黒と白
スプーンで掬ったアイスクリームは
思いの外早く溶けて
口に運ぶ頃にはただの液体に変わった
もたもたしてると全部溶けるよって
あなたは笑うけれど
もう全部溶けちゃえばいいって思ってるの
甘ったるい思考もくどい言い訳も
一緒に溶かしてくれたら
あなたの隣に偽りなく居られる筈だから
それでも甘さにしんどくなって
そっとまた蓋をした
そうすれば見えなくなるけれど
狭い狭い空間の中
溢れ出してしまいそうになるよ
口に残る甘さを忘れたくて
あなたの飲む苦いコーヒーに手を伸ばす
苦みと渋みが舌に溶けて
まるであなたみたいと笑った
あなたはコーヒーにアイスクリームをひと匙落とす
ガラスの向こうで交じり合う黒と白は
思いの外穏やかに時を進めて
こんな風に私もあなたに溶けていけたらって
そんな事を願ってみる