5-27 助っ人を頼まれた日(その7)~ライブの朝~
12月23日朝6時45分、2人共目覚まし時計のだんだん大きくなるアラーム、
『ピピピッ・ピピピッ < ピピピッ・ピピピッ < ピピピッ・ピピピッ』
で目が覚めた。俺は少し慌てて自分の部屋に戻った。彩香が来るかも知れないと思ったからだ。そして、かなり急いで身支度をしてダイニングに行った。朝食を掻き込んで、荷物の確認をして、結局予定より30分遅い8時半頃玄関を出た。2人共ダウンジャケットの上に、姉ちゃんは俺のアコギのソフトケースとショルダー、俺は姉ちゃんのキーボード・シンセサイザーのソフトケースを背負ってザックを肩にかけて。
「いってらっしゃーい! 見に行くからね~!」
彩香が大声で見送ってくれた。
「おお、頼むぞー!」
姉ちゃんと俺は三鷹台商店会の通りに出て三鷹台駅に向かって急いだ。曇っていて日差しが無くて、湿った寒さが充満していた。
「なんか、寒いわ。」
「うん。タイツ履いてくるべきだったかも。」
「そうね。じゃあ、1度帰る?」
「いや、良いよ!」
「大丈夫?」
「たぶん。」
井の頭線の電車は暖房が入っていて、ほっとする位暖かかった。吉祥寺で東西線に乗り換えて早稲田まで30分掛からないはずだから余裕だ。この時間帯は普通なら通勤ラッシュだが、今日は日曜日なので楽々座れた。姉ちゃんと俺はソフトケースを膝で挟んでザックと一緒に抱えて座った。姉ちゃんが俺の右側だ。暖房の暖気が座席を温めていて、妙にお尻が暖かい。
「ねえ翔ちゃん、木村先輩はこのルートなんだよね。通学。」
「たぶんね。」
「横山先輩、合格すると良いね。」
「大丈夫さ、ヨッコ先輩だもの。」
「そうね。」
「あ、姉ちゃん、ミラーレス持って来た?」
「もちろん。私の分身だもの!」
「分身?」
「そうよ、私のもう1つの瞳。」
「なるほど。」
東西線は中野駅を出ると地下に潜る。昔、地下鉄の電車はどこから地下に入れるのかっていう漫才があったそうだが、地下鉄には地上を走る区間が有る。しかも車両基地は大抵地上にある。その中野駅のホームに入った時、スワイプ・イン・ドリームの3人がホームに居るのがチラッと見えた。同じ電車に乗るのだろう。
「姉ちゃん今見えた?」
「うん。後ろの方に乗るんだね。」
「その方が出口が近いのかなあ?」
「そうね。きっとそうなんだわ!」
「後ろに行く?」
「いいよ、降りたらすぐに一緒になるわ!」
「だね。混んでるし。」
突然姉ちゃんが何か思い出したようにおれの右腕を叩いた。そして俺に左手を見せながら、
「そうだ、翔ちゃん、あれ持って来た?」
「あれ?」
俺は姉ちゃんの手の甲をみて理解した。
「ああ、もち。」
俺はザックのポケットから預かり証を出して姉ちゃんに見せた。姉ちゃんは安心したみたいだった。そして2人共互いに顔を見合わせて微笑んだ。
姉ちゃんと俺は、早稲田駅の地上に出る階段の手前で、賑やかに話しながら歩いているスワイプ・イン・ドリームに追い着いて合流した。
「おはよう、みんな!」
「ああ、師匠、ハルさんおはようございます。」
「おはようございますぅ。」
「おはよう。同じ電車だったんだ。」
「おはよう。中野でホームに居るみんなが見えたわ!」
「加代、まさかとは思うけど、徹夜?」
「そんな事しないわ! 美容に悪いもの!」
「でも、3人一緒って事は・・・」
「うん、ナタプロには泊まったわ! 12時頃になったから。」
「みんなお泊りセット置いてるんですぅ。」
「誰かさんのせいで帰れなくなる事があるからね。」
「ごめんなさ~い!ですぅ。」
「えっ? 円ちゃんのせい?」
「私、ちょっとドンクサいんですぅ~。」
「そんな感じには見えないけどね。」
「でも、そうらしいんですぅ。」
「へえ~、そうなんだ。」
「そんなあ! 納得しないでくださぁ~い。」
「あ、悪かった。」
9時15分頃大熊キャンパスの門に到着した。誰も居なかった。立ち止まって実感したことがある。かなり冷える。それにしても流石に歴史あるキャンパスだ。生えてる樹木は大きく、建物は良く言えば歴史的な燻色、悪く言えば煤けた外壁で、冷気の中にも凛とした佇まいだ。
「誰も居ませんねえ。早すぎましたぁ?」と円。
「ここでしばらく待ってましょ!」と姉ちゃん。
「師匠、ここは昔は大きなクマが住んでたんですか?」
明莉ちゃんらしい素直な発想だ。
「いやあ、偉い人の名前だと思うよ。すぐそこに銅像が有るはずだよ!」
「そうですかぁ~」
姉ちゃんが通り側に出て赤いミラーレスを構えた。
「みんな、門の前に並んで!」
『は~い!』
姉ちゃんはシャッターを押すと、
「翔ちゃんお願い。」
「ほい。了解。」
俺は姉ちゃんと代わってJKの4人組をコレクションした。赤いミラーレスを姉ちゃんに返すと、明莉ちゃんが門柱の「高田馬場大学文学部」という表札を見ながら、
「難しいんですよね。ここの入試。」
「うん。結構な難関大学だね。」
「私みたくおバカは無理ですよね。」と円。
「円ちゃんがおバカかどうかは分からないけど、ここを受験するんだったらひとまず最低合格ラインまでは頑張らないとね。」
「やっぱぁ無理ですぅ!」
「円ちゃんは成績で勝負してないから、1芸アピールの推薦ってのも有った様な!」
「あ、それ、一般入試より競争率高いよ!」と加代。
「やっぱぁ無理なんですねぇ~」
「じゃあ、有名になって大学祭に呼んでもらうとか良くないか?」
「それ、いいですねぇ!」
他愛のない会話だったが、円ちゃんの表情が良くなったような気がした。
「加代さんはここを受けるんですか?」
「まだ決めて無い。けど、仕事が忙しくなったら大学は無理かもな。」
「合格さえしとけば大学は単位制だからゆっくり卒業すれば良いんじゃない?」と姉ちゃん。
「そうだね。勉強、ハルちゃんが教えてくれるとか?」
「もちろん良いよ! 翔ちゃんも居るし。」
「ああ、任せとけ! 知らない事以外は。」
「ありがとう、じゃあそうするか!」
そこへようやく小泉さんがやって来た。リュックを背負って、少し大きめの手提げ袋を両手に持って息を切らしている。
「おはよう、みんな!」
「あ、プロデューサさん、おはようございます。」と明莉。
『おはようございます。』
小泉さんは門の周辺を見渡して、
「今何時?」
「9時20分ですぅ!」
「木村君はまだですか?」
「まだですが、俺達も5分ほど前に来た所です。」
「そうですか。電話してみましょうか。」
そこへ木村先輩がキャンパスの建物の間から現れた。
「すみません。部室を片付けてまして、遅くなりました。」
『おはようございます。』
「あ、そうでした。おはようございます。」
「練習出来そうですか?」と小泉さん。
「はい。大丈夫です。じゃあ、行きましょうか。」
「プロデューサさん、1つ持ちましょうか?」と円。
「いや、良いよ。重いから。」
「僕が持ちましょう。」と木村先輩。
「そうですか。じゃあ、1つお願いします。」
木村先輩に先導されて、小泉さん、スワイプ・イン・ドリームの3人、姉ちゃんと俺の順で、門から2つ程奥のレンガ造りの建物の2階に上がった。そこは6m×10m位の少し広い殺風景な部屋で、正面の壁際にドラムセットとアンプスピーカーが並んでいた。一応ストーブが焚かれてはいるが、まだ寒かった。全員がその部屋に入ってキョロキョロしていると、
「それじゃあ、メンバーを紹介します。荷物はその辺に適当に置いてください。」
スワイプ・イン・ドリームの3人と姉ちゃんと俺は部屋の右側の壁際に移動してそこに荷物を置いた。そして部屋の中程に戻って、ドラムセットの前に居るビート・ストックのメンバーに注目した。
「向かって左の一見イケメンの彼がベーシストの長嶋俊介、通称『シュン君』です。」
「シュンです。商学部1年です。よろしくお願いします。」
「真ん中の髭のムキムキマンがドラマーの沖嶋陽太、通称『ヨウタ君』。」
「ヨウタです。与太じゃ無いから。理工学部の2年です。よろしく。」
「それから、右のエキゾチックな女性がボーカルのナナさんです。」
ナナさんはマスクをしてマフラーを首に2重に巻いている。
「ナナよ、よろしく。英文。以下省略。ゴホゴホ!」
ナナさんはガラガラ声だった。
「今聴いたと思いますが、声が出なくて、今は安静にしてもらってます。」
「うつると悪いから私はすぐ帰るわ。でも、来てみて良かった。やっぱりJKって可愛いね。風邪ひいてなかったら抱き締めたいくらいだわ。ゴホゴホ。」
木村先輩の話で、ナナさんは豪傑かと思っていたが、案外いい人だと思った。木村先輩が小泉さんを見た。
「あ、私は中野タレントプロモーションの小泉と言います。プロデューサです。」
ビート・ストックの3人はペコリと頭を動かした。小泉さんは手で境界線を引くようにして、
「こちら側の3人がスワイプ・イン・ドリームです。左から、明莉ちゃん、加代ちゃん、円ちゃんです。」
「植田明莉です。池越学園高校の1年です。よろしくお願いします。」
「田中加代です。久我山高校の2年です。よろしくお願いします。」
「米田円ですぅ。明莉ちゃんと同じ池越の1年ですぅ。よろしくお願いしますぅ!」
ビート・ストックの3人の表情がかなり緩んだ。小泉さんが姉ちゃんに目配せした。すると姉ちゃんは俺にそれをそっくりリレーした。俺は小泉さんの真似をして、右手で線を引いて、
「こっち側の2人は、スタイルKの読者モデルで、俺がショウで、こちらがハルです。2人共久我山高校の2年で、俺は加代ちゃんの同級生です。俺の本名は中西翔太です。よろしくお願いします。」
「姉の中西春香です。よろしくお願いします。」
姉ちゃんがお辞儀をしたのを切っ掛けにして、そこに居た全員がハモった。
『よろしくお願いしま~す。』
姉ちゃんと俺が同級生と言う事には誰も疑問を持たなかったみたいだ。ひょっとしたら、木村先輩から事前に聞いていたのかも知れない。木村先輩がいつもの優しい笑顔で、
「それじゃあ、早速始めましょう。」
「マサシ君、じゃあ、うち帰るから。頑張ってね。ゴホゴホ。」
「わかりました。お大事に!」
ナナさんは皆を見渡した後、手を振って出て行った。木村先輩はナナさんを目で見送った後、
「始める前に円陣かな。」
ビート・ストックの3人とスワイプ・イン・ドリームの3人と姉ちゃんと俺は部屋の中央付近に集まって、円陣を組んで右手を輪の真ん中に出した。すると、木村先輩ではなく、ヨウタ先輩が『ガンバロー』と掛け声を出して、みんなが『オウ!』と応じて気合を入れて拍手した。すると、小泉さんが、
「ペットボトルのお茶を買って来ましたので、適宜喉を潤してください。」
『はーい。』
ビート・ストックは好みのペットボトルを受け取って各自の持ち場に戻った。スワイプ・イン・ドリームの3人と姉ちゃんと俺も小泉さんからお茶のペットボトルを受け取った。そして、各自荷物を置いた部屋の右隅に移動した。
「あ、シヨウ君とハルさんは楽器を持ってこっちに来てください。」とシュンさん。
「はい。」
姉ちゃんと俺は荷物を持ってベースの左でドラムスの右横に移動した。自分達から見ての位置関係だ。ステージの上だと想定すれば、客席から見て、ベースが一番左、サイドギター、キーボド、ドラムス、リードギターという並びになる。
「このドラムスの横のアンプを使ってください。」
「はい、わかりました。」
「マニピュレーターは居ないから自分で音量調節ね。」
「了解です。」
姉ちゃんと俺はキーボードとギターのソフトケースを交換して、それぞれケースから取り出してスタンバイした。俺は姉ちゃんのラインアウトとギターマイクのプラグをアンプに繋いで音が出るのを確認した。それから、譜面台を拡げてその後ろに立った。
「すみません、マイクはありませんか?」と円。
「私のがあるよ。」
加代がそう言って自分のバックから、たぶんマイクカヨ2を取り出そうとした時、小泉さんがまた何か思い出した。
「あ、そうでした。ワイヤレスヘッドセットを使ってください。10個あります。」
「じゃあ、私が配りまーす。」と明莉。
明莉ちゃんはヘッドセットが乱雑に入ったレジ袋を提げて、全員にヘッドセットを配って、余りを小泉さんに返した。俺と姉ちゃんもそれを受け取った。もちろんビート・ストックもだ。全員に行き渡ったのを見て、ワイヤレスマイクのヴォリュームを操作して、木村先輩が指示を出した。
「それじゃあ、そっちの端のシュンから順番に声を出してみてください。」
「シュンです・・・?」
スピーカーから声は出なかった。俺は小泉さんを見て、
「専用受信機が有るんじゃないかと思いますけど。」
「あ、これですか?」
小泉さんが、コードが巻き付けられた黒い箱とACアダプタを取り出した。
「それですね。」
その箱からはアンテナ線とLとRのライン出力が2本出ていた。ACアダプタも取り付けられるようになっていた。俺はライン出力を俺達の後ろのアンプのジャックに、ACアダプタをコンセントに繋いだ。とりあえずLRは今は関係ない。
「今度は声出ますか?」と俺。
「ベースのシュンです。」
「サイドギターのショウです。」
「キーボードのハルです。」
「ドラムスのヨウタです。」
「リードギターのマサシです。」
「レフトボーカルのアカリでーす。」
「センターボーカルのカヨです。」
「トリのマァドカですぅ!」
「ちょっとぉ、円ぁ、違うから!」と明莉。
「てへ!」
「ハハハ、全員問題無いね。」と小泉さん。
「あああ、良く声が通る。良いですねこれ。」と木村先輩。
「イベントに出るタレントの必需品ですから。」と小泉さん。
俺はさっきのLRで思いついたことがあった、
「皆さん、ヘッドセットのスイッチがCのセンターになってるのを確認してください。」
全員が1度ヘッドセットを外してスイッチを確認した。
「それじゃあ、ハルちゃん、チューニングの音、下さい。」と木村先輩。
「はい。」
姉ちゃんはAのキーを『ララララ・ラー』とリズミカルかつ最後の音を伸ばして押した。それに合わせてビートストックの3人と俺が音をチューニングした。と言っても、電子音叉で普段から合わせているから、ほんの気持ちだけだ。
ヨウタ先輩がドラム・スティックのカチカチを4回鳴らして、『恋人がサンタクロース』が始まった。遠慮の無い大音量だ。姉ちゃんも俺も初めの8小節位は追いかけるのがやっとだった。だが、10小節位から練習の効果が出てきて、間奏になると楽しくなってきた。ベースのシュンさんと笑顔を交わしてリズムを取った。そのせいか、2番になると楽しくなってきた。やっぱり生のドラムスとベースがあると凄い。楽しい。姉ちゃんも笑顔だった。スワイプ・イン・ドリームの3人も流石タレントの卵だ。ステップを揃えていて、後ろから見ても輝いて見えた。そして初めてのセッションが終わった。木村先輩が拍手した。
「良いねえ、初めてでこんだけシンクロするのは久しぶりだよ!」
姉ちゃんも俺も楽しくて嬉しくて、なんか感動して、満面の笑顔だった。
「スゴイですぅ~、こんな大迫力初めてですぅ~」と円。
「あぁ~、すごい、凄い、スゴーイ、他に言葉がありません。」と明莉。
「やっぱり、生は良いわぁ!」と加代。
この後、ビート・ストックのリードでセットリストの全曲を2、3回ずつ練習した。スワイプ・イン・ドリームも姉ちゃんと俺も昨日練習したので、それほど突っ掛かる事も無く、木村先輩は不安が消えて大喜びだった。
「どうなる事かと思ってましたが、安心しました。」
「楽しいですぅ!」
「まあ、考えてみれば、スワイプ・イン・ドリームはデビュー前のプロのユニットだし。スタイルKの2人も学園祭で演奏するレベルでしたね。失敬失敬!」
「こんな高校生見た事無いよ。」とヨウタ先輩。
「木村先輩のアレンジとタブ譜が良いんですよ!」と俺。
「あ、あれはナナさんだよ!」
「へぇー、そうだったんすか。凄いですねナナさん。」
「うん。能力者だから。」
「久我高の吹部のナナ先輩と同じですね。」
「そうだね。そう言えば吹部にも居たね。同じ名前のアレンジャー。」
「吹部のナナ先輩はペット専門でボーカルはカラオケも拒否だそうです。」と加代。
「ま、とにかく、君たちは合格だぁ!」とシュン先輩。
「アコギをそれだけ鳴らせるって事は相当練習してると理解した。」と木村先輩。
「有難うございます。暇さえあればってか、シュンさんにお借りしたこのピック良いですね。」
「ああ、それお勧め。持ちやすくて硬さが丁度良い。まだ有るから2、3個あげるよ。」
「有難うございます。嬉しいです。」
「良かったね、翔ちゃん。」
「うん。」
木村先輩は1通り通しで演奏できることが分かったので、何か思いついたことがあるようだ。
「シヨウ君、ハルちゃん、ちょっと試してみたいことが有るので、付き合ってくれませんか?」
「はい。」
「最後の『スノー・ハレーション』シヨウ君とハルさんは2番の前の間奏から入ってください。」
「はい。でも何故ですか?」
「2人の音の効果を実感したいんです。」
「そうですか。」
「小泉さん、後で感想をお願いします。」
「わかりました。」
ドラムスティックが2回鳴って『スノウ・ハレーション』が始まった。1番はビート・ストックだけで、間奏は俺の見せ場のアコギがあって、2番は全員で演奏した。
「どうですか? 小泉さん。」
「全然違います。シヨウさんとハルさんが入ると、華やかさが増しますし、スワイプ・イン・ドリームのステップも決まりますね。」
「やっぱりそうですか。」
「シヨウさんとハルさんが入った方が踊りやすいですぅ!」と円。
「私もそう思うわ!」と加代。
「私も。」と明莉。
「何故かしらね?」と姉ちゃん。
「たぶん、サイドギターとキーボードが音符と音符の間のテール音を補完しているからだと思う。」
「なるほど、そう言う事か。シヨウ君は理論派だね。」と木村先輩。
「すみません。生意気でした。」
「そんな事無いよ、2人共うちの大学に来いよ!」
「はあ、候補にしたいですが、実力があるかどうか!」
「ぜひ頼むよ、サイドギターとキーボード・シンセかぁ・・・厚みが出るよね。」とシュン先輩。
「僕等も少し考えようぜ!」とヨウタ先輩。
「よーし、もっかい通しでやろう!」とシュン先輩。
ドラムスティックが4回鳴って『恋人がサンタクロース』が始まった。