はじまりと
書いてから20時間。ないわーと理解。大幅修正。
ある日、起きたらそこはレンガ造りの密室でした。
そんな舞姫ちっくな事を考えながら、あたりを見渡すとやはり自分にとっては見覚えの無い部屋。
誘拐? そんなことが脳内をよぎる。
いやまあ、身に覚えの無いこの現状がそうなのだろう。……夢遊病ではない限り。
部屋には、ベッドと鏡台、箪笥ぐらいしかなく、案の定というかなんというか唯一の出入り口のドアには鍵がかかっていて。
残念俺の冒険はここで終わってしまった! なんてぼける事しかやることは無し。
さて、いったいどうしてこんなことになったのか。
俺はただ、ホットドックの屋台のバイトをしていて、それで気がついたら、この状況。
……ルーラかトラフーリでも出来るようにでもなったのか俺。
だったら、ファンタジーの世界にでもぶっ飛ばしてくれればいいのに。
さすがに、命を懸けたデスゲームとかやらせる気ならば、とりあえず鼻フックでもかますが。
「さてと」
そんなわけで、頭の中で情報の整理を終了。
とりあえず、ドア壊すか。木製だし。一度やってみたいものだし。ドア破壊。
さすがに、ドア開けて14へ行けはあるまいだろうし。
やっぱ、こうわくわくするな! 物の破壊って! 狂人の特権だなあ倫理観の破壊ってのは。
何だ狂人の仕業かで済んじゃうSAN値0な人生って最高だわ全く。
さて、そうもう一度呟いて、深呼吸。コンセントレーションはばっちり。向こう見ずなナメクジのようにPSIが使えないようなまねはせず、駆ける。たった三メートルの距離を。
ぶっちゃけヤクザキックで壊せるけどロマンが足りない。
「……して……な、……を」
「……あるまい。は、な」
そして、飛ぶ直前の刹那、何者かがドアの向こうで喋る声が聞こえる。
だが残念、狂人は止まれない!
まあ、ぶっちゃけ奇襲扱いで、先攻攻撃のアドバンテージつくだろうしぶち抜いたほうがらくだよね。
そんなことを零コンマ二秒で考え、そして俺は、日曜八時の特撮ヒーローのように、叫ぶ。
そうあの、男の子なら一度は叫びたい台詞とともに。
「ラァァァイダァァァァキィィィィックァァァァ」
そして、あわれ木製の売れば良い値で売れそうなドアはばらばらに崩れ去り、何が起こったのか理解できず硬直している人物二名。TRPGでいうならば先攻成功率95%の状態の女の子二人に鼻フックという名のサミングを放つのだった。