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姉ちゃんは同級生 ~井の頭の青い空~  作者: 山崎空語
第6章 高校生の俺達 ~卒業に向かって~
114/125

6-3 合宿参加を取り下げた日(その1)~申し訳ない~

 3年生の5月の連休は希望者が那須高原で合宿補習をする事ができる。定員は100名だが、3年も始まったばかりだし、まだ受験勉強に気持ちが向かって無い者が多くて、例年100人も応募しない。情処研の分析によると、少ない年で60人、多くても80人に満たないと言う事だ。4月の中頃に募集が始まったので、姉ちゃんと俺は真っ先に申し込んだ。2人共全力で受験勉強したいというよりも、遠景に雪渓が残る那須高原の冷たい空気の中を散歩してみたいという感覚的で身勝手な理由からだった。なので、申し込んで3日も経つと・・・すっかっり忘れてしまった。

 4月26日金曜日の放課後、姉ちゃんと俺は学年主任で物理の守屋先生に呼ばれて、物理実験準備室に向かった。呼び出されたのが担任の黒田先生でなく、学年主任の守屋先生と言うので、姉ちゃんも俺もなんか嫌な予感がしていた。しかも場所が教員室で無く物理実験準備室という事が余計に不安を掻き立てた。

「翔ちゃん、また何かした?」

「姉ちゃん、俺は悪戯いたずら小僧ですか?」

「そうは言わないけど、悪気無しに叱られる様な事するの得意でしょ!」

「えぇ~、それって最悪じゃん!」

姉ちゃんは歩きながら俺を斜めに見上げるようにして、

「ううん、可愛いよ!」

「えぇ~、俺はどう反応したら良い?」

「どんな事になっても、お姉ちゃんが味方になってあげるからね。」

「なんか、俺だけがこれから叱られるのが前提?」

「覚悟はしといた方が良いわ!」


 物理教室は1階のLL教室の奥隣にある。ただし、LL教室と物理教室の間にはLL教室側には機材倉庫があり、物理教室側には物理実験準備室がある。つまり、玄関側から奥に向かって進むと、LL教室、LL機材倉庫、物理実験準備室、物理教室という並びになる。姉ちゃんと俺はLL機材倉庫を過ぎて物理実験準備室の入り口の引き戸をノックした。守屋先生の元気な声がした。

「どうぞ! 開いてるよ!」

俺は引き戸を開けて準備室に入った。姉ちゃんも続いた。準備室に入ると、手前に背が高いパーテがあって、その向こう側に段ボール箱が積み上げてあって、その段ボール箱の山の奥に先生の机がある。当然だが、姉ちゃんと俺はそこへ行った。段ボール箱を崩さない様に気を付けて。

『失礼します。』

「おお、仲良し姉弟が来たか。」

「え~っと、その手のご指導ですか?」

「ああ、すまん。そうじゃない。お前達が仲良しなのは、教員の私から見れば、微笑ましくて良い事だ。」

「それはどうも。」

「有難うございます。」と姉ちゃんが補足。

「実は、今度の合宿補習の事なんだが、今年の3年生は勉強好きが多くてな。」

「え~と、それは良い事では?」

「そうなんだが・・・単刀直入に言おう。」

「?」

守屋先生はキョトンとしている姉ちゃんと俺を見詰めて話を切り出した。

「悪いんだが、合宿補習の参加申し込みを取り下げてくれないか?」

「えぇ~!」

「ほんと、申し訳ない。」

姉ちゃんと俺はどう反応して良いか判らなくて、守屋先生はどう話を繋いだら良いか判らなくて、しばらく沈黙の時が流れた。

「・・・俺達が参加すると何かまずい事でも?」

「君達がどうこうじゃ無くて、成績上位者から順に声を掛けているんだ。」

「えっと、何が何だか理解できないのですが・・・」

「つまりだな、成績が優秀な者はあえて補習するまでもないという配慮だ。」

俺はなんかカチンと来た。

「勉強する必要ないと?」

「いや、そうは言ってない。君達なら自学自習出来るんじゃないかと思う。」

「あのぉ、俺達すごい不安なんで、すがる気持ちで真っ先に申し込んだんですけど。」

「そうか・・・そうかも知れんが、できれば自学自習をお願いしたい。」

「それって、俺達には教える事は無いと?」

「あ、いやそこまでは言って無い。今回の補習の内容程度なら君達には自学自習で十分だという事だ。」

「結果的には同じ事ですよね。」

「簡単には納得してくれないか。流石は成績上位者だな。」

俺はなんか突き離された様な気がして、姉ちゃんと俺は顔を見合わせて、どうした物かと考え込んだ。姉ちゃんも困惑しているみたいだ。だいたい、連休直前になってこんな事を言われても、予備校も5月の講習をもう閉め切っていると思う。それに、姉ちゃんと俺がこの補習に参加することが理由になって、今年はスタイルKのロケ撮影が無くなったというのもあった。今更補習は無くなりましたなんて言い難い。

「成績上位って、姉ちゃんと俺は5番より上になった事は無いです。ナ、姉ちゃん。」

「うん。翔ちゃんの方が上だから。・・・悔しいけど。」

「ははは、中西君達の上位と言うのは5番以内なのか?」

「えっと、正確には3番以内です。」

「本当か? そんな風に考えているのか!」

また沈黙が流れた。

「・・・そうか。じゃあ4番以下は何と言う分類になるんだ?」

「考えた事もありませんが、まあ『普通』ですよね。」

「じゃあ、中西君は自分が普通だと?」

「はい。姉ちゃんもそうだよね。」

「そうね。私達は普通です。」

「私に君達を形容させてもらえば、『成績優秀者』です。」

俺はなんか持ち上げられて、都合よく説得されてしまいそうな気がして、徹底的に対抗したくなっている。つまり、『そんな煽てには乗るもんかぁ』という気分だ。

「俺的には、成績優秀者って、人種が違いますから。」

「どう違うんだ?」

「誤解を恐れずに言うとですね、成績が何番かなんて事じゃなくて、まず親が桁違いのかなりのお金持ちで、塾とか家庭教師とか、勉強するための自分専用のサポートスタッフの支援が十二分に有って、それから勉強以外の煩わしい面倒な事から完全に開放されている人種です。」

「ほーぉ、なるほどね。すごい人種だね。・・・春香君はどう思う?」

「翔ちゃんのは言い過ぎかも知れませんが、勉強に集中できる環境に身を置いている人だと思います。その結果として、コンスタントに学年で3番以内になれる様な。」

「俺が思うに、そういう人種の人達は、合宿補習に行く必要なんか無くて、むしろ行かない方が手近にもっと良い勉強ができる環境がある人達です。」

「なるほど。そういう見方があるんだね。」

「ほぼ事実ですから。」

「羨ましいか?」

「もちろん。ですが、俺は勉強以外にも皆と色々面白そうな事を楽しむのも好きなんで、全面的に羨むとかじゃないんですけど。」

「翔ちゃんはむしろ煩わしい事を楽しむ傾向があるわ!」

「うん。ありがとう、姉ちゃん。」

「あ、褒めてないから。」

「あれれ!」

また暫らく沈黙して、守屋先生の考慮時間が流れた。

「成績優秀者の定義をしっかりしないまま君達を呼んだのが失敗だった様だな。悪い事をした。」

「じゃあ、合宿に行けるんですね。」

守屋先生は溜息をして、また考慮時間に入った。俺はかなり勝利宣言に近付いたと思った。それと同時に、合宿参加はこの際どうでも良くなって来た。

「君達にはどう言い繕っても見透かされるだけみたいだから、正直に状況を相談させてもらうよ。」

「えっと、つまり何かあったんすか?」

「合宿の参加者は例年80人に満たないので、今年も80人の予約をしてたんだ。」

「定員100名では?」

「表向きは。特に最近は外国人観光客が多いせいか、宿のキャンセル料が高いんだ。」

「て事はつまり、80人の実質定員をオーバーしたんですね。」

「そう。85人になった。」

「たった5人ですよね。」

「申し訳ない。八方手を尽くしたんだが、駄目だった。」

「それで成績順に5人を?」

「その通り。申し訳ない。中西姉弟はその5人にスッポリ入ってしまいました。と言うか、申込者の中ではワン・ツーだから。」

「えっと、社会通念的には申込順に優先権って事じゃぁ?」

「成績下位者と言うと語弊があるが、より鍛えた方が良い者を拾い上げてあげたいんだ。教師としては。」

姉ちゃんと俺は顔を見合わせた。姉ちゃんも俺も、補習で成績を上げたいと切実に思っている人を蹴落とす程非情にはなれそうもない。

「翔ちゃん、そういう事なら仕方ないよ!」

「まあ、そう言えばそうだね。」

俺も1つ深い息をした。

「・・・わかりました。『シブシブ』ですが、取り下げます。」

「そうか。有難う、助かる。」

「その代わり、お土産くらいは買って来て貰えますよね。」

「翔ちゃん!」

俺は守屋先生を睨んだ。先生をなんか正当な理由で上から目線で見れるなんて、滅多に無い事だと思った。そして今がその時だ。初めてだ。

「わかった。それ位はさせてもらおう。」

「有難うございます。それで真っ先に申し込んだ事の気が晴れます。」

「そうか。だが私のポケットマネーだからあまり期待はしないでくれ。」

「わかりました。」

そう言って、少し笑顔を作って、俺は右手を差し出した。つまり、守屋先生と合意の握手した。俺と握手した後で守屋先生が姉ちゃんに右手を差し出した。つまり、もちろん姉ちゃんも握手した。

「それでは失礼します。」

「あ、ちょっと待ってくれ! せっかく来てくれたから、これをあげる。」

守屋先生は机の右下の引き出しから白い冊子を4冊取り出した。俺はそれを素直に受け取った。

「それは合宿で使う予定のテキストの余部だ。1つは数物、もう1つは英国だ。」

「それはどうも有難うございます。」

「自学自習の参考にしてくれ。」

「はい。嬉しいです。」

「そうか。そう言ってくれると嬉しい。」

「ところで、このテキストの内容について後で質問をしても良いですか?」

「もちろん。各教科の先生に伝えておくから、個別にしてくれ。」

「はい。」

姉ちゃんと俺は白い冊子を抱える様にして持って物理準備室を出た。1礼して入り口の引き戸を閉めて、LL教室の方に体を向けると、瀬川、廣瀬、松木の3人が玄関からこっちに向かって歩いて来ていた。この3人もきっと合宿の強制的辞退予定者なんだろうと思った。LL教室の横ですれ違った時3人を見ると、向こうも姉ちゃんと俺を見ていた。まあ、ハグして激励し合う程親しくも無いので、そのまますれ違った。そして、姉ちゃんと俺は放送室で待ち合わせる事にして、階段で2階に上がった所でひとまず別れた。4時半過ぎだった。


 放送室には2年の3人と1年の4人が既に来ていた。入学式以来、毎日の様にこの7人が集まって、コンソールの使い方や機材の取り扱い方について教え合っている。なかなか微笑ましい。おそらく、連休が明ける頃には使い方に慣れて、校内ユニットや軽音や吹部の録音や取材やアナウンスの練習が始められる事だろう。そう言えば順平はナッちゃんの引退試合を見に行くとかで早退したから、今日は3年は俺だけだ。

「お、皆揃ってんな!」

「あ、翔太副部長!」と雫。

「おう、相変わらずだね。シズクちゃん。」

「はい。でも何が?」

「相変わらず可愛い声だって事。」

「えぇ~、声ですかぁ!」

「でも、笑腹亭部長はやめて!」

「は~い。」

調整室の奥のミキサー席に座っていたユウが俺の顔を見て何か思い出したみたいだった。ユウは立ち上がると、キャビネットから去年皆で作った修理マニュアルのファイルを取り出した。

「翔太先輩、これからマコト君とミヒロ君にケーブルの補修方法を教えます。」

「おお、それ放送部うちの基本だかんな!」

「監修して貰えますか?」

「ああ、もちろん。」

ユウは調整室のキャビネットの下の段からマイクの中継ケーブルの束をいくつか取り出した。赤い布テープで括ってある。つまり、芯線が切れて信号が伝わらなくなっているという印だ。

「これが切れたケーブル。これをこれから修理する。」

「自分達で修理するんですか?」とマコト。

「当然!」

「面白そうです。やります。」とミヒロ。

ユウはそのケーブルの束を床に置いて、キャビネットと壁の隙間からベーク板を取り出し、それをミヒロに渡して、更に半田と半田小手と工具箱をキャビネットから取り出した。そして3人は床に腰を下ろして修理を始めた。ユウはいつか俺が教えた様に、まずはやって見せて、それからやらせてみて、上手く行ったらグッジョブ、ダメだったらドンマイだ。ちゃんと伝わっているのが嬉しい。そう言えば、去年ユウがスマホで写してレポートにした修理手順の写真が今は色々な機材修理マニュアルの1部になっている。俺はパイプ椅子に腰かけて3人の様子を笑顔で見ていた。男子が修理を始めたので、女子はスタジオに移動して、アナウンスの練習本で何か始めた様だった。・・・ユウの修理のお手本が少し進んだ頃、熱心に覗き込んで観察していたミヒロが話しかけた。

「ユウ先輩、このコネクタには名前は無いんすか?」

「えっと、翔太先輩、これの名前とか知ってます?」とユウ。

「ああ、それなら、正式にはXLRコネクタって言う。キャノンコネクタって言う人もいる。」

「なんで3ピンなんですか?」

「おぉ、畳み込んでくるね。良い傾向だ! コネクタがだけが3ピンなんじゃ無くて、ケーブルも3芯なんだ。平衡伝送ケーブルと言って、音声信号の雑音が少なくなるように、赤がホット、白がコールド、黒がアース、ほんで、シールドの網にその3芯が包まれている。だから、コネクタも3ピンになる。黒が1番端子、赤が2番端子、白が3番端子で、当然本体外殻がシールドだ。」

「あ、それでコネクタの本体が金属なんですね。」

「その通り。それにな、」

その時、ユウが左手を小さく上げて割り込んだ。

「あ、先輩そこから先は僕に説明させてください。」とユウ。

「そうだな。」

「今修理しているケーブルは延長ケーブルだから、コネクタは片方がオスならもう片方はメスなんだ。」

ユウはまだ修理してないケーブルの両端のコネクタをミヒロとマコトに見せた。そしてその2つのコネクタを突き合わせて接続した。

「だから、こうやって勘合できる。」

「本当だ!」とマコト。

「しかも、このコネクタのオスは良く見ると、ピンの長さが変えてあるんだ。」

ミヒロとマコトはオスのコネクタを手に取ってコネクタの正面から中を覗き込んだ。

「本当だ。1番端子が長い。」とミヒロ。

「その通り!」

「えっと、1番はアースでしたよね。」とマコト。

「うん。つまりアースが1番最初に繋がるってか、接触するんだ。実はその前に外郭シールドが接触してるんだけどね。」

「なんでこんな細かい仕掛けになってるんですか?」

「アースが最初に接触するって事は、接続する機器同士のアース電位が最初に同じになるから、ショックノイズが低減されるのさ。ビーとかブーって言う。それに、静電気の感電も無くなるから安全。」

「ユウ先輩、凄いすね。博識すね。」とマコト。

「翔太先輩の受け売り。」

ユウはそう言うと、笑顔のドヤ顔で俺に視線を投げて来た。俺は嬉しさで満面の笑顔だった事だろう。

「平衡伝送って言うのは、送り出し側と受け側のアンプの構造も知って無いとね。」と俺。

「なんか、1度に理解するのむずいです。」とマコト。

「まあ、時間はタップリあるから。それよっか、火傷しない様に! 気を抜くな!」

『はい。』

結局、ユウがお手本に1本を修理して、ミヒロとマコトが2本づつ修理マニュアルを見ながら合計5本の延長ケーブルの断線を修理した。

「やってみると案外簡単ですね。」とマコト。

「まあね。」とユウ。

いつの間にか女子たちも調整室に戻って来て修理の様子を見ていた。

「男子がそうしてるの、なんか格好良いね。」とシオリ。

「俺に惚れるんじゃネーゼ!」とミヒロ。

「私が惚れるにはまだ力量不足だわ!」

「そうか。じゃあもっと頑張らねば!」とマコト。

「こうしてだんだんオタクになるんだね。2人共。」とカナ。

「オタクは本来かっこ良い技能者なんだよ。」とユウ。

「そっか? まあどうでも良いけど、片付けまできっちりしてくれよ!」と俺。

『はい。』

「わたし手伝うわ」とシオリ。

「仕方が無い。私も。」とカナ。

その様子を2年の女子が調整室の入口の壁にもたれかかって観察していたが、

「なんか、良い人たちが入ってくれたね。」と雫。

「うん。嬉しいね。」とケイ。

俺も同じ気持ちだった。ユウの指示で片付けをする1年の4人を微笑ましく見守った。なんか、もう引退しても問題無い気がして、少し寂しさも感じた。


 調整室のドアが少し開いて、ケイちゃんと雫ちゃんの後ろから姉ちゃんの声がした。

「翔ちゃん居る?」

「あ、いらっしゃいます。」と雫。

「ありがとう雫ちゃん。まあ、そんなに丁寧に言わなくても良いよ。」と俺。

「いえ、先輩ですから。」

姉ちゃんは微笑んで調整室を見渡した後、俺に向かって、

「終わりそう? 私、帰るけど。」

「ああ、俺も帰る。じゃあ皆お疲れ! ほんで、お先に!」

『お疲れ様でしたぁ~』

俺はスクールバックを持って調整室を出て、姉ちゃんと並んで階段に向かった。

「写真部の1年はどんな感じ?」

「うん。皆、良い子だよ。」

「そっか。それは良かった。」

「今は何してるの?」

「静物を写して、カメラの構造やら、被写体の捉え方やらを教えてるの。」

「へぇ~! 凄いね。」

「放送部は?」

「ああ、良い子達だ。それになんか可愛い。」

姉ちゃんは俺の左腕を叩くようにして、

「翔ちゃん、駄目だからね!」

「えっ・・・そんな積りじゃないから!」

「なら良いけど。」


玄関で靴を履き替えようとしている姉ちゃんと俺の後ろから、聞き覚えのある声に呼び止められた。

「翔太先輩!」

振り返ると、放送室から慌てて追いかけて来たらしく、少し息を切らせていつになく深刻そうな顔のユウ(戸上裕也)が居た。

「どうしたユウ!」

「先輩に相談したい事がありまして・・・」

「なんか難しそうだね。」

「はい、少し。」

「翔ちゃん、私先に帰るね。」

「あ、うん。」

「すみません春香先輩。」

「ううん、良いのよ。」

「わるいね姉ちゃん。」

「良いのよ、帰って彩ちゃんの話しを聞いてあげるわ。」

「そうだね。頼んだ。」

「うん。それじゃぁお先に!」

姉ちゃんは玄関を出た所で1度振り向いて笑顔で手を振った。俺も小さく手を振った。俺とユウは姉ちゃんが玄関を出て右に曲がって校門の方に行くのを見送った。

「談話室に行くか?」

「はい。」

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