感度の良さそうな小尻をしていて、タケルを乗せてどんな反応を示すのか。
考えただけでワクワクしてくる。
「いいだろ?」
哲郎がニヤニヤしながら、無言癖の出たタケルに感想を言わせようと肘で小突いた。
タケルは慌てて礼を言おうとしたが、ふと表情を曇らせると、ボードを荷台にそっと置いた。
「……こないだコンペ用の貰ったばっかりだけど、、、」
「ん?いーじゃねーか。これとそれとは別モノだ」
「……なんか、でも、、、今年は支部予選もコケたし、、、こないだの夷隅の市長杯も全然ぱっとしなかったのに、、、また新しいボード貰ったら、なんか悪ぃじゃん……」
タケルは高校時代、千葉県の、哲郎のショップが所属する方面の支部では、いつもジュニアクラスの代表として、全国大会に出場していた。
さすがに全国大会でも上位の常連、というわけにはいかなかったが、それでもそこそこの成績とポイントは取っていた。
しかし大学生になってからは、海に通うのもままならず、さらに今年からジュニアからメンズクラスに変わり、ベテラン勢の中で更に苦戦を強いられていた。
「んー、、、まぁ、おめーも環境ガラッと変わったからな。車もねーし。今まで通り勝ち上がるってワケにいかねぇのも、仕方あんめぇ」
「 …… 」
タケルは無言のまま、荷台の中に戻された、白いほっそりとしたボードの横に腰かけた。
ボードは抱き上げて欲しそうに、尖ったノーズでタケルを見上げている。
哲郎は、Tシャツの胸についた小さなポケットから赤いタバコの箱を取りだし、一本抜き出すと、長年の喫煙で黒くシミになった、右の唇の端に咥えてそのまま話し始めた。
「先月かな?ササラがよ、おめーがなかなか海、行かれなくて焦ってるみたいだから、気分転換に本カガミデビューさせて、気合い入れてやる、って言いだしたんだ。んじゃ、あと1カ月で誕生日だし、ちょうど台風シーズンだし、夷隅のテツにミニガン※みてーなの作ってもらって、プレゼントしてやっかっ!てな話になってよ」
「 …… 」
「まさかと思ったけど、ドンピシャで台風までお祝いに来ちまうんだから、おめーは運が良いな!そのボードでコンペのことなんて忘れて、今日の波、攻めてみ?スカーっとするぜ?」
そう言って哲郎は、タケルのキジトラ色の頭をビシッ!と引っぱたいた。
タケルは猫のように独特な一重の目を大きく見開き、哲郎の瞳をじっと見上げた。
その真っすぐな目に見つめられ、哲郎は照れくさそうにジーパンの右の前ポケットから、使い込まれた銀のオイルライターを取りだし、風を避けながら咥えたタバコに火を点けた。
「なんでみんな、おめーを甘やかすんだろうな。この態度の悪ぃクソガキをよ」
そう言いながら、実は哲郎が一番タケルを甘やかし、我が子のように可愛がっていた。
「てっさん、、、ありがとう……」
タケルは座ったまま姿勢を正し、頭を深く下げて礼を言うと、そのまま目の前に立っている哲郎の、硬く締まった腹にタックルするように抱きつき、また脇腹をくすぐり始めた。
「うひゃっ!だからやめろってば、ばか!!あぶねえ、タバコが!!」
「てっさぁ〜〜〜ん、大好きぃ〜〜」
「おいボードに灰が落ちんぞっ!!!」
二人がまたじゃれ合い始めると、すぐ後ろに、すっかり存在を忘れられたユイが、冷たい表情で立っていた。
「あ。……ユイちゃん、いたの?」
「てっさん、こんにちは。さっきからずっといましたけど」
ユイは、強い風で膨らむ、水色のロングスカートの裾と、茶色い髪を抑えながら、哲郎にぎごちなく挨拶した。
哲郎がタケルの顔を見ると、タケルは急に、ムスッとふてくされたような表情になった。
「なんだ?君たち良くねーよ、昼間っからこんな他人んちの駐車場でイチャイチャしてたの?」
「イチャイチャしてたのは、てっさんとタケル君じゃないですか」
「ん?そう??ははは。、、、ばーか、おめーユイちゃんと一緒に来たんならさっさと言えよ!」
哲郎はまたタケルの頭を引っぱたいた。
「一緒じゃないよ。さっき勝手に来たんだ」
『 勝手に…… 』
タケルのその言葉に、ユイは強く反応した。
「勝手に来て、邪魔してごめんね。……もういい。帰る!!」
「 …… 」
「あれ、帰っちゃうの?怒っちゃった??こいつバカで無口なクセに、つい余計なコト言うけど、許してやって!」
「タケル君。……もう二度と会わなくても良いんでしょ?平気なんでしょ??」
「 …… 」
「お、おいタケル、ちゃんと返事しろよ、バカ」
タケルは平然と無言を決め込み、なぜか哲郎の方が慌てて、タケルとユイを取りなそうとしている。
その姿が滑稽で、ユイはフッと笑った。
「てっさん、もういいです。タケル君は、ユイのことやり飽きたみたいだから」
「やり飽きたって、、、そんなユイちゃん、自分で言っちゃぁ終わりで」
「いいんですっ!!終わりなんですっ!!……ていうか、、、ていうか最初っから、、、ユイとタケル君の間には何も無かったんだからっ!! 」
ユイは耐えられなくなって、自虐的な言葉を哲郎の方に叩きつけた。
自分の吐いた言葉に切なくなり、ユイは両手で口を覆った。そして、
「タケル君、さよなら」
と、手の中で小さくつぶやき、そのまま走り出した。
長い水色のスカートの裾が、その時フワリとタケルの膝に触れた。
しかしタケルは車の荷台に座ったまま、表情一つ変えなかった。
「おーい、ユイちゃーん!!淋しくなったらオレんとこにいつでも連絡ちょーだいねーっ!!」
哲郎は大きな声でユイの後ろ姿に声を掛けた。
けれどユイは振り向きもせず、代りに駐車場で着替えをしていた他のビジターサーファーが、何事かと好奇の目で、ユイと哲郎達を交互に見た。
「……ったくよ、、、始めっから軽ぅ〜くあしらっときゃ良かったんだよ。ああいうコは、たまに構って遊んでもらえりゃ、テキトーに相手替えて、それで満足すんのに。それをおめーが好きでもねーのに、2年も引っ張るから……そりゃ相手だって、本気にもなるだろーよ」
「 …… 」
タケルは哲郎の言葉を聞きながら、白いボードを片手で撫でていた。
それを見て、哲郎はため息をついた。
そして吸いきったタバコを、荷台に放置されたコーヒーの空き缶の中に落した。
「……タケルよぉ。おめーは、女に情が移るってことねーの?」
「情?……さあ、、、あると思うよ。きっと」
他人事のような答えに、哲郎は顔をしかめると、タケルからボードを取り上げた。
「まあいいや。オレには関係ねぇ。……おい、そっちに移すぞ」
そう言ってボードを脇に抱えると、哲郎が空色のワンボックの荷室の方に歩いて行ったので、タケルもすぐに立ち上がり、その後ろに従った。
荷室のはね上げ式のドアには、ハンガーに掛けられた青いスプリングのウェットスーツと、新しい深緑色のTシャツが、相変わらず揺れていた。
「お、良いTシャツじゃねーか」
哲郎は、そのTシャツのデザインの下部に、Green Garden のロゴを見た。
「グリーンガーデン?……おめーにしちゃ珍しいな」
タケルは大体いつも、哲郎から貰ったサーフショップの商品か、アジアン雑貨店で自分で買った、安い怪しい柄のTシャツを着ていた。
グリーンガーデンの商品もショップに置いてはいたが、元々単価が高く、イナカではあまり売れないので、その数は少なかった。
今、タケルの車にぶら下がっているTシャツは、グリーンガーデンの中でも、厳選されたオーガニックコットンやヘンプ素材を使って、糸の撚りや生地の染めにもこだわり、セレブサーファー達をターゲットとして作られた高級ラインのモノで、たかがTシャツに1万円の値段がつく。
「……おめーこれどうしたの?御園生のおっさんとこの、一番高いTシャツじゃん」
目ざとくチェックされ、タケルは一瞬戸惑った。
哲郎の大きな鋭い目で見られたら、タケルは決してウソをつけない。
「それ、ハナ……さんに貰ったんだ。誕生日のプレゼントにって」
「いつ?」
「……今朝」
「今朝?」
「うん」
「おめー、朝からシークレットガーデン行ってたのか?」
「……うん」
「オレの電話、シカトしてか?」
「ごめん、、、その前に太東で1Rガッツリ入ったんだ。そしたら腹減っちゃったから、、、」
「営業時間前だろが。ハナコに無理言って、迷惑かけんなよ」
哲郎は特に顔色も変えなかったが、タケルは『腹が減ったから』と、少し話を作り変えた途端に、罪悪感で歯切れが悪くなった。
「うん……」
「さぁてと、オレも腹減ったから、これからハナコの顔でも拝みながら、メシ食って時間つぶすかな。おめーは来ねぇよな?もうササラと待ち合わせだろ?」
「……てっさん、一人で行くの?」
「なんだ?いけないのか??」
「 …… 」
タケルの胸に、ふとさっき、一人で寝ころんでいた時の不安な気持ちが蘇る。
こうしてる間に、ハナの気持ちが変わるんじゃないかって
誰かにとられてしまうんじゃないかって……
「今は正真正銘、ランチの営業時間中だ。それにオレは『この』おっさんに会費払ってんだ。あの店の正式な会員だ」
哲郎はぶら下がったグリーンのヘンプTシャツを指で弾き、無意識にトゲのある言い方をした。
「文句ねーだろ?」
黙ったら、ダメだ……言わなきゃ……
今、ちゃんと、はっきりさせないと……
タケルは、ソワソワと落ち着きを失い始めた心を少しでも鎮めようと、一つ大きく深呼吸した。
それから喘ぐように話し始めた。
「てっさん、、、オレ、前から訊かなきゃと思ってた事と……言わなきゃと思ってた事があって……」
「……なんだ?」
「てっさんは、、、その、、、ケイコ先生と付き合わないの?」
改まって何かと思えば、予期せぬ人の名前が出て、哲郎はガクッと膝を落とした。
「……何で急に、ケイコ先生が出てくるんだ?」
しまった、、、遠まわしに訊きすぎた……
タケルは考え過ぎると、しばしば選ぶ言葉を間違える。
口と頭の連携が上手くいかずに、肝心な事が言えなかったり、言わなくて良いことがいつのまにか口をついてしまうことも多かった。
哲郎はそのことを良く分かっているので、こういう状態になった時はなるべく根気強く、タケルのペースに合わせるようにしている。
「だ、だって……よくメシ食いに行ったり、出かけたりしてんじゃん……」
「メシも食いに行ったり、出かけたりもしてっけど、付き合わねーよ」
ケイコ先生とは、タケルが中学2年で登校拒否を始め、人と話すことを一切やめた頃、タケルのクラスの副担任だった若い女性教師のことだった。
「なんで?ケイコ先生のことは、好きじゃないの??」
「ああ、別に。良いコだとは思うけど」
「それってユイと、どう違うの?」
「どう違うのって…全然違うだろうよ。オレはケイコ先生には指一本触れてねぇし、それに誠意を持って接してる」
……もし、先生がてっさんのこと好きだとしたら?
触れて欲しいと思ってるとしたら??
「おめーがケイコ先生に心配かけてた頃から、オレはマジメな相談相手のつもりだ。メシ食いながら色んな話し聞いてやったりしてっけど……女としては見てねぇ」
……誠意なんてクソ食らえっ!て、思ってるかもしれないよ……
「大体オレは、元フリョー少年なんだから。先生ってぇのは苦手だ」
……ちがう。ユイとケイコ先生の話は、今はもういい。話を先に進めないと……
タケルは頭が混乱してきて、しばらく下をうつむいた。
口に出すべきことと、出すべきではないことを取りちがえないように、頭の中から慎重に言葉を拾って繋げてみる。
それからようやく顔を上げ、哲郎に訊ねた。
「……じゃあ、、、ハナ、、さんのことは?」
「あ?」
「てっさんはどう思ってるの?」
「 …… 」
「あの人のこと、 好き? 」
タケルと哲郎の間で、深緑色のヘンプTシャツが大きく揺れる。
台風の風は、東から南へ変わりつつあった。
ミニガン: 日本の台風の時など、比較的大きな波のためにシェープされたサーフボード。




