双龍伝説
その昔、人の栄たるを恨めしく思った牛鬼という妖かしが、妖術をもって作物を枯らし、川を堰き止め、家畜に疫病をもたらした。
人々が古来より土地神と崇めていた龍神に助けを求めると、水の力を操る蒼龍と、火の力を操る紅龍の二頭の龍が、龍神の使いとして下界へ下り、牛鬼に立ち向かった。見事牛鬼を打ち倒し、牛鬼を岩へと変える。二頭の龍は、万が一に備え、人々に自らの力を写した槍と扇を託したーーこのような伝承が残る町で、代々龍神から賜ったという槍と扇を受け継いでいる雨宮家の陽翔と瑠璃の兄妹は、槍と扇の継承者として、毎年夏に、伝承を伝える舞を披露している。
伝承の出来事から千年。今や伝承を真実と捉える者は少なく、伝承はただの観光名物扱いだった。伝承を伝え、封印を護る者としての誇りを抱く陽翔に対し、瑠璃は半信半疑だった。しかし瑠璃は最近、燃える家屋と、その中で蠢き咆哮を上げる"何か"という悪夢にうなされていた……。
人々が古来より土地神と崇めていた龍神に助けを求めると、水の力を操る蒼龍と、火の力を操る紅龍の二頭の龍が、龍神の使いとして下界へ下り、牛鬼に立ち向かった。見事牛鬼を打ち倒し、牛鬼を岩へと変える。二頭の龍は、万が一に備え、人々に自らの力を写した槍と扇を託したーーこのような伝承が残る町で、代々龍神から賜ったという槍と扇を受け継いでいる雨宮家の陽翔と瑠璃の兄妹は、槍と扇の継承者として、毎年夏に、伝承を伝える舞を披露している。
伝承の出来事から千年。今や伝承を真実と捉える者は少なく、伝承はただの観光名物扱いだった。伝承を伝え、封印を護る者としての誇りを抱く陽翔に対し、瑠璃は半信半疑だった。しかし瑠璃は最近、燃える家屋と、その中で蠢き咆哮を上げる"何か"という悪夢にうなされていた……。