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序章
4月10日午後11時34分、この世から1人の人間が、あの世に旅立った。
この屋敷において。そして、人間によって。
4月11日午前8時30分
「おはようございます。」度会光が、テーブルを囲む面々に挨拶する。
「相変わらず遅い。」光から見て一番手前にいる、戸田翔が言う。
「すいません。でも、今日は最下位ではありませんよ。」光が自分の席に向かいながら、もう一個の空席を見ながら言う。
「ああ、宇治木さんの事か。確かに気になるが。」翔も光を叱るのをやめにし、考え込む。
「まだ寝てるんじゃない。ていうか、あんた何でも深く考えすぎよ。いくら探偵といっても。」
翔の横に座っている女性、富井紗耶が翔に指摘する。
「あんたも探偵なら、そんなお気楽な考えはやめるんだな。
光もだぞ。探偵は寝坊なんて聞いたことはない。
だからこそ、宇治木さんの事が気になるのだが。」翔が、反論のついでに、光への小言と自分の意見を披露する。
「そう思うなら、ここで語っている場合か。行動あるのみ。」
「まあ、そうだな。サンキュー片桐のおっさん。」といって、階段を登っていった。
地獄への階段を。