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うみホタル  作者: 谷川 真斗
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USUAL・EVERYDAY〜いつもの日常〜

『つっかれたぁ…』

俺と祐樹は息を切らしながら教室へ駆け込みギリギリのタイミングで朝のSHRに間に合った。

俺と祐樹は3年2組、結衣と星野さんは3年5組だ。

『俺、一瞬走馬灯が見えた気がするぜ』

『清水先生怒ると怖いもんな』

『なぁ隼人、一時限目ってなんだっけか』

『確か数学だったはずだが』

『…………』

『どうした?祐樹』

『…数学って宿題あったはずだよな?』

『あったな。…まさかお前』

『なぁ、はや…』

『やだ』

『即答しないでくれよぉ!』

そう。俺らの担任、清水先生は遅刻や忘れ物に厳しく、怒るときは授業の時間潰してでも怒り続ける。さらに最悪なことに清水先生は数学の担当であり……

『お願いします。一年に一度、いや、一生に一度のお願いです!何でもしますから!』

『一生に一度の前に、一年に一度を使うやつ初めて見たわ』

というかこんなことに一生に一度のお願いを使ってしまって良いのだろうかと思ったが、あえて言わないことにした。

このまま祐樹が怒られるのも、それはそれで面倒くさいのでしょうがなく見せてあげることにした。

『ありがとう親友!命の恩人です!』

『ん』

『へ?』

そして俺は軽く右の手のひらを上にして前に差し出す。

『アノ、ハヤト…サン?』

さらに、左手で親指と人差し指で円を作り祐樹に見せる。

『マ、サカ…』

『100円』

『お金取るの!?』

祐樹が泣きながら財布を開ける。…もちろん貰う気など最初からなかったのだが、どうやら本気にしてしまったらしい。しかしこの場を考えればそのくらいの価値はあると考えていた。


お昼過ぎを迎えた頃、四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

号令をかけると同時に生徒が教室を出て行く。皆、学食や購買に行くのだろう。この学校の学食や購買の品は美味しいと評判ですぐに行かないと売れ切れてしまうほどだった。

けれど、俺たちは弁当がある(俺はさと姉がいつも作ってくれる)ので、教室で食べている。

『祐樹は彼女とかいないのか?』

『うぶっ!』

唐突な俺の質問に祐樹が吐き出しそうになる。多分俺の口からそんな質問がくるとは予想外だったのだろう。

『な、なんだよいきなり〜』

笑いながら祐樹が食べ進める。

『いや、少し気になっただけだ』

『ふ〜ん…まっ、絶賛募集中ってとこかな☆』

祐樹がウィンクしながら言ってくる。

『そうか』

『なになにぃ〜?隼人さんも気になり始めた頃合いですかぁ〜?思春期なんですかぁ〜?』

『うるせ』

『あいたっ!ちょっと強くやりすぎじゃない!?』

言い方がうざかったので、祐樹の頭にチョップをお見舞いしてやった。

『悪い』

『許してあげよう。んで、ほんとにどうしたの急に』

『いや、恋愛って楽しいのかなってな』

『……ふ〜ん。祐樹も気になる人できたのか?』

『いや、特にはそういうのはないんだが』

『……そっ…か』

『なんだ?神妙そうな顔して』

『あ、いや、なんでもない。でも珍しいな、隼人がそんなこと考えるなんて。家の中で引きこもってるような生活してる隼人くんがさ』

今、祐樹がすごい深刻な顔したような……気のせいかな。けど、すぐにいつもと同じように笑って返してくる

『夜には浜辺にいつも出てるけどな』

『月…見てるのか?』

『あぁ』

『昔っから隼人は海とか月とか好きだもんな。それのどこがいいんだ?』

『なんなんだろうな…自分でもよくわからない。でもなんか落ち着くんだ』

『そっか。まぁ、人それぞれだしな』

そこで昼休みの終わりの予鈴が鳴った。いつの間にか教室に大半の生徒が戻ってきていた。そんなに長く話をしていたのだろうか。

『もうこんな時間か。話してると時間たつのって早いなぁ』

祐樹が弁当を片付けながら時間を確認する。

それにしてもあの表情はなんだったんだ?

さっき深刻そうに見えたけど、あれは…どこか寂しそうだった。

いつの間にか祐樹は午後の授業の準備をしていた。

気にしてもしょうがない。俺は弁当を片付けて午後の授業へ備えた。

初めまして、そしてどうも谷川です。

うみホタル続話です。時系列的に話が展開するのはまだ先です。ちなみに今の時期の話は三年生になったばかりの話になります。

時間はかかりますが、今後とも付き合いいただけたなら幸いです。では、また次話出会いましょう!

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