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過去の予言書  作者: 由城 要
第3部 One Road Story
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Stage of extra


Stage of extra

(第3部予告)



 爽やかな風が吹き渡る。真っ白なシーツがはためき、緑豊かな庭木のなかでそれはとても映えていた。胸一杯に吸い込みたくなるような、暖かな光と澄んだ空気。今日もこの村は静かで、それでいて平和。

 庭を囲む柵の向こうでは、小さな子供達が集まって遊んでいる。無邪気な顔をした子供が一本木の葉を千切り取って、それを空中に投げた。次の瞬間、微かな風が出現して、その葉を空へと舞い上がらせる。

 庭で洗濯物を干すメイドは、子供達の楽しそうな様子を微笑ましく見つめていた。


「……ファリーナ。楽しそうね」


 ふと家の中から声がする。ファリーナと呼ばれたメイドは振り返ると、慌てて声の主に駆寄った。


「エメリナ様!もう、あまり家の中をウロウロなさらないで下さい。何かに足を取られては危険です」

「あらあら……私も一介の魔術師。そんなに簡単に転びませんよ」


 エメリナと呼ばれた声の主は、40前半の女性だった。白髪にまだ薄い笑い皺をほころばせて、ファリーナが持ってきた椅子に腰を下ろす。そして外へと視線を向けると、静かに目を細めた。


「今のは……ジャックかしら?エルマーかしら?」


 ファリーナはエメリナの髪を一つに結い、そしてまた洗濯物を干す作業へと戻る。


「エルマーですよ、エメリナ様。最近やっと風の魔法を覚えたみたいで、よくああして遊んでいますから」

「ふふふ。……いつの時代も、魔術師の子供達は一緒ね……」


 エメリナの呟きに、ファリーナの手がふと止まった。エメリナは膝の腕で両手を組むと、うたた寝でもするように顔を下に向ける。ファリーナは残りの洗濯物を手早く干すと、エメリナの隣に駆寄っていった。

 そしてゆっくりと彼女の手を握る。エメリナは微かに顔を上げると、懐かしそうな表情で呟いた。


「あれから随分と経つけれど……あの子は元気かしら……」




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[ Wizard's hometown]




 そこに、残された想いと願いがある。


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