なんて歪んだ終末思想
創作お題bot(@asama_sousaku)より
『なんて歪んだ終末思想』
「ねぇ、君の終末思想は?」
「...私?私はね、幸せだったらそれでいいかな」
放課後の教室で二人きりの状態で急に友達の女の子が聞いてくる。
「それじゃあ、貴女は?」
「僕はねぇ...世界中が死んでから君と一緒に死にたいかな。その方が幸せだもの」
私はぎょっとする。そんな事一回も聞いた事なかったから。
「死ぬにしても両親とか祖父母とかとはダメなの?」
「...ん~両親ね...嫌いでは無いけれど君の方が好きかな。それじゃダメかな?」
難しい返しをしてくる。そういうわけじゃないけどなぁ...
「じゃあ、世界中が死んでからってのは?」
その子は少し悩んでから言い出す。
「ん~君の方が可愛いし、好きだからなぁ...まぁバッサリ言うと君と最後に二人きりになりたいからかな...そうなったら回りの人たちは僕にとっては要らない物になるからね」
...さっきから私の事をさらりと好きって言っているけど、どういう意味だろう?
「ん...?君の事かい?大好きさ。」
「あっ、言葉にしてた?」
「ああ。していたさ。さっきも言ったけど言葉通りの意味さ。君の事が大好きだから二人きりで死にたいのさ」
はぁ...いきなり突拍子無いことを言われたなぁ...
「それじゃあ質問返しだ。さっき君は『幸せだったらいい』と言ったな?それはどういう意味だ?」
えぇ...ずるいよ...質問で返さないでよ...
「また、言葉に出ているぞ。君はおっちょこちょいだなぁ」
貴女は可愛い笑顔で笑う。ちょっと反則じゃない?このタイミングで笑うなんて!私は言うのを堪えたと思う。
「私はね、さっきも言ったけれど、幸せに死ねたらそれで良いの。最後に一緒にいる人と幸せだったらいいよ」
貴女は何を思ったのだろう?私が言ってから考えこんでしまった。
貴女は顔を上げる。
「可愛い事言ってくれるじゃあないか。もしかすると僕は本当に世界中の人たちを殺して僕と君だけにするかもしれないさ。君はこれを聞いても幸せに死ねるのかい?」
...難しい事言うね。
「ん~どうだろうね?確かに私は幸せに死ねたらいいよ。貴女と死ねるならそれもそれでいいのかもね。その時の選択肢にもよるかもしれないけれどね」
私はそれでいい。
「そうか...なんて歪んだ終末思想なんだろうな。君も僕も」
私は笑ってしまった。
「何で笑うのさ」
「ぷくく...ああっはは!それを貴女が言う?確かに私も狂った思想かもしれないけれど、貴女の方が狂っているでしょう?」
貴女はふてくされる。
「確かにそうかもしれないが、そこまで笑わなくていいだろう!!」
「ごめん、ごめん。つい笑っちゃった。お互い様だね」
「ふん!僕は帰るよ!」
急に貴女は帰りの準備を始める。
「わ、わわ!ちょっと待ってよ~いきなりはひどいんじゃない?」
貴女は教室を出て言う。
「追い付かなかったらわかっているだろうね?」
えっ...ちょちょ、待ってよ!!
「ちょ、待ってってば!!」
そうして私たちはバタバタと教室から出ていく。
二人が座っていた椅子はそのままに...